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ポーラスター

作者: 葉沢敬一

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

 人は常に上を見る。下を見るのは心が弱ったときだけだ。何のことだって? いや、日常、太陽、星、月を見上げ、青空を見ながら生活しているし、生きるときも上という目標を見ている。


 ただ、

――僕と結婚してくれないかな?


 彼女に向かって言うのも彼女がこのどうしようもない僕よりは少し上だと思うからだ。

――嫌。


 同棲して3年になるのに彼女は僕と結婚してくれるそぶりも見せない。世間的には有名じゃないけど業界2位の部品メーカーでそれなりの給料もらっているのに。結構、優良物件だと自分では自負しているんだけど。


――何故?

 当然、理由を聞く。いつも通りの答えが返ってきた。


――あなた仕事嫌だと思っているでしょ。デザインで食べていきたいと思ってる。それはちょっと。


 待ってくれ。確かに、帰ってきたら、毎日SNSにイラストとかアップしている。それで、30万フォロワーも居て、それを見た企業が発注してきて副業としてうまくいっている。なにも悪いことないじゃないか。


 彼女は、ビジネスマンとしての僕が好きなだけで、イラストレーター・デザイナーとしての僕に未来を託すつもりはないという。


 僕たちは別れることになった。僕の視線は下を向いてしまった。


 でも、別れたことで分かったことがある。イヤイヤしてた仕事は彼女のためにしていたことで、僕のやりたいことではないと。


 僕は会社を辞めた。副業でつながった会社や出版社でデザインやイラストを描き始めた。また上を見始めたのだ。


 そのうちに自分がイラストを描きデザインした装丁の本がベストセラーになった。著者は時の人になり、僕はあの本を作った人として仕事がたくさん来るようになった。


 最初は食うくらいでカツカツの収入だったけど、一気に○○風デザインとして有名になってしまった。大金が入ってきた。


 SNSも海外からのフォロワーが増えた。言葉が要らないのでわかりやすい。あっという間に、3倍になった。アートとして評価されるようになり、博物館から作品の買い取り依頼がくるようになった。


――よりを戻さないか?

 彼女に連絡したら、

――あなたは私と釣り合わないわ。疲れそう。

 と、いう答えが返ってきた。


 世の中うまくいかないね。僕はまた視線を下げる。それとも、成功して僕がいい気になっていたのだろうか? 悲しみの心をぐっとこらえて空を見上げると、北極星だけが夜空に見えた。

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