表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジャスト・キリング  作者: 髙橋彼方
1/1

第一話『敵襲』

「全国の高校生たちよ!行き抜きたければ、戦え!」

学園×バイオレンス×サバイバルアクション!


『ジャスト・キリング』

第一話『敵襲』

〇登場人物

天上(てんじょう)ノア(18) …東京都新宿区天上女子学園        

番長。

桐谷英佳(きりたにえいか)(18)…天上女子学園特攻隊長。

渋川(しぶかわ)()()(18)…天上女子学園防衛隊長。

(まだら)()タツキ(15)…天上女子学園一年切り込み隊長。

一心(いっしん)(かすみ)(18)…一心財閥の御曹司。また、一心学園の番長。




○天上女子学園・3-3教室(昼)

テロップ『2047年4月5日』


ガヤガヤする教室で椅子に座り、お弁当を開ける制服姿の天上ノア(18)。


ノア「美味しそう!」


弁当の中身はゆかりごはん、ミートボール、タコさんウィンナー、トウモロコシ、ウサギの形に切られたりんごが入っている。箸を取り出して食べ始めるノア。

*ノアのナレーション 以後ナレーションをNと表記


ノアのN「私の名前は天上ノア!天上女子学園に通う18歳。いずれ、全国の高校の天下を取るために日々鍛錬しているの!この学園は、今は亡き私のおばあちゃんが設立したんだ。日本を支える強い女性を育てるために・・・」


いきなり日本刀を構え、ノアの背後から斬りかかる一人の女子生徒。その瞬間、机の隣に置いてある日本刀を取るノア。


『スバッッッッッッ!』


一瞬で女子生徒の首を跳ねるノア。首は教室の中を勢いよく回転しながら宙を舞う。


『グチャ・・・』


嫌な音を立てて落下する首。体は首の切断面から大量の血しぶきをあげながら、ゆっくりとその場に崩れる。


ノアのN「そう。私は普通の女子高生じゃない。というか普通の女子高生になりたかった・・・」


斬り伏せた女子生徒の刀を見るノア。

*ノアのモノローグ 以後モノローグをMと表記


ノアのM「これは一心学園の紋章・・・」


辺りに居た生徒たちが武器を取り、構える。


生徒A「敵襲!敵襲!」


ノアに向かって桐谷英(18)が駆け寄る。


英佳「殿!お怪我は!」

ノア「大丈夫。それより何で一心学園の者が!」


生首をじっと見つめる英佳。


英佳「この女!一心学園切り込み隊長の湯沢(ゆざわ)(みの)か!見張りは何をしている!それと果たし状のない襲撃は御法度。早く財閥に問い合わせねば・・・」


教室のドアを開け、廊下を確認するノア。すると、一つの窓が開いている。見張りの生徒たちは全員が喉を裂かれ、一人が服を脱がされた状態で殺されている。


ノアのM「まさか・・・この三階まで壁を登ってきた!」


振り返り、教室に戻るノア。そして、首の無い蓑の死体を見つめる。


英佳「これに気が付かないとは・・・お前ら一体何をしていたんだ!」


額に汗をかくノア。左手首につけた小さな腕時計程のデバイスをいじる英佳。


英佳「殿!全てのフロアの監視カメラ及び、あらゆる電子機器の操作が出来ません。これでは財閥に連絡が・・・もしや!」


目を見開くノア。


ノア「財閥が私たちを潰しに来たんだ・・・」

英佳「チッ。このままだと他の階の者たちと通信が取れない。先程のように三階までなんの妨害も無く侵入されます!」

ノア「・・・」


俯くノア。すると短刀を持って、腹部を露にする渋川(しぶかわ)()()(18)。


美希「殿!敵の侵入を見抜けなかったのは、防衛隊を仕切るこの美希、一生の不覚。腹を切り、今すぐ償わせてもらいます!」 

ノア「こんな時に、何をふざけた事を言っているの!私の前で自ら命を捨てる真似なんて絶対に許さない!」


睨みながら美希を見るノア。そんなノアの言葉を聴き、短刀をその場に捨てて深く頭を下げて詫びる美希。


『ガシャ、ガシャ・・・』


外からものすごい数人の行進してくる音が聞こえる。


ノア「まさか・・・」


窓に向かって走り、校庭を見るノア。


ノア「やられた・・・」


校庭を見ると近所にある強豪の共学高校、一心学園の生徒と黒いスーツを着た男たちで学校が囲まれている。その数は、天上女子学園の戦力の約十倍の人数が居る。目を疑うノア。校庭の中央でメガホンを持ち、馬に乗っている一心(いっしん)(かすみ)(18)がノアに向かって喋り出す。


