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第三話 受諾の日③

連続投稿です。

 ――僕は自分の目を疑った。

 セディアさんが此処に居るのはおかしいからだ。

 僕が此処に着いてから未だ5分も経っていない。

 だと言うのに、此処から後6分はかかるであろう地点からどうやって来たのだろうか?


 「セディアさん? なんで、、、というか、どうやてここに?」

 「、、、なんで隠れるんだ? 出てこい、戦力だろ。」


 僕の問いにセディアさんはそう答える、、、というよりは、そう呼び掛けている。

 僕には理解しかねる言葉だ。

 すると、突然セディアさんの影が揺れ、そこから白色のフリフリな服を着た僕と同じか僕より小さめな女の子が出てきた。

 カールがかったフンワリめのホワイトゴールドの髪が腰辺りまで延ばされている。

 そして、セディアさんの後ろに隠れて、顔を覗かせている。


 「、、、自己紹介はどうした?」


 セディアさんがそう少女に優しく声をかけて自己紹介を促す。

 すると少女は、ゆっくりと口を開く。


 「ティーニャ・フォンデルンと申します。えっと、よ、よろしくお願いします、、、。」


 天使の様に澄んだ、幼さの残るとても奇麗な声でそう名乗る少女。

 その天使の輪のような髪飾りがよく似合う。

 僕はその少女に「よろしく」とだけ言うと、怪物の方を見る。

 すると、セディアさんが声を出す。


 「待ってくれていたようだな、それでは、戦闘再開と行こうか?」

 「繧ゅ≧繧医>縺ョ縺九〒縺ッ陦後¥縺《もうよいのか? では行くぞ?》」


 こうして、第二ラウンドが開始した。


 先手は怪物。

 そのナイフの様な物で攻撃を仕掛けてくる。

 そのナイフは、ティーニャを狙っているようだ。

 僕は一瞬動こうか迷ったが、セディアさんが此処へ連れてきたのだ、その心配はいらないと思い、ティーニャの方ではなく、怪物へと駆け出した。


 怪物は僕の方にもナイフを放ってくるが、先程より遅い。

 僕はそれを弾いて更に近づく。

 だが、次の一撃が強烈だったために、後退してしまう。


 「――!?」


 僕が後退をした途端、ティーニャへの攻撃が到着する。

 そう思った瞬間だ。

 ティーニャは忽然と姿を消し、その攻撃を避ける。

 その事に怪物は動揺しているようだった。


 「ふっ、ティーニャに攻撃が届くわけないだろ?」


 セディアさんはそう一言いうと、走り出し、怪物へ接近する。

 怪物は、ティーニャは一度捨て置き、セディアさんへ集中する。

 数本のナイフが飛んでいく。

 だが、セディアさんはそれを右腕に装着した弾砲で全て弾く。


 「ほう、私の【リベリオン・ロアー】に掠り傷を付けるのか、確かに、強いな。」


 そういうと、セディアさんはその弾砲――【リベリオン・ロアー】を撃つ。

 瞬間、ゴウッ! っと、地響きを起こしながら【リベリオン・ロアー】が咆哮を上げる。

 その咆哮によって起こった衝撃で枯れた木の枯れた葉が全て吹き飛んでいく。

 クールな微笑みを浮かべたセディアさんを見て思う。


 ――この人は、まだ【魂魄技能(ストック)】を使っていない。


 怪物の方を見ると、何とか避けたのか、少し位置が変わっている。

 ただ、深手は負っているようだ。

 右の腕の肘から先が存在しない。


 「縺セ縺輔°謌代↓荳?謦?r荳弱∴繧九→縺ッ繧?k縺ァ縺ッ縺ェ縺?°《まさか我に一撃を与えるとはやるではないか》」


 額に汗を滲ませ、焦ったような表情でそう叫ぶ怪物。

 僕には何を言っているのかは解らないが、セディアさんは直感で大体の内容が解るのだろう。

 何故かドヤっている。


 「ティーニャ、トーヤ、行くぞ。」


 僕はその声で意識を切り替えて、怪物の方に集中する。

 怪物は汗を滲ませ、焦ったような顔はしているが、そこはかとない余裕が感じられる。

 僕は一気に詰める。

 怪物の死角に入り、その首を狙う。

 が、此奴には死角は存在しないらしい。


 「クッ!」


 ナイフが下から飛んで来る。

 僕はそれを【ダイトナイフ】で止める。

 が、これでは一向に近づけない。

 僕はどうやって近づくかと策略を考える。



 だが、思い浮かぶ案は全て防がれてしまうような策ばかりだった。


 「ティーニャ! あの作戦だ!」

 『は、はい!』


 セディアさんが叫ぶと、どこからかティーニャの声が聞こえる。

 作戦とは何の事だろうか?

