ep.17 人間勝手
「人間って恩着せがましいよな。俺等が住んでたところから勝手に連れだしてさ。」
「そうだよな。人間界だとこういうのを拉致とか誘拐っていうくせに、俺等相手だと交易になるらしいぞ。」
「拉致や誘拐って、犯罪じゃん。」
「連れ去られたのが人間なら犯罪で処罰されるのに、俺たちなら何も処罰されない不思議。」
「法律ってそんなもんじゃん?」
「あと、外で放置されてるのに、世話してる感を出されるのもうぜえよな。」
「そういえばたまに世話に来てくれる爺ちゃん、俺たちの飼い主じゃないらしいぜ。」
「まじ?」
「俺たちの主から報酬もらって、身体整えてくれてるみたい。」
「え、あの人が俺たちの主だと思ってた。じゃあ、俺たちの主は何やっての?食事や排泄は自分たちでやってるし、健康管理も人任せだし。」
「知らね。」
「まあでも同輩達の中には、完全に室内飼いで温度調整や栄養管理もやってもらってる奴もいるらしいぜ。」
「それ、この前カラス達が喋ってた奴らのことだろ。結局は人間に食われる家畜じゃん。」
「確かになー。温度調整された部屋も、規則正しく出される飯と引き換えに命を差し出したくないよな。」
「あ、野良たちはこの生活が羨ましいって言ってたな。」
「あいつらはいる場所間違えたら、有無を言わさず駆除されちまうから。」
「生まれたところが悪かっただけなのにな。」
「まあ、それは拉致られた俺たちにも言えることだけど。」
「違いねえ。」
「結局、人間は自分の利益になるような行動しかしてねえんだよな。」
「俺、それの最たる例が地球温暖化だと思うわ。」
「どういうこと?」
「奴等ってさ、『環境破壊』とか『地球にやさしく』とかよく言うじゃん。でもそれって『人間が住みやすい環境の破壊』だったり、『人間が住めなくなると困るから地球にやさしく』ってことじゃん。環境や地球は今までいろんな変化してきたんだから、温度が数℃上がったところで変わりねえじゃん。」
「まあな。結局は自分がしたいことなのに、あたかも『他人のことを思って言ってます』みたいな態度、いかにも人間らしいわ。」
「まあ、そうやって本音と建前を使いながら生きていくのが人間なのかもね。」
「言った本人ですら、建前を本音と思い込んでる時あるから救えねえわ。」
「違いねえ。」




