ep.11 運命の出会い
親友に彼氏ができたらしい。相手は同じ高校の柔道部の主将。
イケメンではないが、黒髪短髪にガタイもよく、硬派な感じが好印象な男子だ。よく全校生徒の前で表彰されてるから、名前と見た目は知ってる。
ともに彼氏いない歴=年齢。高校に入って丸2年。華の女子高生だというのにお互いに全く色恋沙汰とは縁がなかったのに、先を越された気がしてなんだか悔しい。
とはいえ、わたしは彼女の親友。そんなことはおくびにも出さずに彼女と彼女の彼氏の馴れ初めを聞く。
「にしても、毎日同じ電車に乗ってる男子と付き合い始めるなんて運命感じるね。」
「あーね。確かに運命の出会いぽいかも。」
「え、なになにどういうこと?」
「いつもめっちゃ電車混んでて、その日も駅員に押されながら乗車したのね。どうせ次の駅でみんな降りて席に座れるようになるし。」
「うんうん。」
「で、その日もいつもみたく反対側の扉まで押されちゃってさ。怖いから目をつぶってたの。」
「朝の満員電車、ヤバいもんね。それで?」
「ドンってしたから、目を開けたらもうすぐ目の前に彼の胸筋があって、顔あげたら彼と目が合っちゃって。足と足の間に足があってびっくりした。」
「えー!」とか「きゃー!」とか悲鳴みたいなものをあげながら、彼女の話を脳内で映像に変換する。
つまり彼氏との出会いは満員電車の中での不可抗力による壁ドンに股ドンってことらしい。
「何それ、少女漫画じゃん!」
「そうなのかな。」
「そうでしょ!」
「その後、彼にどいてください。って言われてさ。」
「ん?どくのは彼側じゃない?」
「いやいや。わざとではないけど、彼を電車の端っこに追いやって、バランス崩して踏ん張ったら、彼を閉じ込めるように腕ついて足絡めてたから。申し訳なかったな。」
「なるほどね。あんたが壁ドン、股ドンをした側なんだ。」




