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カミンクアウトはドラマチックに!

「はぁ?…あの“親しい友”と書いての親友?…どう言う事か説明して頂きたいですね、国王陛下」


「…アルフォンス陛下…。わたくしまさか“あの事”をアリーシャに教えてなかったなんて思いもしませんでしたわ」





方や難しそうに、そして悲しそうに顔をしかめた娘、方や聖母の微笑みを浮かべているが眼が笑っていない妻。

あの美しい黒髪の親友は娘の部屋の片隅で見るも無残な惨殺死体…ではないが、例えるなら刃物のついた洗濯機にかけられた状態である(9割り死んでいる)。



そんなわけで国王であるアルフォンスは人生でトップ5に入るであろう窮地に立たされていた。









-そう、あれは王妃であるエキドゥナがアリーシャを授かり腹部も大きくなってきた頃の事。



「アル!匿ってくれ!!」


「ディー、また宰相君を怒らせたのかい。君も懲りないなぁ」



魔法陣と共に執務室に突然現れたのは親友であり戦友であったデイルグレンである。

久しぶりに会った彼に相変わらず素晴らしい髪質だと微笑みながらアルフォンスはペンを机に置いた。


「宰相君が来るまでお茶でもどうだい?ちょうど休憩したいと思っていたんだ」


「…お前、私の一大事だと言うのにのほほんと…orz。二年前のお前がまるで嘘のようだな」

額を抑えながらも進められた椅子に腰を下ろしたデイルグレンは紅茶を受け取ると一気に煽った。

いつも思うが熱くないんだろうか、入れたばっかりだぞコレ。

あ、そう言えば忘れていた。

報告しなければいけない事があったのだった。


「ディー!!聞いてくれ!!俺子供が出来たんだ!!」


二杯目の紅茶に口を付けていたデイルグレンは茶色の飛沫を書類にぶちまけた。

あぁ、来年の国内予算案が…。


「…おいおい、アルフォンス。お前は男だろう、孕むのは…」

「いや、俺じゃない。俺の奥さん」



ガシャン!!とデイルグレンが持っていたカップが音をたてて割れた。


「奥さん…妻…wife?……ちょ、いつ結婚した!?私知らされてないけど!?」


「二年前。招待状は宰相君に渡して“伝えておきます”って手紙の返事来たよ?」


「ガッデェェェム!!」


デイルグレンは床に散らばったティーカップの破片も気にせず紅茶塗れの床に奇声と共に崩れ落ちた。


アルフォンスが止めるよりも早くテーブルの下にうずくまった成人をとうに過ぎた筈のデイルグレンはメソメソと泣き始める。


「有り得ないィィ~あの鬼畜補佐官。唯一無二の親友の結婚式にも、グズッ、出席させて、ズッ、くれないなんてぇ…」



先程のデイルグレンの言葉を借りるようだが、こいつも二年でだいぶ性格が変わったんじゃないだろうか、マイナスの方向へ。


最早慰めの言葉すらかけられないアルフォンスが新しいティーカップに紅茶を注いでいると美しいテノールボイス(泣き叫びver)でやかましい部屋の扉が控えめに叩かれた。






「アルフ様、如何なされました?先程から奇妙な呻き声が聞こえると兵士達が騒いでおります」




顔を覗かせたのは身重な妻のエキドゥナだった。

彼女はゆっくりとした足取りで夫の元へ足を進める。

目に飛び込んできたのは最愛の夫が優雅に、しかし困り顔でお茶を飲む姿。



「どうかなさいました?」


「あぁ、エキドゥナ、紹介しよう!俺の親友のデイルグレンだ!」


「まぁ…」


驚きの表情で目を瞬かせたエキドゥナは夫の親友と言う魔族をまじまじと見て、一言呟いた。










「…汚れた雑巾の間違いでは?」










「うわああああ!!こんの泥棒猫がああああ!!」






愛する妻のまさかの一言とそれに号泣しながら怒り叫ぶ親友。

流石のアルフォンスも引きつった笑みを作ったのは言うまでもない。



そして青春の1ページのように繰り広げられた二人(妻と親友)の喧嘩は互いに満身創痍で引き分けになり、デイルグレンが「次会ったら覚えとけよ」的な台詞を吐いて魔界に帰り、エキドゥナが「穢らわしい!!」と塩を撒く事で終結した。










「って何綺麗に終わらせたぜ、みたいな顔してるんですの。止めて頂戴、虫酸が走る」





エキドゥナの刃物のような言葉がアルフォンスの心に深く突き刺さる。

ついでに平手打ちも頬と鼻の中間という絶妙な位置に鈍い音を立ててに入った。






「アリーシャに説明して頂きたいのはそこではありませんわ。もういいですこの役立たず。…アリーシャ、簡単に説明すると結婚式にはぶられたこのボロ雑巾が不憫で仕方なかった使えない国王陛下はまだわたくしのお腹の中にいた貴女を宴会のダシにして各地の王族から地主を呼び集めてパーティーを開いたのです。そこでまた妨害に合い遅刻してきたボロ雑巾が何を勘違いしたのか産まれてくるのは男の子だと思い込み、傍迷惑にも程がある人類最強の魔法とやらを貴女にかけて…」


エキドゥナのノンブレス説明に魔王の存在が迷惑も嫌がらせも超え、最早哀れに思えてきたアリーシャは殺る気が失せたとばかりに剣を収めた。


むしろ、自分が何故呪いをかけられたのかより父親の交友関係を一から見直したい気分だ。



(どうやったら魔王討伐で魔王が親友になるのよ)








補足説明☆(^-^)>キラッ!



アルフォンス

国王で元勇者様。爽やかなナイスミドルで何気にマッチョbody。勇者時代は鬼神と恐れられていた、寧ろコイツが魔王。現在は愛妻家な国王兼豚野郎と言うとてつもない昇格と降格を経験した人。


エキドゥナ

王妃。天使の微笑みと歌われたかわいい系美女。趣味は育成で植物から生き物まで手掛けている。魔法のスペシャリストでホワホワした箱入り娘だったが結婚して色んな意味で女王様になった人。






アリーシャはこんな感じの両親に育てられてます。

素の口調はもちょっと女の子らしいんだけどまだイマイチ出せてない(´⌒`)

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