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服装転換

作者: 藤堂遥惟

 私の名前は慧(あきら)。名前だけ聞くと男と間違われる。だけど、私の性別は女。私服が男物ばかりだから、黙っていたら誰も女だと思わない。私の隣にいるのは友人の琉依(るい)。

 容姿は可愛い女の子だけど、本当は男。普段はこんな奴じゃないんだけど、女装すると性格がかなり変化する。

 琉依は女装癖があることを知っているのは琉依の家族以外では私だけ。でも、琉依の両面を知っているからなんだか怖い……。

 普段の琉依はクラスの兄貴分。今の琉依は女の子。他のクラスメートは知らないから知ったときの反応が気になるけど、本音は怖い。

 そんなことより早く家に帰りたい……。私は普段からこの男っぽい格好だから問題はないと思うけど、琉依が問題なんだよね……。

「なぁ、琉依」

「なに?」

 男らしい低い声を少し高めにして、ハスキーボイスの女の子だよコイツ。

「そろそろ帰りたい……」

「えーこれから慧のためにいろいろと……」

 周囲は可愛らしい彼女と思っているみたい。でも、一瞬だけ私も『可愛いなぁ』と思ってしまった。琉依との付き合いは長いから。また、私に女物の服を買わせるためにとでも考えているよ……。しかも。今のは声だけで、目は本気で怒っている。

 私に少しでも女らしい格好しろと言ってる……。

 夜になればメールでも何か言ってきそうな気がする。以前、しつこいくらいメールが来たときがあったが、そのときは無視をした。後々、脅しのメールが何件か授業中に送信されてきた。本文はすべて同じ。

 このメールを見たとき、私は本当に驚いた。普段より上から目線のメールで『夕べは何で無視した。俺はいつでも本気だ。次、買い物言ったら絶対、女物の服を買え』と絵文字も何もないメールだったけど、私は琉依の視線がとても怖く感じた。

 今、琉依が何を考えているか私は分からない。一つだけ言えるとしたら、オーラが怖い。

 いきなり琉依に腕を掴まれ、近所の服屋へ拉致された。気づいたときには店員さんと琉依が私に似合いそうな服を見つけては試着室に入れられて、渋々、試着するの繰り返し。

 何度か繰り返しているうちに琉依がこれ! という服を着たけど、私には変だ。私服に着替えて試着室から出たら、琉依はさっき私が試着していた服を持ってレジで会計をしていた。私は文句も言えず、呆れてただ呆然としていた。会計を済ませた琉依は服が入った紙袋を私に渡した。

「次の休日は絶対にこの服着て来いよ」

 予想通り、また脅しが来た。この服を着なかったらまたメールが凄いことになりそうだと私は感じた。

 そして、次の休日、私は諦めて、琉依が買った服を着た。殺風景な部屋に可愛らしいこの服は不似合いだ。待ち合わせ場所へ向かおうと家を出るとき、母以外の家族は鳩が豆鉄砲を食らったようか目をしていた。私は気にせず、待ち合わせ場所に着くといつもなら女装姿の琉依が男らしいカジュアルな服装でいた。

 いつもと違う私たちは普段と変わることなく、散歩をしていた。時々なら、女らしい服装も悪くないかなと思ったけど、会ったとき、少し琉依の顔を見ようとしたら耳が赤いのが不思議に思った。

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