霞「あっ!まだ生きてたの?天上ノア、首をもらいに来たよ!」


不敵な笑みを浮かべる霞。そんな霞を険しい表情で睨むノア。


テロップ『九年前・・・』


○天上家・リビング(夜)

ノアのN「あの日から・・・私達の価値観、世間から見られるステータスの中に一つ新しい項目が追加された。そう、あれから私の人生は狂わされてしまった」


リビングでテーブルに着き、夕食を食べながら父と母とテレビのニュースを見ているノア(9)。


ニュースキャスター「今日未明、世界共通法案の『キリング法』が可決されました。これからの時代は学力、財力、そして戦力が求められる時代になります。今から学力だけで無く、何か武術などをお子様に習わせる事を強くお勧めします」


テレビの前で涙を流すノアの母と父。そして、二人はノアを力いっぱい抱きしめる。唖然として、手に持っていた箸を落とすノア。


ノアのN「キリング法とは、2035年以降に人口が爆発的に増加し、世界はあらゆる物質不足に陥っていた。それを解消するために出された法案なの。

一、重火器や化学兵器の使用、それらで直接的に人を殺傷することの禁止。

二、戦闘は校内敷地以外で、いかなる場合でも禁止。

三、果たし状の無い戦闘の禁止。

四、同じ高校の生徒同士での殺人の禁止。

五、軍事技術を戦闘に持ち込むことの禁止。

最後に、学校外に及んだ戦闘の計画及び実行の禁止。

高校生になると世界各国の高校同士で殺し合いをするというもの。このルールさえ守れば、いかなる殺人が合法になる。これがキリング法なんだ。医療は進化し、お金さえあれば病気で死ぬ人が殆どいなくなった現在。もちろん、治療費や食料などあらゆる物が高騰し、貧富の格差が進んだこの日本にも、スラム街が出来て社会問題になっていた。もしかしたら、スラムの生活の方が幸せなのかもしれない・・・高校に入学出来なければキリング法の対象にはならない。そうすれば人を殺さなくて済むから。まあ、高校に入れないくらい貧しい家だと、まず15歳まで生きていられる確率はかなり少ないけど。この世界では、のし上がるために学力と、財力。そして、このキリング法によるサバイバルに生き残る戦力を持つ、優秀なDNAを持った者でしか世界の経済を握る財閥と繋がることが出来ない。容姿などは全て、お金さえあればいくらでも後から変えられる。だから、この世界ではあまり問題じゃない。つまり将来を裕福で安泰な暮らしがしたいなら、キリング法によるサバイバルを生き抜くしか無い」


○同学園(昼)

霞「天上ノア、首をもらいに来たよ!」


ノアの隣にサッカーボール程の大きさの球体型機器が浮いている。機械には大きなレンズが付いている。


ノアのN「この機械の名前はニュートロン。学生たちの戦いを財閥は監視し、記録している。アイツらからしたら、私たちの殺し合いは一種の娯楽でしかない・・・」


ニュートロンを真っ二つに斬るノア。


ノアのM「一心霞。噂には聞いていたけど、ここまでの戦力だなんて・・・この状況はかなりまずい。あの陣形からして既にあらゆる出口は塞がれている。確か一心家といえば、軍事に関わる有名な政治家の御曹司。恐らく、みんなの機器が使えないのは最新の電子パルスによる電子妨害とかだよね・・・」


一心学園の生徒たちの近くに居る黒いスーツの男たちを凝視する英佳。


英佳「あの黒スーツの男たちは、政府の使いのナイン・イレブンズだろ!政府公認殺戮兵士まで投入してくんのかよ!」


左手首の時計型デバイスを見るノア。しかし、何も表示されない。


ノア「助けは呼べないか・・・」


英佳「折角、二年半かけてここまで来たのに。あいつら(・・・・)も、こっちに向かって来ているのに!あともう少しで達成出来たのに!」


涙目になり、歯を食いしばる英佳。それを見て戦意喪失しているクラスの生徒たち。


ノア「何をしているの、みんな!財閥が汚い手を使い、私たちを消しに来たんだ。裏を返せば、そこまで私たちの力は強大になったということ。それも、あの財閥が恐れる程に!電子機器が使えないんだったら、昔のように原始的に戦おう!英佳ちゃん、第三非常ベルを鳴らして!音楽室に移動するよ!あの(・・)場所(・・)に行くことが出来れば・・・」


