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X短編  作者: 大塚斎
26/62

ep.26 影の声

『そろそろ、僕が主役になってもいいんじゃない?』


目の前にいる男から話しかけられた。


『いい加減、僕に代わったら?』


やはり声は男の方から聞こえる。だが、その声の主はこの男ではない。ここには俺とこいつ以外には誰もいないはずだ。


主が不明の声はずっと俺に話しかけている。こんな場所から早く帰りたい。俺はさっさと仕事を終わらせることにした。


目の前には怯える顔をした男。何かを悟っているようにも見える。かまわず、俺は男を崖の下に突き落とした。


『あーあ、僕としたことが。最期の最期で声を届ける人間を間違えちゃった。』


海の底の方からそんな声が聞こえた。

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