1〜ボールバードの串焼き、そして異世界料理旅へ!〜
テンプレセリフを噛むことなくスラスラと言い終えると、最初は困惑していた鎧のおっさんだったが、勇者ではないとわかった途端、なんか偉そうな別のおっさんに話に行った。1分もしないうちに戻ってくると、金貨30枚が入った袋を俺に手渡すと、
「申し訳なかったなこれで当面の生活は乗り切れるだろうとりあえず安全に生きていけることを祈っているよ」
と、棒読みMAXでまくし立て、俺を広間から連れ出した。
個人的にはこんなテンプレなヤバい状況から早いこと逃れたかったので、こちらとしても好都合だ。
明らかに異様な雰囲気、、、困っているようには見えない王(体型も含め)、不敵な笑みがちらつく鎧の連中…明らかに利用しようとする奴の顔だった。
召喚されたあの子たちには申し訳ないけど、俺は俺を守るので精一杯なので、彼らには魔王討伐を頑張ってもらおう。
とまぁ城から出て街の通りを歩いているわけだ。陽が高くなっている。もうお昼だろうか。時計もスマホも店のカウンターに置きっぱなしなので時間もわからない。
時間を気にしていたら、唐突にぐぅと腹が鳴った。
そういえば朝飯も食べてなかったんだよな…朝はソーセージエッグを食べようと思って作っておいたのに…。
そんな時、なんだかいい匂いがしてきた。これは…肉の焼ける匂いだ!!
俺は匂いの発生源に呼ばれるように歩き、たどり着いたのは街の広場だった。そこにはいくつかの屋台が並んでいる。その中で、このうまそうな匂いを発している屋台を探した。この匂いはおそらく、鳥肉だ!
ようやくして、俺は匂いの素の屋台にたどり着いた。そこには少し大きめの肉が串に刺さって焼かれていた。見るからに美味そうだ。
俺が物欲しそうに見ていると、屋台の店主と思しきおっちゃんに声をかけられた。
「おう、あんちゃん見ない顔だね。旅人かい?」
「まぁそんなとこです。これは何ですか?」
「これはこの街の名物!ボールバードの串焼きだよ。さっき仕入れてきた新鮮な肉さ。買ってくかい?」
ボールバード…!聞いたことないのは異世界だから当たり前か。バードということはやはり鳥肉だろう。肉の見た目がもはや鶏肉のそれである。
「是非、1つおいくらですか?」
「1本銅貨2枚だよ、いくつ食う?うちの串焼きは絶品だから、あんたなら5本は食えちゃうんじゃねえかな!」
ガハハと笑うおっちゃんにつられてつい笑みがこぼれる。ああ、この人は信用できそうだな。
「じゃあ5本貰っちゃおうかな。おいくらですか?」
「銀貨1枚だな!」
「金貨しかないんですけど大丈夫ですか?」
「なんでぇ、細かいの無いのかい?まぁいい、これでも繁盛してるから釣りに困ることはねぇからよ!ほら、釣りの銀貨9枚だ」
ありがとうございます、と言いながら釣りを受け取る。これでこの世界のお金のレートが判明したな。
銅貨10枚=銀貨1枚
銀貨10枚=金貨1枚
鳥肉の串焼きが銅貨2枚ということは、日本の金銭感覚だと銅貨1枚=100円ってところか。ざっくりそんなもんかと理解しておこう。
串焼きを受け取って去ろうと思って袋を見たら、1本多く入っていることに気付いた。
「あの、1本多いんですが…間違ってませんか?」
そういうとおっちゃんは、
「それはおまけだよ。本当に5本買うとは思ってなかったからな!ほんの気持ちさ、受け取ってくれ。その代わり、美味かったらまた食いにきてくれよ!」
と豪快に言った。それを聞いた瞬間、嬉しさと懐かしさが同時に込み上げてきた。この懐かしさはきっと職業柄からくるものだと思う。なぜだろう、昨日まで毎日のように料理をしていたのに、懐かしさが込み上げてくるのは。
広場でベンチを見つけた俺は、座って串焼きを食べることにした。焼きたての肉の香りが胃袋を刺激する。握り拳半分程度の大きさに切られた肉は綺麗な焼き色を呈している。
一口、豪快に頬張った。それがボールバードに対する礼儀だと思ったからだ。
口の中にボールバードの脂が広がる。鶏の肉とはまた違う味だ。シンプルに塩、こしょうだけで味つけられたそれは。あっという間に胃の中へダイブしていってしまった。
「美味い」
おもわず声に出す。やはり料理はいい。腹だけでなく心を満たしてくれる。ボールバードの味わいと、屋台のおっちゃんの優しさが、俺のそれらを満たしていく。
そうだ、やっぱ料理をしよう。
この世界の色々な食材を料理して堪能しよう。
せっかく来たんだ。帰り方もわからないし、どうせなら楽しむしかない。俺は俺なりの楽しみ方でこの世界で生きていこう。
そう、異世界料理旅をして、この世界の全てを味わってやるんだ。
体裁、誤字等あって読みにくいかもしれません。すみません。でも趣味全振りの小説なので、気にしないでください笑




