お兄ちゃんまた私のアイス食べたでしょ! 〜復讐の為、妹はチートアイス無限生成魔法を開発。今更謝ってももう遅い! あー美味しいなあこのアイスー〜
「あーお兄ちゃん! また私のアイス食べたでしょ!」
魔導冷蔵庫に入れていたイケイケ君のソーダ味のアイスが無くなっていた。
間違いなく昨日買って入れていたはずなのに。
「おー何ー? 俺、知らないよー?」
兄はニヤニヤ顔でお尻をかきながら2階から降りてきた。
お前その顔絶対知ってるだろ。
「知らないないはずないでしょ! お兄ちゃんしかアイス食べる人いないもん!」
「えー母さんかもしれねーじゃん」
「お母さんは人のアイス勝手に食べたりしない!」
こいつ、まさかこのままシラを切り通すつもりか。
妹のレイナは焦る。最低でも弁償させなければ。
「お兄ちゃん、勝手に食べたレイナのアイス買ってきて!」
「いやーだから、俺食ってねえしー。言いがかりだしー」
憎たらしい顔と言い回し。あ! オナラまでしやがった! くそー!
「もう! お母さんに言いつけるよ!」
「食ってねえもんは食ってねえんだよーん」
バシッ!
レイナは兄のクライドにローキックをかました。
「痛って!」
「お兄ちゃんのバカ!!」
レイナは反撃をくらう前に2階の自分の部屋に駆け戻る。
はあはあ
くそー全然やり足りない。
でも暴力勝負になればこちらに勝ち目はない。
お母さんには当然言いつけるとしても……その罰はせいぜい知れてる。
どうしてくれよう。
今度お兄ちゃんが何か買ってきたらお返しに食べてやろう!
ただお兄ちゃんは基本買ってきたらすぐに食べる派だ……
もうお兄ちゃんには我慢できない。
この前だってレイナのうまいだろう棒を勝手に食べて悪びれもしなかった。
いいだろたったの10ギルなんだからってお金の問題ではないのだ。
お母さんもレイナは女の子なんだからなんて言うけどレイナは花瓶に生けられた花じゃないの。心があるのよ。
お兄ちゃんの言うことを聞きなさい、とも言われるけど、毎回毎回こんな風に虚仮にされているのに私がいつまでも従順でいるとでも?
妹だからという理由で何をしてもいいという理由にはならない。
妹だって理不尽な思いをすれば悔しいし辛いのだ。
そうだ! アイスがないなら魔法で作ってしまえばいいのだ!
幸いレイナは錬金魔法が得意だ。アイスなんか簡単に作れるだろう。
アイス作れるようになっても当然お兄ちゃんにはあげない。
大好きなアイスを毎日私が作って美味しそうに食べてれば……
へっへっへ。きっとお兄ちゃんは悔しがる事だろう。
早速レイナは必要な材料などの準備に取り掛かった。
レイナが台所で何やら実験をしているのを母親のマリザは見つける。
「レイナ何してんの?」
「ん? アイス作ってるー」
アイス? どう見ても魔術の実験にしか見えなかった。
レイナは小さい頃から変わり者で一人でブツブツと言いながら集中して何かを作る事が多かった。
そしてそうして作り上がったものはしょうもないっと言ったら言葉は悪いが実用性には乏しいものばかりだった。
多分夕食前になれば台所は空けてくるれるはずだ。
母親はまたレイナが変わった事をやってる、
と結論づけそれ以上その事を追求するのは止めた。
ここ数日の事だがレイナがまた何やらおかしな物を作っている。
そしてアイスの件にあれから全く触れてこない。
レイナの性格的に絶対復讐がくると警戒しているのだが今の所、そのような気配がない。
(もしかしてアイスの事はもう忘れた?)
