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■加護なしハズレ闇侯爵の聖女になりまして~ご飯に釣られて皇帝選定会に出ています~  作者: 富士とまと


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プリンのために

「うんとぉ、よくわかんない。皇帝みたいなもんだと思ってるけど」

 そうなの?皇帝は侯爵から選ばれる。精霊王も飛びぬけた力があるからその地位にあるわけじゃなくて、精霊たちの間で選ばれているだけ?

 精霊の加護がある人間は神のような力が使えるならば……。もしかしたら、私が日本に戻るような魔法も精霊王なら使えるんじゃないかと思ったけど、難しいのかな?水とか土とかいう話で言うと、転移させるのって何の力?空間とか?精霊王に関する本ってあったかなぁ。もっと本も読んで勉強しないとね。

 日本に帰れそうなら、それを目的として動けばいい。

 日本に帰ることが無理だと分かれば……。私は、1年後どうしようかな。侍女としての訓練を私も一緒に受ければ、そのままイザートが闇侯爵領に帰ったときに、紹介状でも書いてもらって、どっかのお屋敷で働けないだろうか?

 それとも、料理長に弟子入りしてこの世界の料理を覚えて日本の料理と融合させて食堂を営むとか?

 まだ時間はある。ゆっくり考えよう……。

「ああ、リコ様、こちらへどうぞ」

 調理場へ行くと、料理長が料理人たちの休憩所?のような場所に案内してくれた。

 そこにはソファセットもあって、ソファの後ろに3人の男が立っていた。40代くらいの恰幅の良い男と10代後半のちょっとやんちゃそうな男が2人だ。

「リコ様が教えてくださった道具の試作品が鍛冶屋から届いたんですよ」

 と料理長が言うとソファの後ろに立っていた男たちが頭を下げた。

 鍛冶屋さんなんだ。ドワーフじゃなくて人間……。って、本を読んだ限りこの世界には亜人はいなさそうなんだから当たり前か。ちょっとファンタジー脳になりすぎだなぁ。

「ああ、皆さんも腰かけて。話がしずらいわ」

 ソファに、私と隣に料理長に座ってもらい向かいのソファに3人座ってもらった。

 テーブルの上に置かれた試作品の一つを手に取る。

「これが、重なる鍋です」

 20センチほどの高さの鍋を3つ重ねられるように作ってもらったものだ。

 蓋をあけ、一番上の鍋を取り上げる。

「あら?」

 2段目の鍋と、一番下の鍋も確認する。

 上にあった鍋を下にすると上に重ねられない。

「ごめんなさい、私の説明が悪かったわね。一番下は穴を開けないで、2段目3段目は穴を開けて作ってほしいの。一段目はという言葉が上か下かの解釈の違いね……申し訳ないことをしてしまったわ……もう一度作り直してもらえるかしら?」

 素直に謝ると、ソファの右端に座っていた鍛冶屋の青年がびゅんっと立ち上がった。

「あります!親父が、いや、師匠がどちらか分からないから両方用意しておけと言ったので!」

 青年がソファの後ろに置いた荷物から、穴の開いていない一番下になる鍋を取り出した。

 ふぅん。なるほど、親父であり、師匠なのね。左側の子も?ずっとムッとしたような不満げな顔をしているけれど。

「うわぁ、すごい、ありがとう。これで、蒸し器が完成よ!早速プリンが作れるわね!」

 料理長と話をしていて気がついたのはこの国には蒸し料理がないということだ。

 蒸すという文化がないので蒸し器も存在していなかった。

 鍋に割りばしを敷いて簡単な蒸し器代わりに使うことも考えたけれど、これから先本格的に蒸し料理を教えていくなら蒸し器があったほうが便利だと似たような鍋が無いかと尋ねてみたのだ。

 そうしたら、鍛冶屋に作らせましょうという話になった。


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