王女の成長
私はこの日をどれほど待ち望んだ事か。
物心ついてすぐ自分が周りの人達とは違うと気付いた。
そして周りが私と他の子供を見る視線の違いにも。
私はどうしてか他の子供より力があった。
だから私はある日お母様に理由を聞いた。
他の子供達との違いは何なのか、私を産んでくれたお母様なら知っておられるでしょう。
しかしその話題に触れたのは間違いだった。
お母様の手掛けた温室でカップの割れる耳障りな音。
白を通り越して青ざめた顔に翡翠色の瞳は零れんばかりに見開かれる。
呼び掛けようと口を開くと同時にお母様の瞳から溢れたのは一筋の涙だった。
私は一人その様子を眺めるしか、それしか出来なかった。
そんな出来事があってから二回目の冬。
随分と憔悴された様子のお父様に私が他の人達と違う理由を聞かされた。
私がまだお母様のお腹にいた時の出来事を。
お父様はずっと泣きそうな、難しい顔でなにかおっしゃっているけれど私の頭の中は真っ白で話についていけなかった。
ただ一つだけ頭にのこった事は、魔王を倒せる人間は私…いや、俺だけだと言うこと。
家族に深い傷を付けたそいつを決して許さないと誓いながら、俺は明日から暮らす事になる時計塔を見つめた。
四年が過ぎ。
俺は持て余した力を全て国の軍事力にあてた。
両親とも距離を置き、軍の指揮官に上り詰め、限りなく力を求めた。
お父様が慈しんでくれた時間を捨て、お母様が愛してくれた長い髪も捨てた。
代わりに王に忠誠を誓い、王妃に俺付きだった侍女を献上した。
寂しそうに微笑む二人に俺は頭を垂れその場を後にした。
両親に笑いかける仕方などとうに忘れたから。
あの愚か者が俺の前に現れるまであとひと月を切った。
もはや住み慣れた時計塔の自室で俺は歪んだ笑みを口元にたたえ、宮廷魔導士に造らせた床の魔法陣を指でなぞる。
「早くおいで。俺の魔王」
“祝福”を与えた事、後悔させてやる。
シ・リ・ア・ス!!
にしてみた
でもそんなの食べちゃうよ(^p^)
王女視点のパパママはとっても優しい感じなんだけどね、他視点で進むとぶっ壊れてんだよね