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■加護なしハズレ闇侯爵の聖女になりまして~ご飯に釣られて皇帝選定会に出ています~  作者: 富士とまと


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あたりまえ

「油はありますか?」

「ええ、それはもちろん」

 料理長が、徳利のような陶器を3本持ってきた。

「こちらがオリーブオイル、こちらが菜種油、そしてこちらはちょっと香ばしい香りがしますゴマ油です」

 ごま油もあるんだ!和食や中華のイメージで、洋食をあまりイメージできないからないような気がしてた。

 それにしても、徳利サイズじゃぁ、揚げ物をするには足りないよね。

「油はこれだけ?えーっと、種類の話じゃなくて、量がもっとないかしら?」

 料理長がポリポリと頬を指でかいた。

「今はそれだけしかございません。必要であれば、仕入れることができますが……」

 あれ?そうなの?この徳利分しかないの?あまり油を使った料理は無いのかな?

 それこそフライパンに敷く程度ならば、これでも1か月はもつ?保存状態が悪いと酸化したりもするから、少しずつ必要な分だけを仕入れてるっていうことかな?

「えーっと、あれくらいの鍋の半分くらいの量があればいいかな?」

 試しに揚げるためだからそれほど大きな鍋は必要ないので、ミルクパンくらいの、20センチくらいの小さな鍋を指さす。

 料理長が目をむいた。

「そんなに?一度にそんなにたくさんの油が必要な料理ですか?」

 あ。もしかして、食べるために入れると勘違いしたかな。

 そりゃ驚くよね。油を鍋に半分も使った料理を食べたら、めちゃくちゃ太りそう……。説明しようと思ったけれど、作るところを見てもらえば早いか。

「ずいぶん贅沢な料理なのですね……チップスとは」

 へ?

 チップスなんて庶民の親しみやすい、贅沢というよりむしろジャンクフードなんですけど。

「貴重な油をそれほどたくさん必要とするなんて……ですが、それだけ贅沢な品であれば貴族は喜んで食べる者もいるでしょうね」

 徳利を1本手に取る。

「贅沢?この油、特別な油なの?そんな特別な油じゃなくてもいいんだよ」

 オリーブオイルもそういえば確かに、ピンからキリまであった。そのまま飲めるとか、美容に使える混じり物のないものだとか。

「いえ、特別な油ではありませんが。油自体は特別ですけれど……リコ様のおっしゃる特別な油とは?」

「油自体が特別……?」

 まさか!

 まさか、まさか!

「油って、生産量が少なくて高価な希少品……ってこと?砂糖や胡椒なんかと同じように……」

「そうですね。……その、油の代わりに、ラードやバターや他の動物の脂身を普通は使いますから」

 そう来たか。

 この世界ではまさかの、砂糖や胡椒など地球の歴史的に希少で高価だとされてたものに加えて、油も同じように希少で高価なのか!

 動物の脂であれば、肉を食べて余るものだ。バターも牛乳や生クリームが普通にあるならないはずがない。むしろ、取れ過ぎた牛乳を保存するためにバターやチーズに加工することもありそう。

 それに比べて植物性の油は、栽培しなければならない。

 畑を使う。……アイサナ村のように、食べる物すらろくに収穫できないのに、ろくに食べられない植物を栽培するわけがない。

 食べることが優先なのは当たり前で……。

 あれ?


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