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光と影
二人は同時に存在できない、だから身代わりが必要。
あるのどかな昼下がり、
君は僕にとって衝撃の事実を告げる。
君は今日でその存在を終わるらしい。
僕の他に誰にも言っていないらしい。なぜかと聞くと、どうせ忘れられてしまうから、ということだった。
なら、僕に伝える必要もなかったのでは、と思った。
君は、一番の記憶を僕へ語り出す。僕だって暇じゃ……いや、暇なのだけれど。
他愛もないことを楽しそうに話す君は、僕になにが言いたいのだろう。
そんな声で話さないで。
そんな声で語らないで。
そんな声のせいで思い出しちゃうじゃないか、
大好きだったものを。
だから、僕は君の言葉を遮った。
そしてゆっくりと、僕は君に最後の言葉を告げた。
「君のことが大っ嫌いだった」
君がそのあと何を言おうとしたのかは知らない。
さよなら、ぼく。
僕は黒い世界へ堕ちていく。
No.119709615
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