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X短編  作者: 大塚斎
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ep.8 プロポーズ

「初手:死にたい」から始まる朝はきつい


「なんで死にたいの?」

振り返ると居候がいた。

「声に出てたよ。」

どうやら独り言を聞かれてたらしい。

「こういう時って、聞こえてても聞こえないフリをするもんじゃない?」

「言いたくないなら言わなくていいさ。」

じゃあ聞かないでよ。って言葉は飲み込む。死にたいと呟いた理由なんて特にないわけだし。


「なんとなく。」

答えてからちょっと後悔した。心配かけたかな。不謹慎だと思われたかな。わたしのこと嫌いになる?

だって本気で死にたいなんて思ってない。


誤魔化すように言葉を継ぎ足す。

「ごめん。『何もかもを投げ出してハワイに行きたい』と同じ感じで言ってる。」

「後手:じゃあ結婚しよう。ハワイへ新婚旅行とかどう?」


全てを見透かすように彼が言った。

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