ノアの発言に反応する美希。


美希「しかし、あそこまでどうやって・・・音楽室は隣の校舎。防衛装置が使えないこの状態で、あの数の敵兵を退けて行くのは不可能に近い。殿の考える作戦の意図は分かります。でも、行くまでに全滅の方が濃厚なのでは・・・」

ノア「確かに。成功確率はほとんど無いに等しいね」


ニヤリと笑うノア。


ノア「普通ならね!私たちは勝てそうになかった状況を今までいくつ乗り越えてきたと思う?」


目の色を変える美希。


ノア「仮に全滅になったとして、もがいた結果なら納得がいく。だけど、何もしないで死ぬのは絶対に嫌だ!それに、私の家族(・・)が只々無惨に殺されるところなんて絶対見たくない!最後まで戦って!敵の数がこっちの十倍なら、一人十人斬るまでは絶対に死ぬことを許さない!私たちなら、この状況もきっと突破できる!みんな、ついてきて!」


ノアの言葉を聞き、教室の皆が表情を瞬時に変える。


教室一同「はっ!」


決意を固めた表情でノアに向かって返事をする一同。そして、髪をかきあげるノア。


ノア「政府の殺し屋だか何だか知らないけど、今まで数々の死地を乗り越えてきた私たちは簡単には落とせないよ。みんな、出陣!」

教室一同「オォォォッッ!」


天高く拳を突き上げる一同。そして、不敵の笑みを浮かべるノア。


英佳のM「流石ノア様!あの状況で皆の士気を上げるとは!やっぱりそそるわ♡」


頬を赤くしてノアを見つめる英佳。


〇一階・一年校舎(昼)

  一階では既に校内へ侵入した一心学園の生徒たちと戦闘が起こっている。その中で、天上女子学園一年切り込み隊長の斑木タツキ(15)が、自分の身長と変わらない程の長さの太刀で次々に侵入した一心学園の生徒を斬り伏せていく。タツキの周りにはバラバラになった死体が転がっている。

?「お前が斑木タツキだな?噂通りの化け物だ・・・」


声のする方を見るタツキ。そこには二メートルを優に超える、オレンジ髪でモヒカンの大男が立っている。また、右手には巨大な金棒を持っている。男に向かって切りかかる天上女子学園の生徒たち。金棒を横に一振りする男。すると、金棒が当たった女子生徒たちの体がバラバラになり、壁にはじけ飛ぶ。その光景に顔色一つ変えずに答えるタツキ。


タツキ「そういうお前こそ化け物だろう」

?「この人数をほぼ一人で食い止めていたとは。全く殺すには実に惜しい女だな!俺の名は市角・・・」

『グシュッッッ!』

?「グハッゥ・・・」


激痛に顔が歪む男。腹を見ると太刀が刃を上にして貫通している。視線を上げると目の前にタツキの姿がある。


タツキ「なにトロトロ喋ってんだ?このタコ・・・」

?「チ、チクショ・・・」


男が金棒を振り上げると同時に、タツキは男の腹に刺さった太刀を勢いよく振り上げる。すると、男の体は腹から真っ二つになり、その血しぶきでタツキの体が赤く染まる。


『リリリリリリリリィン!』


第三非常ベルの音が校舎に鳴り響く。


タツキ「この音は第三非常ベル・・・そこまで追い詰められているのか!皆の者、至急音楽室に向かうぞ!」

天上女子学園一年生一同「はい!」


タツキの指示で一斉に階段を登り始める天上学園一年生たち。


『ダダダダダンッッッ!!』


連射された銃声が校内に響き渡る。険しい表情で振り向くタツキ。すると、天上女子学園一年生たちの死体が転がり、血の海になっている。そして、骸の先を見るとサブマシンガンを持ったナイン・イレブンズが立っている。


