これから生成AIで必要なのに世界中で嫌われている「AIデータセンター」について
筆者:
今回は昨今のAI開発競争に必須とも言われている「AIデータセンター」が反対活動に遭っていることについて語っていこうと思います。
ちなみに国内のAIデータセンター建設投資は2024年の約4,000億円から2028年に1兆円超になるそうなので、もしかしたら皆さんの身近にも近づいていることなのかもしれませんね。
◇AIデータセンターのプラスとマイナス
質問者:
そもそもAIデータセンターって一体何をやっているところなんですか?
筆者:
僕は中を見学したことが無い上に、文系なので書いてある情報をそのまま書くことしか出来ないのが歯がゆいですが、
建設している企業の一つであるKDDIの主張によりますと、 https://biz.kddi.com/beconnected/feature/2025/250616/
『「AIインフラ需要の急増」は、企業にとっても無関係ではありません。多くの企業や組織が、競争力を高めるためにAIによる高度な分析、自動化、予測技術の活用を模索しており、その実現には従来以上に大規模な計算リソースが欠かせません。新たに登場した生成AIモデルや大規模言語モデルは、従来のインフラでは処理が追いつかないほど莫大な計算能力を必要とするため、既存設備では対応が難しくなっているのです。
実際、最新のAIモデルではパラメータ数が兆単位に達しており、その学習や運用には、専用設計のデータセンター環境が不可欠です。KDDIが導入を計画している次世代GPU基盤を用いることで、「兆単位パラメータ」の大規模生成AIモデルも高速に開発できるとしており、こうした最先端AIを扱うためのインフラ整備が、産業界において急務となっています。』
と、従来のデータセンターでは対応できないためにAIのための演算機能を持ったデータセンターを建築しようという事なのです。
質問者:
AIを制する国が今の時代を制する感じがありますからね……。
筆者:
従来、場所を取るものとしてあったのは工場でした。工場を誘致できれば万人単位で雇用が創出され、経済効果は絶大でした。
しかし、AIデータセンターはどうでしょうか? だだっ広い敷地を使いながら、従前の職員が活動するだけに過ぎません。地元に恩恵が少ないのです。
また、推進側は否定していますけど騒音や大気汚染、水資源の枯渇や熱を冷却するための電気代が高騰するなどの地域にとってプラスになるどころかマイナスになる要素を兼ね備えているという事なんです。
https://bigissue-online.jp/archives/27931
一般的なAIデータセンターであっても年間10万世帯分の電力を消費しているとまで言われていますからね。
https://newsphere.jp/economy/20250507-1/
質問者:
なるほど、敷地を大きく使うのに住民にとってプラスどころかマイナスになるかもしれなければそりゃ反対しますよね……。
◇日本でも世界でも反対活動が活発
筆者:
千葉県印西市では「データセンター銀座」と呼ばれ、すでに約30棟のデータセンターが立地し、今後も約10棟以上の計画があります。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC09BU10Z01C25A2000000/
これはこの地域が地震にも強く都心にも近いことから2020年度以降、データセンター建設が相次いできたようです。
そんな中で全国初とも言えるAIデータセンター建設反対訴訟建設反対が提起されました。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20260305-GYT1T00550/
計画地は北総線・千葉ニュータウン中央駅前の約30,000㎡の敷地で、建物は地上6階、高さ52.7メートルの大規模施設になるそうで、地域における影響も大きいようです。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/473599
ちなみに上の記事ではAIデータセンターを「倉庫」にあたると主張しているのは、建設予定地の地区計画では、周辺の住環境を守るために「工場」や「倉庫」の建築が認められてないからです。
現在「AIデータセンター」はこれまでにない建築上の分類のために「その他」となっていることから、商業地などにも建設できてしまっていることを問題視しているという事です。
質問者:
そんなに大きいのが駅前に出来たら本当にたまらないですね……。しかも、本来なら建てられなさそうなのに「法律の穴」があって建てられるのならなおさら不満がありますね……。
筆者:
ちなみにアメリカのギャラップ(Gallup)が今年3月に実施した世論調査では、米国人回答者の71%が自宅近隣へのデータセンター建設に反対しており、この割合は原子力発電所への反対率53%をも上回ることから全米142か所で反対活動が行われているそうです。
https://news.ameba.jp/entry/20260922-57228292/
恐らくは電気代や健康への影響を懸念してのことだとは思いますけどね。
◇自治体は”恩恵”を受けているのだからその恩恵を住民に返すべき
質問者:
しかし、AIデータセンターを増やせないとこれからのAI開発に対して影響も出かねないと思うんですけど、これからどうしたら良いんでしょうか?
筆者:
一番の問題点は工場や原子力発電所などと違って地元へ還元がされていないことだと思います。
「原子力村」などと言われているように原子力発電はある程度危険だという認識がありながらも補助金などの「恩恵」も絶大でありそこで働いている人も多いわけです。
だからある種地元からも「許されている」という側面があると思います。そもそも原子力発電に反対している方は近くに住まないでしょうしね。
しかし、AIデータセンターには地元住民への恩恵が皆無と言っても良いことから、電気代が上がるなどのリスクばかりを負っていることが問題なのだと思いますね。
そこで僕が提案したいのは「地方自治体が住民に還元する」という方法です。
欧州の一部の地域では街中に温水配管を張り巡らせていたことからデータセンターから出る30〜45℃程度の冷却廃熱を大型ヒートポンプで70〜80℃程度まで昇温させ、各家庭や温室に送り届ける仕組みがあるようでその熱を活用できるようですが、
対する日本は、断熱パイプを埋設しなければならず「熱インフラ敷設コスト」の壁があるようです。
質問者:
え? そもそもAIデータセンターでその自治体が儲かるんですか?
筆者:
AIデータセンターそのものは何か収益を生み出すことに直結しませんが、
その敷地面積は非常に広大なわけです。
先ほどの千葉県印西市多くのAIデータセンターが建設されたことにより、2023年度の市の固定資産税収は162.1億円と、10年前から倍増したようです。
https://toyokeizai.net/articles/-/889608?page=2
企業が恩恵を住民に提供することが出来ない以上、固定資産税の恩恵を企業から受けている地方自治体が住民に還元するべきでしょう。
自治体のほとんどは水道を司っていますから(一部の自治体は水道民営化しているためにこういう表現にしかできない)、水道代をその分下げるなどの方法を取るべきなのかなと思いますね。
また、僕が勝手に考えましたが、AIが好きな人や許容力がある人将来的には住むだろうという事で「AIの使用料金を市が一定額まで負担」とかそういう政策も面白いのかなと思いました。(選択制の方が望ましそうですけど)
質問者:
とにかくメリットが今のところなさすぎますからね……。AIを使っていないかたからしたらデメリットしか無いですからね……。
筆者:
今のままだとAIでまた後れを取るのが日本なので、AIデータセンターは問題があるのは承知でも、ある程度諦めの境地も大事なのかなと思います(集中している地域にはなるべく住みたくないのは事実)。
いずれにせよ、建設側と住民との対話が無い状況が問題だと思いますね。
許可をしている自治体、「その他」に分類している立法側など複数の論点で見直す必要があると思います。
今のままでは住民側が置いてけぼりで圧倒的に理不尽だと思いますからね。




