9 幻獣の災典 オルト・パミック1
ロスラエルの戦争開始でございます。
ああ、相変わらず英雄っていうのはクソだな。俺はそう思いながら仕事というなのモンスターの駆除を行ってた。英雄という名だけのクソみたいな役割を任せられながら。
「はあ、そもそもいつからこうなった。」
「隊長、言いたいことは分かるっすけど、こんな世の中っすから、しゃーないっすよ。」
「ああ?そもそも何処かの国が幻獣を間違って放ったのが原因だろ。」
「確かにそうっすけどねー、って、またお客さんっすよ。」
「はあ、ったく疲れる。あと2回したら帰るぞ」
そんないつもと変わらない会話を交わしながら仕事をしていた。俺らはきっとこの時に切り上げれば良かったのだろう。そうすれば、あんな事にはならなかっただろうに。
「えーと、飛鳥種二体に、地鳥種五体、そして、がぱっ」
いきなり、解析者死んだ。いつもだったらいつものことの様に思っていたが、妙に違和感があった。そして気づいた。
幻獣なんかじゃない、と。
そう気付いた時にはもう手遅れだった。突然、自分がいる建物が崩壊した。奇跡的に怪我はしなかったが、状況は最悪だった。自分がいた建物以外も崩壊している。それだけならよかった。最悪なのは、こんな時によりにもよってウルフ種のハイエナ型の幻獣が大量に居やがった。こんな数今まで何処に潜んで居やがった。
「うわあぁぁぁぁ」「この野郎がぁぁぁぁ」「嫌だぁぁ、死にたくな、かはっ」
兵士達の悲鳴があちこちから聞こえる。一部は善戦してるかもしれないが、それもいずれ時間の問題だ。だから、そうならない様に敵を潰しにかかる。
「ちっ、コイツを使うのは嫌だが、背に腹は変えられねぇ。『特殊召喚、器獣ホルスター』。」
おれの特殊召喚に応じて機械の馬型の幻獣、ホルスターが出てくる。
「とっとと銃の形になりやがれ!使い辛えだろ!」
そう言うと、ホルスターはガトリング形になる。そして、
「とっとと死に晒せ、この死体漁り供が!」
弾が大量に出てくる。いつもみたいに弾の残りを考えなければいけない武器と違って、考えなくていい武器は使い勝手はいいが、頭を使わねえから使いたくねぇなぁとそんなくだらないことを考えながら作業していた。その後なんとか潰し終えたものの、今日は精神的にも戦力的にも撤退するしかなかった。実際には戦力は十分の一しか残っておらず、とてもじゃないが戦えない。なので、撤退することを選んだ。だが、この時はまだ知らなかった。もう、とっくの昔に手遅れだったということに。