第6話〜神の闇医者
ミキズの街、B地点付近より
落ち着いた雰囲気の街の中、¨ドクター¨は追っ手を撒くべく走っていた。
目についた近くの路地に飛び込む。
そのまま息を潜めていると、¨ドクター¨を見失った男たちがバラバラに散らばっていく。
「(参ったねこりゃ。¨侍¨ならともかく、僕じゃあの数を相手するのはきついな)」
街中の至る所に追っ手とおぼしき男たちの姿が見える。
全員街中のため表立って武装していないが、拳銃くらいは持ち歩いているだろう。
「(注射器も数に限りがあるし、久々にあれをやるかな)」
¨ドクター¨は自分の顔に手を当てると、手鏡を取り出して注意深く指を動かし始めた。
ミキズの街、B地点より
街の中心から外れた場所に位置する、バーの横の路地裏。
そこに奇妙な仮面をつけた白髪の男と、大型のキャリーバックを持った作業服の男がいた。
作業服を着た男がしきりに面をつけた男に話しかけているようだが、面の男は反応しない。
それでも作業服の男は楽しそうに話しかけ続けている。
そこにメガネをかけた黒髪の女性が近づいていく。
作業服の男は一瞬警戒したようだが、すぐに相手が誰だか分かったらしく笑顔で話しかけている。
「¨ドクター¨、無事だったか!まったく、俺を放置して逃げるとか本当にありえねぇ!」
作業服の男の言葉に黒髪の女性はメガネを外しながら答えた。
「僕はあなた方と違ってあまり腕力にも体力にも自信がないんですよ」
その答えに作業服の男は大声で笑った。
「はっはっは!そりゃ確かに人ひとり抱えて走るなんて、あんたにゃ無理だろうよ!」
ひとしきり笑った後、作業服の男は足元に置いていたバックを開いた。
「ところで¨ドクター¨。これ、治してくんない?結構お気に入りだからさ。」
そう言って取り出したのは金髪の女性の死体だった。
「OK、まだ時間はそんなに経ってないからいけると思うよ。傷を塞ぐだけていいんだろ?」
「ああ、頼む。この体じゃ動かしにくくてしょうがない。その体が一番具合がいいんでな」
そう言って腰を下ろし、あぐらをかく作業服の男。
そして数十秒後。
「できたよ。これて元通り動くはずだ。」
「ありがとよ、¨ドクター¨。」
そう言うや作業服の男は金髪の女性の死体の頭部に触れる。
そしてすぐに手を離すと、何故ここにいるか分からないといった様子で辺りを見渡した。
目の前の女性の死体と、自身が囲まれていることに気づくと、作業服の男は悲鳴を上げて走り去って行ってしまった。
そしてとうの死体はいきなり目を見開くと、起き上がって体をチェックしている。
「ん、さすが¨ドクター¨ね。違和感はほとんどないわ。」
「どう致しまして。まぁその体を弄るのは初めてじゃないからね」
そう答えた男は、もはや先ほどまでの女性の面影すら残していない。
「もう、その言い方はセクハラよ!でも助かったわ。あの作業服が私の死体の近くにいたからとっさに体を借りたけど、やっぱりこの体が一番ね。」
¨怪人¨は笑顔で体を動かして確認している。¨ドクター¨も顔を元に戻して静かに微笑んでいる
第一研究所、所長室にて




