表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
■加護なしハズレ闇侯爵の聖女になりまして~ご飯に釣られて皇帝選定会に出ています~  作者: 富士とまと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/97

ツンデレ?

「あー、素直にそうだって言われるのもなんだかな!ちょっとは俺と離れてて寂しいとか、ないのか!リコ!」

「いや、まだ1日経ってないし……」

 ぷっと小さくセスが噴出したのが聞こえた。けど、顔を見ればいつもの無表情。えー。どんだけ表情筋鍛えて無表情を保てるんですか!

「部屋の鍵はビビカに預けてある。用があったらビビカに言って入ってくれて構わないからな」

 え?

「いいの?」

 勝手に入って、いいの?信用してもらってるってこと?

「ああ?いや、もちろん構わないよ。……セス、お前も必要があれば俺の部屋にはいればいい」

 セスが意外だというように、右眉の端を少しだけ上げた。

「私を信用してくださるのですか?」

「執事としての職を失ってもいいと思うタイプには見えないからな。セスは執事である自分が好きだろう?」

 セスがふっと小さく笑った。

「もちろんです。特に、少々手のかかる主人に仕えるのが私の喜びです」

「は?まさか、俺が手がかかるって言いたいのか?ちょ、リコ、セスってひどくねぇか?俺、手がかかるような人間じゃないよな?」

 イザートは自分のことを理解してないのだろうか。

「山賊の娘をいきなり聖女として連れてくる主人、執事としては困るんじゃない?」

「そうですね。山賊の娘に仕えた経験はありませんから。大変戸惑いました」

 ふっと笑うと、セスも私に同意するように深く頷いた。

 イザートがああと顔を片手で覆う。

「いや、すまなかった。すまなかったって。リコに山賊の女頭目だとか言って悪かったし。セスだって、リコは違うってもう分かってるだろう!悪かったって!」

 セスがまじめな顔に戻る。

「そう、簡単に使用人に謝罪するのは主人としての威厳が損なわれます」

 イザートがしゅんと叱られた犬みたいにしょげた。

「ですが、自分の非を認め、使用人にまで頭を下げてくださる主人に仕えられることは嫌いではありません」

 うわ。

 ツンデレだ。

 セスさん、ツンデレ、ツンデレ属性だっ!

「はぁ。リコの顔も見ることができたし。リコは、部屋にはいれて聞きたいことをセスに聞ければいいみたいだから……俺、領地に戻るわ」

「え?来たばっかりなのに?……ごめんなさい。なんかすごくイザートに迷惑かけちゃったみたい……」

 往復するのにどれくらいの時間がかかるのか分からないけれど。とんぼ返りさせちゃうなんて本当に申し訳ない。

 ちょっとしょげると、セスがコホンと小さく咳ばらいをした。

「よろしいのですか、イザート様?料理長が、満足のいくスープが完成したからとおっしゃっていましたが?私をはじめ使用人で味見をさせていただきましたが、大変素晴らしいお味でございました。そのスープを飲まずに領地にお戻りになるので?それは残念なことです」

「だ、だれがすぐ戻るって言った?夕飯を食べて、そう、明日の朝の朝食も食べてから戻る!もう、あたりは薄暗くなっているからな!暗くなってからの移動は危険、そう、危険だからだ。決して、食べ物につられて残るって言ってるわけではないぞ?」

 ちょっとだけセスの肩が揺れている。笑いをこらえているのか、してやったりという感じなのか。

 仕事をし過ぎないようにこうして無理にでもちょっと息を抜かせるってことよね。食事も睡眠も大切だし。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