夕食で
夕飯の時間になった。
今日はマヨネーズ試食もしてもらおうと、セスさんと花についていろいろと先生を務めてくれた庭師のトムさんとミミリアとメイがテーブルについている。
使用人が一緒に食事をとるなどととても反対されたけれど「配膳の練習も、いつも2人だけだとお客様がいらっしゃったときに困るでしょう?」と説得し、今度から何人かずつローテーションで席についてもらうことにした。……本当はさ、イザートもいないと一人で食事しなくちゃいけなくて、寂しかったんだよね。
「まずは、サラダとスープでございます」
と、出された。
サラダは、私が簡単に説明したスティック野菜が再現されていた。
「こ、これがサラダか?」
イザートが驚いている。
「メインはこっち。食べてみて、イザート」
きゅうりを手に取り、マヨネーズを付けてポリポリとかじる。
イザートが白い眼をしながら私を見ている。やっぱり山賊は違うなとでも言うつもりだろうか。
「ほら、食べてみて!」
人参スティックを手にとり、マヨネーズを付けてイザートの口元に運んだ。
「あー、なんか、馬にでもなった気分なんだが……リコが食べろというのなら……」
口を開けてイザートが人参を食べた。
「む?ここの、少し酸味があってクリーミーな……美味いやつは一体なんだ?」
「おいしい?マヨネーズっていうの。野菜を食べるっていうより、今日はマヨネーズの味を楽しんでもらおうっていうことでシンプルにしてもらったのよ」
イザートが私の説明が終わるか終わらないかのうちに、セロリを手に取りマヨネーズをたっぷりつけて口に運んだ。
「うんまっ。マヨネーズと言ったな。美味いな。いや、馬みたいなんて言って悪かった。もったいなくて馬には食べさせられない」
もう少し上品に食べられないものかと今にも小言を言いだしそうなセスも、無表情を忘れて口元が緩んでいる。
トムさんも、これは素晴らしいですと、野菜のおいしさを殺してしまうわけでもなく、野菜本来のおいしさをより引き出し食べやすくしてくれると感心しきりだ。
そんな中、ミミリアだけは一人静かにマヨネーズを付けた野菜を口に運んだ。