タツキ「銃だと・・・」


男たちが銃口をタツキに向ける。目を見開くタツキ。


〇二階・二年校舎(昼)

  二階に階段を使って降りるノア率いる三年生たち。そして、次々と窓から侵入した一心学園の生徒たちが襲い掛かってくる。


一心学園生徒A「天上ノアだ!首を取れ!」


ノアに向かって飛び掛かる一心学園の生徒を自分と大きさが変わらない程の金属で出来た大槌で薙ぎ払う美希。更にノアに向かって来る一心学園の生徒たちを食い止める美希率いる二年と三年の防衛隊。辺りを見るノア。すると、二年生の死体がそこかしこに転がっている。


美希「殿、私たちがここを持ちこたえさせます。殿と英佳たちは一刻も早く渡り廊下へ!」


歯を食いしばるノアと英佳。


ノア「頼んだ・・・」

英佳「死ぬんじゃねぇぞ!」

ノアと英佳に向かって笑みを浮かべながら頷く美希。それを見て、美希から別れるノアたち。また、他の二年生が一丸となって廊下の道を切り開いている。渡り廊下までの道を、敵を斬りながら駆け抜けるノアたち。渡り廊下にたどり着くと、そこにいた一心学園の生徒全員が切り伏せられ、倒れている。そして、そこには一人の槍を持った男が立っている。目を見開くノアと英佳。


英佳「お前は・・・」


ノアと英佳を見ながら微笑む男。


男「久しぶりだね。ノア・・・」


男を唖然として見つめるノア。


ノア「何で、ここにいるの・・・」

テロップ『二年半前』


○天上女子学園・校門前(朝)

  雲一つ無い空。空を見ながら校門の前におろしたての制服姿で、手提げ型のスクールバッグ片手に立つノア(15)。


ノアのM「今日から始まるんだね・・・まずは今の頂点(てっぺん)を倒さないと」


そこに、体格の良い二人の女子生徒が近づいてくる。


女子生徒A「おい、そんな所で何やってんだ?」

女子生徒B「お前、見ねぇ顔だな?あ、そういえば今日入学式だったな」

女子生徒A「てことは、新一年生か?そりゃ可愛がってやらなきゃな!天上女子学園のルールで!」

女子生徒B「そうだな!とりあえず有り金、全部出しな!」

拳を振り上げてノアの方へ向かってくる二人。スクールバッグを置き、そんな二人の攻撃をあっさり避けて、女子生徒Aの首を蹴り、女子生徒Bには溝に肘打ちをするノア。口から泡を吹きながら倒れる二人。


ノア「・・・」


二人を睨んだ後、バッグを拾い校門を潜るノア。


○天上女子学園・一階(朝)

  教室の窓からノアの一連の行動を見ていた英佳(15)と美希(15)。


英佳「面白そうなのが入って来たな・・・」

美希「見た目からして、アレも一年かな?そそるじゃん!かなり強そうだよ」

英佳「初日から遅刻とか、マジで尖ってんじゃん。まぁ俺以上に強いヤツはいないけどね」

美希「俺じゃなくて、私達でしょ!」


そう美希が言うと顔を見つめ合う二人。そして、再びノアの方に視線を戻すと不敵な笑みを浮かべる。


〇同学園・玄関(朝)

  スクールバッグから上履きを出して履くノア。辺りを見回すが誰もいない。


ノア「ん、早く来すぎたのかな?」


廊下に貼られているクラス分けの張り紙を見るノア。


ノア「1-3か・・・やっぱり最初が肝心だから、みんなに覚えてもらうためにも派手にいくぞー!」

『キーンコーンカーンコーン!』


そこにチャイムが鳴る。


ノア「チャイム?うわ!まさか時間、間違えた!」


全力疾走で教室に向かうノア。


〇同学園・教室前(朝)

  息を切らして、教室の前に立つノア。背筋を伸ばし、深呼吸する。


『ドンッッッ!』


教室のドアを勢いよく開けるノア。すると教室にいた生徒全員がノアに注目する。


ノア「私の名前は天上ノア!大いなる目標のため、まずはこの高校の頂点(てっぺん)を取る!そのためにも、このクラスの番長に私がなる!そういうワケで、みんな夜露死(よろし)()!」

笑みを浮かべて皆を見るノア。

                  END


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