ep.30 衣食住
「衣、そなたは三銃士の中でも最弱。そろそろこのチームから抜けてはどうか? そなたには荷が重いだろう。」
「食! どうしてそんなこと言うんだよ! 僕たち今まで上手くやってきたじゃないか!」
「俺っちは食が言うこともわかるぜ。時代は変わったんだ。数千年前ならいざ知らず、現代にお前必要か?」
「僕がいないと、みんな全裸だぞ! 秩序や文化はどうなるんだ。」
「秩序なら法律があるし、文化の担い手は他にもいるではないか。」
「食の言うとおりだぜ。そもそも『衣食住』で衣が先頭なのも気に入らねえんだよな。生きるのに必要な順で言ったら、食、俺っち、衣だろ?」
「わしもそう思う。」
「お前ら、そんなこと思ってたのかよ……。お前らの言いたいことはわかった。だが、それでいいのか。」
「ほう?」
「何が言いたい?」
「住、お前は食と双璧な顔をしてるが、生きるうえで必要不可欠な食と比べてどうしても見劣りしてしまう。僕がいるから君もこのチームにい続けられるんだぞ。」
「それは……そうだな。」
「食、お前は最強だ。三大欲求の一端も担ってる。だが、俺たちがいて何かマイナスな出来事がお前にあったか?」
「ないな。」
「何年も一緒だったんだ。言葉を変えて再び定着させるのも難しいだろう?」
「うむ、貴殿の言うことも一理あるな。」
「僕が『衣食住』の末端を担ってもいいだろう?」
「まあ……」
「貴殿がこの中で最弱の認識があり、かつ苦でないのであれば、私としては問題ない。」
「ありがとう。これからも三銃士の一員でいさせてくれ。」
こうして、人が生きていく上で必要不可欠な、衣類、食事、住居の3つを指す言葉として、『衣食住』という言葉は使われ続けた。




