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■加護なしハズレ闇侯爵の聖女になりまして~ご飯に釣られて皇帝選定会に出ています~  作者: 富士とまと


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この先

 ぐっとこぶしを握り締める。

 裏切らないようにしよう。呆れられないようにしよう。

 聖女として期待されているわけではない。精霊の加護のない闇侯爵の聖女で、聖女としての力がない私だ。

 期待されたいわけでもない。だけれど、嫌われないようにしたい。

 セスさんと会話ができてよかった。心がふわりと軽くなる。嫌われているかもと思っていたから。話をしてよかった。嫌われていないと分かってよかった。

 よし。頑張ろう。

 ああ、なんだか私、幸せだ。どうしよう、なんか、幸せだ。

 誰かのためになっていることも。誰かに認めてもらえることも。

 ……イザートの働きすぎも、もしかしたら私みたいな気持ちからなのかもしれない。一緒にしちゃ失礼かな。領主と一庶民……。

 この1年が過ぎたら、きっと、イザートは話も出来ないような、会うこともかなわないような雲の上の人になるんだろうな……。

 ずきんと、胸が痛んだ。

 元、聖女ということで、たまになら会ってもらえるかな……。

 イザートの笑顔を思い出す。

 会いたい……な。

 これっきりになったら寂しい……。

 さっきまでとても幸せな気持ちだったのに。1年後の、イザートと……セスさんやメイたちと別れる時を想像したら急に寂しくなった。

 ……侍女修行を私も一緒にすれば、同僚として一緒に働けるようにならないかな……。給仕されながら、覚えよう。着替えを手伝ってもらいながら覚えよう。言葉遣いを聞きながら覚えよう。見て、時には質問しながら覚えよう。そうだ、なんか侍女の教科書みたいなものがあるようなことを言っていたから、それも読む機会があれば読もう。

 執事って、使用人の人事権とかも会ったはずだ。セスさんに1年後、侍女としてもしくは下働きとして働きたいと相談してみるのもいいかもしれない。よし。まずは信用を勝ち取るんだ。

 イザートに質問することも、本で調べることも出来なくなった。

 だけど、することが無くなったわけではない。

 部屋に戻り、メイたちには食事の時間まで何もお願いすることがないので勉強会をしてきてと声をかける。どうやら、自主的にいろいろな勉強会を開いているようだ。花を部屋に活けるために花の名前や美しい活け方、水の替え方などを庭師を講師にお願いして開いたり。侍女に庭師の仕事など覚える必要がないと思っていた皆には、庭師を講師にするということが驚きだったようだけれど。料理に関しても、食材について勉強会を開こうとしているらしい。配膳するときに料理のことも知っていれば役にたつんじゃないかって。私もいろいろ参加したいけれど。今は、アイサナ村のことを優先したい。何かできるなんて傲慢かもしれないけれど、何かをしないではいられない。

 侍女が出て行き一人になったところで、日本にいた時に読んだ本のことを、ひたすら思い出しながらメモを書いていく。

 これから私がしようと思っていることも、いろいろと忘れないように書いて。

 調べないといけないこともメモ。



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