兄クライドはそんな風にも考えるが……
いや食い意地のはったレイナの事だ。
他のことならともかく食い物に対する執着と執念には驚くべき所がある。
うまいだろう棒も勝手に頂いたのは半年以上も前に関わらず、いまだに折に触れて言ってくる。
復讐は機を見て行ってくると思っていいだろう。
もしかしたら神経戦に持ち込むつもりか。
くそー策士め。
兄は勝手に疑心暗鬼になっていた。
「やったぁ! できた!」
氷結魔法と砂糖を錬金魔法で掛け合わせる事によってついにアイスの第一号が完成した。
見た目は……ただのかき氷のように見える。
今していないだけで着色をするのは容易だ。問題は味。
シャクシャク
食べてみるが……その味は微妙だった。
まずくはないがうまくもない。
何がダメなのだろうか?
レイナはそれからまた数日かけてアイス生成魔法の完成度を高める為に試行錯誤する。
「うん! おいしい!」
程よい甘さながらアイス独特の食べやすさにより癖になる味。
イケイケ君に勝るとも劣らない出来栄えだと自慢できる。
これでやっと……千年の親の仇に復讐ができる――
レイナは不敵な笑みを浮かべながらそろそろ夕ご飯をお母さんが作る時間になる為、台所に散らばっている研究道具を片付け始めた。
ん? レイナがアイスを食べている。
月一の小遣い日まではまだまだある。
レイナはこの前、無謀な事にお人形を買ってすっからかんになったはずだ。
一体どのようにしてアイスを?
もしかして母さんが買ってきた?
兄のクライドは魔導冷蔵庫に駆けつけ、冷凍室を開けるが――
そこにあるは冷凍されている作り置きの食品のみであった。
「おい、そのアイスどうしたんだよ」
レイナを問い詰めるが、こいつ…………ニヤニヤしてやがる。煽るつもりか?
「どうしたの? 冷凍庫覗いたりして? 欲しいのアイス?」
くっ! そんなの欲しいに決まっているだろうが!
俺のアイス好きを知っていながらこいつ……もしかしてこの前の復讐か?
兄のクライドはようやくその事に思い当たった。
「欲しそうだね。欲しいんだったら上げるよ?」
「ほんとか? ……じゃあ、くれ!」
「はい! 上げたー」
レイナはアイスが入った皿を頭上高くに上げた。
くっ! 超古典的な手を使いやがって!
「あーおいしいなーアイス、おいしいー」
くそう! 俺の小遣いは……ダメだ確か後、32ギルしかなかったはず。
アイスはとてもじゃないが買えない。
奪うか? でも今、母さんが近くにいる。怒られるリスクが高い。
そうこう兄のクライドが迷っているうちに――
「あーおいちかったー、ごちそうさまー。あーアイス美味しかったなー」
レイナはアイスを食べ終わってしまったようでアイスを盛り付けていたお皿を洗い場に持っていっている。
くっ! 覚えてろ! 俺はうまいもんはすぐに食う派だが、妹のレイナはお楽しみは後にとっておく派。
どうせヘソクリ使って無理してアイス買ったんだろ?
今度お前がアイス買ってきた日が最後だ。覚えてろ!
兄のクライドはそう復讐を誓いながらすごすごと2階の自室に戻っていった。
へっへっへ。
お兄ちゃんのあの悔しそうな顔。
素直に謝れば…………まあ今更もう遅いけど……許してやらんでもないのに。
明日も夕食後にアイス食べてやろー。
妹のレイナは上機嫌に自室に引き上げていった。
二人のいなくなった台所に残るは母。
父は今日も残業で帰りが遅かった。
レイナまたアイス食べてたな。
母はちゃんと認識していた。
この前、確か大きなお人形買ってお小遣いなくなったはずでは?
そこから更にアイス買えるようならお小遣い減らしてもいいかも。
二人が知らないうちにお小遣い事情はピンチに陥りそうになっていた。
さてこのレイナが作ったアイスだが材料はいくらでもある水と少量の砂糖。
MPは消費はほぼなしでいくらでも作れるという優れものだった。
この少女がもし商売の知識があるようならすぐにでも商品として売り出し大儲けしていた事だろう。
しかしそこはまた年端のいかない少女。
更に周りの大人も少女は変わった事をしている、ぐらいの認識しかないため、気づかれる事も無く。
もちろん今はこんな少女も大人になれば大物になるは遠き未来のお話。
今、レイナはその才能を浪費しながら、家族との生活を楽しんでいくのであった。
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