3 死神と、指輪と、オオカミと、時々流星
俺はずっと彼女を追っていた。そしたら、いきなり止まったので俺も止まろうとした。が、俺は嫌な予感がしたので避ける動作をした。何かは分からないがとにかく避けた。その咄嗟の行動は正しかった。さっきまで顔と言うより首があった場所に が通り過ぎる。ランドは驚いた、彼女の方を見ると彼女の手には先程見た時には無かった死神の鎌が握られていた。そして、ランドはその武器を見て、また驚いた。なぜなら、彼女が握るそれは、ランドの持つ剣、終末の魔神王と同じ性質を持ち、ある意味唯一無二である武器、死の指輪の神であった。
なぜ、彼が驚いたのか?それはかつてランド戦って倒したはずの2体の魔神であったからだ。かつて満月の夜にふと、街に現れてはただ人族を敵と見做し虐殺の限りを尽くしては、夜が終わったらまた何事もなかったように消えていった、ランドが戦った魔神の中でも2番目に強かった。特に夜の時間帯ならば、不死身かつ更に強くなるという、なんともタチが悪く尚且つ夜でなくてもかなり早いという、とにかく倒すのに1ヶ月近くかかった相手なのだ、なのだが…
「アハハハ、久しぶりね、ランド、いや、今はランド=ラグナログかしら?まさかあのあなたが私の可愛い私ちゃんを追いかけまわしてたのね。いやー、私とっても困っちゃいますわ、ああ、私に人間への興味を抱かせた貴方が相手になるにはまだ幼い娘に手を出されるのはとっても困ってしまいますのね。
だ・か・ら、貴方にはここで死んでもらおうと思いますの。ここは常に夜の時間ですからねー。何か言い残したことが有れば言ってもらえたら、その言葉を確実に届けようと思いますのねー。そ・れ・で、何かありますかね?」
だいぶ変わったようだ、あまりいい方向というわけでは無さそうだが。だが、ランドはランドで死ぬ気はない。なので、とりあえず、
「はぁー、言い残した事ね、とりあえず、お前をもう一回ぶっ倒したらその必要もないだろ?だから、お前をもう一度倒す。」
ランドはそう言うと背中に挿してある大剣を起動させる。
「起きろ、ラグナログ。」
そして、剣に宿る魔神を起こし、
「いくぜ、ルル!」
大剣が光り魔法陣が出る、そして、
「おはよう、ランド!今日も元気に頑張ろう!」
人化することができるフェンリルであり、ランドの最初のパートナーであり、とても天真爛漫で素直な神獣であった。
「ちっ、またお前か、今度は油断しないわよ!」
そう言うと彼女は、猛スピードでランドとの距離を詰めようとする、だが、
「ルル!」
「分かったよランド、アイツを近づけさせないよ!そーれ!」
ルルは、ランドの言う前に彼女に接近して、手をかざすと、竜巻を起こした。
「あー、もう面倒ね、って、あれ?な」
そこで、彼女の言葉が途切れる。それと同時に、彼女が持つ死神の鎌が変形し、指輪になる。すると、彼女の前にあった竜巻が一瞬で消えた、まるで何かに引っ掻かれたような爪痕を一瞬残して。
「はぁ、相変わらず早いな、リングス。」
「?」
「てか、タナトスはいいのか?引っ込めて?」
「……どう、だって、いい。かのじょは、いまの、状況、に、適、さない、と、判断、した。貴方、は、始め、から、彼女、を、害する、気が、ないと、見た。よって、武装、の、解除、を行った。今、あなた、が、武装を、」
「ああ、分かった。けど、こっちはあんたが何するか分からない、だから、ルルだけ残してもらうぜ。」
「べつに、構わ、ない。」
「よかった」
ランドはそう言うと、剣を元の場所に挿した。
とりあえず、彼女はランドに闘う意志がないと見て安心したが、すぐさま、横から来る何かに向けて、レーザーらしい何かで攻撃した。そして、
「わー!なんでこうなるのよー。」
被害が出た。