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ep.56 来年は、きっと
居酒屋の前で騒ぐ大学生、ギフトを抱えて走るサラリーマン、腕を絡ませて歩くカップル。
街が浮かれている。塾帰りの俺は取り残された気分だ。
「外国の宗教イベントじゃん」
「こういうのは楽しんだもん勝ちだから」
俺の呟きを、隣にいる彼女が拾った。
「受験生にクリスマスも正月も関係ねえよ。今気を抜いたら、同じ大学に行けねえだろ」
「うん。お互い頑張ろうね」
彼女がはにかむ。
「来年は、彼氏彼女ぽいことしような」
俺の言葉に「もうっ」と怒ってみせた彼女は、イルミネーションに照らされて赤く見えた。




