表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

一人の部屋で蚊を潰した

 “ブーン”

 

 耳元で例の耳障りな音が鳴った。

 私はそのお陰で蚊の存在に気づき、上手い具合にいち早く潰す事ができた。良かった。刺される前に仕留められた。そう思ったのだが、蚊を潰した手の平には血がベットリと付着していたのだった。

 どうやら手遅れであったらしい。血を吸われている。そのうち、体のどこかが痒くなるに違いない。手か足か。偶に刺されると、何とも言えない不快な痒みを発する箇所があるが、できれば勘弁して欲しい。指の付け根は特に嫌だ。

 “さあ、どこだ?”と私は覚悟したのだが、いつまで経っても痒みは襲ってこなかった。ちょっと奇妙には思ったが、こういう事もあるだろうと私はそれを気にしなかった。そして、そのまま就寝した。

 部屋を暗くしたが、どうにも上手く寝付けなかった。妙に寝苦しい。ベッドの上を転がりながら考える。

 まだ痒みはやって来ない。あんなに血が付着していたのに。普通なら痒くなるはずだろうに。

 が、そう思ったところで不意に物音がした。

 ごとり。

 私はそれを聞いて戦慄した。

 この部屋には私しかいないのだから、あの血の主は私のはずだ。私はそう思い込んでいた。しかし、もしそれが間違っていたとしたら?

 

 ――私以外の誰かの血。

 

 ごとり。

 暗闇の中、また物音がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