観察その8
「まーま。そう怒らないでよカルシューム足りてる?あっ、ほら牛乳あるけど」
「いるか!!」
わざとらしく牛乳を掲げてみたりするが効果はなし。
う~んどうしよう。
・・・って、あれ?
なんか知らないけど、セナの右手になにか光るものが見える。
なんか嫌な予感。
「あの~、つかぬことを聞きますがセナさん。その右手に持っている物はなんでしょうか?」
「うん?見てわからないか、これは包丁だ。今からこれを使ってお前をさばこうと思う」
まるで魚をさばくのだと言ってるような軽さ。
そして口元に浮かべる薄ら笑み。
その二つの恐怖が混ざることによって、寒気のような戦慄が背中を駆け上る。
「いやいやいや。それシャレになんないって!まず落ち着こう。ねぇ」
「大丈夫だ、別に殺すわけじゃない。ただ少し痛い目にあってもらおうと思って。ほら動物を調教するときは多少の暴力も必要だろ?」
ちょ、調教だとーー。
いったい何時からこの娘はこんなにもドSに目覚めてしまったのだー。
「さっ動くな。動くと余計痛いからな」
「あわわわ~」
壁際に追い込まれもはや逃げるすべはない。
唯一の救いであるセレナちゃんもいつのまにか寝ているし。
ああ、それにしても可愛い寝顔だな。
って言ってる場合じゃないし、この状況なんとかしないと命にかかわる。
どんどん迫ってくる包丁。
ヤバイこれはマジで。
あと10cm。
鋭利な切っ先はもう目と鼻の先だ。
あと、5cm。
もうだめだと目を瞑る。
そこでやっと天は私に味方したようだ。
開け放たれるドア。
眩しい光とともにその男はやって来た。
おそらく次回で最終話となります。




