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第7話〜マグヌソン社長

第一研究所、敷地内にて



各国から莫大な支援を受けながらも、その存在を表立って公表されていない研究所。


某国に存在するその巨大な研究施設は、小国ならすっぽりと入るほどの面積を誇る。


世界中に存在する支部の全てが集まり、統合され、結果へと昇華される場所。


数えきれないほどの命が弄ばれる地獄。


広大な敷地には厳重な警戒態勢が敷かれている。


高さ10メートルに及ぶ壁が囲み、出入り口は東西南北にひとつずつしかない。


そして壁の内側には数千人規模の兵士が絶えず巡回し、警備している。


中心に近づくにつれて人影は少なくなっていき、研究所の半径3㌔圏内は最先端技術の宝庫となっている。


専用のパスがなければ各所に設置された兵器により、一瞬で消し炭と化すことは火を見るより明らかだ。


稀に他国のスパイが研究所の存在を嗅ぎつけ侵入しようと試みるが、門の存在に阻まれ、壁を越えて侵入した者もすぐさま捕らえられた。


一度大規模な侵入を許したが、研究所の周囲の技術の結晶の前には無力だった。


そんな厳重な砦に、夜間壁を越えて侵入した2人の男がいた。


兵士達の警戒の目を巧みにくぐり抜け、どんどん中心に近づいていく。


そして最大関門である兵器軍の射程圏ギリギリで止まると、男の片割れが突然服を脱ぎだした。


裸になった男は少し間を空けるといきなりその姿を変化させる。


ものの十数秒で変化を終えると、凄まじい速さで地面に潜り込んでいく。


その姿は人と爬虫類を足して割ったような見た目だった。


しばらく掘ると男は穴から出てきて、もう片方の男を丸呑みにした。


そしてそのまま穴に飛び込んで姿を消した。


第一研究所、所長室にて


白衣を着た若い男が、緊張した面もちで椅子に座る人物に報告をしている。


「第十二支部から報告です。シボリン地方のミキズの街にて、S級指名手配を受けていたNo.0047、No.0428、No.1008を発見。¨鷹の目¨を使って監視しているとのことです。」


若い男の緊張とは裏腹に、所長室の主は手元の電子機器に夢中のようだ。


ここでこの場に第三者がいた場合、違和感を感じることだろう。


だいの大人が緊張しながら報告している相手は、十歳に届くかといった幼い少年なのだから。


「第十二支部といえば、たしかスヤマギに支部長を任せていたはずだよね?あの男は出世欲が強かったから、¨鷹の目¨を使って指名手配犯を仕留めて功績を上げてここまで進出!とか考えて勝手なことしそうだよねぇ。まぁ自分の欲に素直なとこに好感がもてたから支部長に推薦してあげたけど、でも最近ちょっと調子にのってるんだよなぁ」


手元の電子機器からは目を離さずに、少年は長々といっきに言葉を吐き出す。


その口調に年相応の幼さはない。


「¨怪人¨ちゃんも¨ドクター¨ちゃんも¨侍¨ちゃんもボクのお気に入りだから、発見したら手を出さず報告だけするよう各支部に通達しといたけどさ。あいつ、それを履き違えて先走ったりしてないかな。まぁあの子達がそう簡単に死ぬことはないと思うけどさ。もし万が一誰か一人でも殺してたら第十二支部ごと消しちゃおう」


淡々と呟く少年に、男は本気で恐れを感じているようだ。


この少年は本当に言ったことを実行できることを知っているからだろう。


「で、では第十二支部には念を押しますか?先走った行動をしないように」


男の言葉に、少年は顔を上げずに頷いた。


「分かりました、マグヌソン所長」


それを確認すると、男は一刻も早く部屋から逃げたいというように早足で所長室を後にしようとする。


扉に手をかけた瞬間、目の前で扉がはじけた。


第一研究所、裏口にて


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