 と――


 「ッ!?」


 ――突然、全身を浮遊感が襲う。

 それと同時に、周囲が真っ暗になる。

 何が起こったのかと思うと、背後に気配を感じた。

 その方を見ると、そこにはティーニャがいた。


 「な、なんか、暑いです……。」


 そんな事を言いながら、汗を拭っているティーニャに僕はこの状況についての説明を求める。


 「ああ、えっと、こ、これは私の【魂魄技能(ストック)】なんです。」


 僕の問いに、ティーニャはそう答える。

 僕はその答えに、一連の流れを悟る。

 突然姿を消したのは、この【魂魄技能(ストック)】を使ったからか。


 「……作戦って、何のこと?」


 僕はティーニャにそう問う。

 その問いに、ティーニャが答える。


 「はい。わ、私の【魂魄技能(ストック)】は影の中を自由に移動できるという物です。そ、それで、と、トーヤさんを運んで、あの敵を叩くという作戦です。」


 ふむ、確かに、それはいい作戦だ。

 要するに――


 「協力プレイ、か。」


 僕は右手でしっかりと【ダイトナイフ】を握り締め、さらに、腿に下げてある“二つ目の相棒”を取り出し、左手で強く握りしめる。

 そして、ティーニャにいう。


 「じゃあ、行くよ。」

 「――は、はい!」


 僕の声にそう答えるとティーニャは【魂魄技能(ストック)】の真価を発動した。


 「繝輔ワ繝上ワ菴懈姶縺ィ縺ッ騾?£繧九→縺?≧莠九°諢壹°縺ェ縺薙→繧偵☆繧九↑《フハハハ! 作戦とは逃げるという事か? 愚かなことをするな?》」

 「、、、逃げる、ねえ? それはどうかな?」


 ――途端、怪物の腕が飛ぶ。


 「繧ー繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「《グアアアアアアアアアアアアアアアア!》」


 黄緑色の鮮血が技面に垂れる。

 怪物が眉間に皺を作り、辺りをキョロキョロと眺める。

 だが、自身の腕を吹き飛ばす物が見当たらない。

 そう思い、セディアさんに目線を戻したのだろう。

 それが奴の敗因だった。


 「――おら! よそ見してると、また大怪我すんぞ!」


 僕はそう言いながら奴の背中にある影から姿を現し、今度はもう片方の腕を完全に切り落とす。


 「繧ー繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「縺ェ繧薙□縺薙l縺ッ《グアアアアアアア! なんだ、これは!?》」


 僕は其の儘空中に身を投げ出し、僕に迫るナイフの攻撃を全て弾く。

 そして、もう一つの相棒、【ソニック・バレッド】が火を噴く。

 パンッ、っと、乾いた音を森に反響させ、怪物の胸を貫く。


 「繧ー繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「《グアアアアアアアアアアアアアアアア!》」


 怪物は今まで感じた事の無い痛みの連続に声を上げて痛みを露にする。

 僕は地面に足を付けると尚も苦しむ怪物に【ソニック・バレッド】の弾丸を浴びせる。


 「これがテメェが見下した愚かな人間の力だ。」


 僕がそう言ってやると、怪物は最早声にも成っていない不快音で形成された咆哮を上げる。

 そして、無数のナイフを瞬時に生成し僕めがけて放ってくる。

 それらを全てナイフで弾き、回避し、捌いていく。


 「―――――――――――――――!!!!!!!!」


 尚も咆哮を上げ、ナイフを作り続け、僕に攻撃を浴びせてくる怪物。

 僕は先程よりも俊敏な動きでそれらを捌いていく。

 そのさなか、【ソニック・バレッド】を打ち込みながらも全てを避けていく。


 セディアさんは、僕が超級と判定された怪物相手にここまで出来ている事に少し驚いているようだ。

 僕はその様子を見て少しうれしく思う。


 今まで沢山の迷惑をかけた恩人だからだろうか?

 何だって良い、僕は今、此奴を――


 「カハッ――!!」


 ――僕の右胸に奴のナイフが突き刺さる。

 口に血が登ってくる。

 そして、胸から流れる血と混ざって地面に滴り落ちる。


 「雋エ讒倥□縺代〒繧よョコ縺励※繧?k豁サ縺ュ《貴様だけでも殺してやる、死ね!》」


 だが、僕は【ダイトナイフ】を手放し、そのナイフを掴んで怪物を睨む。

 その瞬間、周囲の温度が更に高温となる。

 そして、僕の掌から伝わった熱により今まで一切燃えなかった怪物のナイフが、燃え始める。

 僕はそれが全て灰になる前に胸から引き抜く。

 そして、【ソニック・バレッド】の引き金に指をかけ、怪物に一言声をかける。


 「死ぬのはテメェだ。燃え滓になって消えやがれ。」


 僕はそう言い終えると、その引き金を引く。

 パンッ、と、乾いた音を上げて、赤熱した【ソニック・バレッド】の弾丸が怪物の額を貫いた。

 すると、その顔にくっついていた仮面がぼろぼろと崩れていく。


 「バ、カな、、、我が、、、人間風情にィ――!」


 その瞬間、僕の炎により全てが燃え尽きる。

 怪物は、灰になって、さらさらと空に舞って消えていく。

 僕は勝ったのだ。

 超級の【妖魔(デーモン)】に。


 既に僕の胸に出来ていた傷は塞がっている。

 僕の【魂魄技能(ストック)】の能力だろう。


 周囲の【妖魔(デーモン)】の気配が一気に消える。

 そして、黒く曇っていた空は清々しいほどに晴れ、陽光が降り注いでいる。


 僕はそれを眺めて、セディアさんの方を振り向く。

 そして、声をかける。


 「――【妖魔大進行(スタンピード)】の終息を確認、任務完了。」


 僕は全身が一気に冷えて行くのをしっかりと感じ取り、セディアさんの顔を見て――


 「――ッ」


 ――意識を手放した。

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