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読書

「読むっ!」

 ビビカがぴょんっとイザートの日記帳に飛びついた。

「うわっ、やめろ、ビビトっ」

「今日は遠乗りに出かけたが、途中でお腹の具合が」

「やめろーっ」

 ……。二人がくだらない争いを始めたので、ほっと息を吐きだす。なぜ古語が読めるのか問い詰められなくてよかった。

 早速、本を読み始める。

「うわぁ、何これ……まるで人工島ね……」

 この世界の地図……いや、この国?大陸?の地図がまず描かれていた。

 ほぼ6角形に近い形の大陸が、中心から頂点に線を引いたように6つに分かれている。

 ガレリア帝国。東西南北が地球と同じと仮定して頂点から右回りに、光侯爵領、風侯爵領、木侯爵領、闇侯爵領、土侯爵領、水侯爵領。中心に皇帝宮と記されている。

 光侯爵は、光の精霊の加護を受けている。同じように、風侯爵は風の精霊の加護を……。

 イザートは?

「あら」

 闇侯爵は、そのルールなら闇の精霊の加護を受けているのかと思ったのに、精霊の加護を受けていないため闇だと呼ばれているのか。

 光の精霊がいるなら闇の精霊もいそうだというのは私の思い込みだったようだ。

 で、このガレリア帝国は、皇帝が治めているのね。

「血による皇帝位継承ではなく、20年に一度六大侯が競い合って、皇帝を決めるのか」

 珍しい仕組みだと思う。最終的には精霊王が選ぶっていうから、精霊の加護だとか精霊王の力だとかこの世界ではとても大切な要素なのだろう。

 ……って精霊の加護が無い闇侯爵領って、けっこう本当にハズレと言われても仕方がない立場なのかもしれない。

 過去の選定会の記録も載ってる。

「日照りの村の問題解決の結果、水侯爵が雨を降らせて救った……って、そりゃそうでしょうね。あとは、風侯爵が、雨雲を運び雨を降らせた」

 なるほど。雨雲まで風で運べちゃうんだ。

 逆に冷夏で作物の生育に問題がある場合に活躍したのが、木侯爵。それからまた風侯爵なんだ。木は植物の成長を助けるでしょ。風は温かい南風でも運んできたのかな?

「過去5回分……100年間の記録があるけれど、毎回似たような問題解決で競わされるのね。まぁ、国内の問題を解決もできるから選定方法としてはいいんだろうけれど……うわぁ、100年前は物騒だなぁ。海を渡って国を戦略しようと責めてきた者たちを追い払うか。それだけで1年使ってるんだね。一番活躍したのは、なんだろう。風?……蒙古襲来の神風みたいな?」

 つい、物語を読んでいるような気分になってペラペラとページをめくっていく。

「あ……」

 帆船ならば、風で追い返し、上陸を試みれば高波で近づかせない。風侯爵と水侯爵が活躍したのか……。そうか。水は出すイメージしちゃうけど操ることもできるってこと?

 光侯爵は負傷したものを必死に癒し。

「え?光って、ぴかーって光るんじゃなくて、癒しの力があるの?ああそういえば、ファンタジー小説では割とメジャーな設定だったっけ。光属性は珍しくて、持つものは癒し魔法が使える。聖女だとかいう設定」

 なるほどね。

 過去5回の、100年分の記録を見ただけでも……。


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[気になる点] 14の2行目までは聖獣の名前が「ビビカ」でしたが、3行目から「ビビト」になっています。
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