1/10
ドッペルゲンガー
「僕」を探す声を聞いた僕の話。
誰かが「僕」を呼んでいる。
切なそうに、愛おしそうに
そこにはたくさんの思いが詰め込まれていた
とても、とてもたくさんの思いが。
ただ一言に詰まっていた
ただひとつの言葉を響かせ続けていた。
ここにはいない誰かを探すように
暗闇の中の光を求めるように
届くようにと強く強く願う声がする
届いたよ、でも伝わらない
伝わることはない
その声に、言葉に、心に揺さぶられるのは。
きっと、同じだから
それが伝わらないのは多分、
僕が同じであってしまったから
僕と同じ顔、同じ姿、同じ声、同じ名前
ただ違うのはその魂
ああ、なんて憐れなんだろう
現の裏側の世界は
No.616600
読んでいただきありがとうございます。