ep.64 煮干しチョコ
お題:2/14は何の日?
A. バレンタインデー、予防接種の日、煮干しの日
企業戦略に乗せられ、チョコレートを大量消費する日がやってきた。
街にはハートが溢れている。
「22にもなって、ひねくれすぎじゃない?」
「まだギリ社会人じゃないからセーフ」
俺の問いに隣を歩く幼なじみが答えた。彼女の両手には小さな紙袋がいくつもぶら下がっている。どうして昔から、俺より貰うチョコの数が多いんだ。
「社会人になったら、会社できっと沢山貰えるよ。義理チョコ」
「義理確定かよ」
「本命がいいの? 好きでもない人から好かれるの、めんどくない? お返しも大変だよ」
そりゃ、そんだけ貰ったらね。俺の手元を見て! 今年もチョコはゼロ!
と、少し前の俺なら言ってただろう。だが、こいつの苦労を知ってるから、今は言わない。俺も大人になった。
「そうだ、私からこれ。ハッピーバレンタイン」
彼女はボディバッグから小さい小包を出した。そんな紙袋大量に持ちながら、器用だなと素直に感心する。
「煮干しチョコ」
「なぜ煮干しとチョコを合体させようと思った?」
「知らない」
どうせくれるなら、オーソドックスなチョコでいいのにと思ったが、こいつからバレンタインデーに普通のチョコを貰うのもなんかきまずい。
「会社で貰う義理チョコ中には、変なの混じってるかもしれないからね。今のうちに慣れておこう」
「予防接種的なことね。これを作った企業に謝れ。……てか、それメンヘラが本命にやるやつ。会社で大量に配る義理チョコにはやらねえわ」
「ツッコミどころ、そこなんだ?」
しょうもないことを言い合ってると、あっという間に分かれ道まで着いた。
「これ、お酒のツマミによさそうだな。今度うちで宅飲みする時に一緒に食おうぜ」
「お前ならそう言うと思ってた」
じゃあな! とお互いに手を振りそれぞれの自宅に向かう。
ホワイトデーまでにネタになるようなマカロンを見つけないといけない……。
早速調べようと俺はスマホを開いた。
ホワイトデーのお返しって、物によって意味が違うらしいですね。




