対面
「どう?これなら作れそう?」
「あの鍋に入れて、柔らかくなったら取り出してバターと塩を乗せればいいんだろ?」
男の子が首を傾げた。
「美味いのか?」
半信半疑で熱々のじゃがバターをふーふーして口に入れた男の子が熱いというのに、続けてじゃがバターを口にいれてあつっ、あつっと口をふーふーしている。
「美味いっ」
「本当だ、おいしい!」
「塩だけでも十分美味いな。パンよりもおいらはこっちのが好きだ」
「ああ、確かになぱさぱさなパンよりも、じゃがいものこのほこっとした感じがいいな」
「タロイモよりも甘いし、塩をかけると余計に甘く感じる」
「ゆでて塩をかけるだけというのも楽でいい」
「ああ、パンを作るよりも楽だな」
うん、でも一つだけ注意してほしいことは伝える。
「だけど、これは覚えておいてください。ジャガイモには毒があります」
私の言葉に、村人が動きを止めた。
「なんだって、ワシらに毒を食わせたというのか……!」
「いえ、違います、違います。えーっと、ちょっと待ってくださいね」
植える予定の芽がちょっとでかかったジャガイモを取り出す。
「日に当てると、ジャガイモは緑色になります。その緑色になったジャガイモは毒です。そして、こうして出てくる芽も毒です。芋には毒はありません。日に当てずに保存して、もし緑になったり芽が出てきたら、皮をむいて緑の部分と芽を取り除いて食べてください。もしくは、畑に植える用に回してください」
私の言葉に、村人たちはほーっと息を吐きだした。
「毒と言っても、お腹が痛くなる程度で、少し間違って食べても死ぬようなことはないので」
「それを聞いて安心したよ。早速、昨日の続きをしよう。お前たちはやり方を皆に教えておやり」
子供たちが昨日参加しなかった人に植え方を教えるらしい。
「鍋は順番に様子を見ることにしよう」
てきぱきと役割分担をして村人たちは働きだした。
それを見送ってから、井戸に向かって移動する。荷物はビビカが運んで器用に口でつまんで降ろしてくれてくれていた。梯子とか今日は少し大きな荷物も混ざっている。
マチルダが籐籠を運んでくれているので、私は手ぶらだ。なんだか申し訳ない。こういうの、慣れないからなぁ。
「あ、エド!おはよう!」
井戸掘りの場所に近づくと、エドの姿が見えたので、手を振って声をかける。
「え?エドワード様っ!どうして……」
マチルダがひっと息を飲んだ。
「あれ?エドのこと知ってるの?」
驚いてマチルダの顔とエドの顔を交互に見ると、エドは唇に人差し指を当てた。
「ここは土侯爵領だからね、いても不思議じゃないだろ?」
エドの言葉に、マチルダがこくこくと首を縦に振った。
エドは土侯爵領の貴族なのかな?貴族はもしかして皇帝宮で開かれる舞踏会みたいなのに招待されたりするとか。そんなのがあるかは分からないけれど。皇帝宮で働いているマチルダなら顔を知っていても不思議はないか。




