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千羽鶴

作者: 溜せうゆ
掲載日:2026/05/20

 私の心臓には生まれつき問題があり、生まれてすぐにあまり長くは生きられないだろうと告げられたそうだ。


 そのため幼い頃はずっと病院のベッドの上で過ごしていたのだが、両親は私の治療費を工面するために忙しく、あまり見舞いにも来られなかったため、ひどく退屈でいつも時間を持て余していた。


 そんなある時、同じ病室に同い年の男の子が入院してきた。聞けば彼が悪いのは心臓じゃなかったけれど、両親が忙しいのは同じらしく、境遇の似ていた私たちはすぐに仲良くなった。


「千羽鶴を折れば元気になれるんだって」


 誰から聞いたのか、突然男の子がそんなことを言い出した。二人とも手先の器用さに多少の自信があった私たちは、どちらが先に千羽折れるかの競争を始めた。


 それぞれが三分の二ほど折り終えた頃だったろうか、ある日の朝目覚めると、彼のベッドが空になっていた。男の子はどうしたのか看護師さんに尋ねてみると、彼女は一瞬目をそらした後、


「急だけどあの子は元気になったから退院したのよ。そうそう、彼から折り鶴を預かってるの。『これで二人分合わせたら千を超えるから、きっともうすぐ元気になれるよ』って」


 なぜか泣き笑いのような顔をして、彼の折った折り鶴を渡してくれた。


 それから間もなく行われた私の手術は成功し、千羽鶴のご利益もあってか、男の子の言葉通り私はみるみる元気になった。今は普通に学校に通って、体育にも参加できているくらいだ。


 あの男の子がどこに住んでるのか聞いたことはなかったけれど、せっかく元気になれたのだから、いつか会いに行って、あの千羽鶴のお礼を言いたいと思う。


 そういえば、すっかり癖になってしまったようで、退院した後も私は暇があると鶴を折り続けている。 


 だって、そうしていると、不思議と胸のあたりがほっと温かくなる気がするのだ。

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