第3話〜狙撃
ミキズの街、とあるマンションにて
男はスコープ越しにアパートの中を覗きつつ、ターゲットのプロフィールを暗唱している。
「実験体No.0047、性別・年齢ともに不明。能力名【擬態する怪人】。コードネーム¨怪人¨。肉体操作による腕力の強化に超速再生。見た目も変化可能。戦闘能力Aランク。第一実験場から脱走後S級の指名手配。」
窓から見える金髪に標準を定めながら呟く。
「実験体No.0428、性別男。年齢28。能力名【神の闇医者】。コードネーム¨ドクター¨。触れることで体細胞を変化させることが可能。致命的な怪我の再生から新たな臓器の製造までこなす。戦闘能力Dランク。第一実験場から脱走後S級の指名手配。」
ここからで死角で見えない男の写った写真を思い出す。
黒髪にメガネ、優男な風貌に白衣。
服装はともかく、西洋人であること以外に目立つ特徴はない。
そして指定された三人組のうち最も特徴的な男。
「実験体No.1008、性別男。年齢17。能力名【制限なき加速】。コードネーム¨侍¨。爆発的な身体能力と武器センスを持ち、1対1の戦闘において無敵。戦闘能力SSランク。第一実験場から脱走後S級の指名手配。補足情報、度重なる薬物投与により白髪。脱走前日の実験失敗により顔面に大きな疵痕あり。」
(戦闘能力的にまずは¨侍¨を始末するのがベストだが…。あいにくここからはどの角度からも脚しか狙えない、か。)
アパートの中を監視している男は冷静にそう分析していく。
(戦力を削ぐことを第一にした場合、致命傷を与えるのがベストだろう。まずは窓際の金髪から仕留める。特徴的に¨ドクター¨でも¨侍¨でもない。顔写真は依頼書に載っていなかったが、人数的にあいつが¨怪人¨だろう。)
スコープ越しに見える¨怪人¨の横顔が天使のように美しいのを、男は無理やり脳から追い出す。
仮に間違っていても、同室で談笑している以上やるしかない。
どっちみち協力者、目撃者も始末しなければならないのだから。
(戦力として役にたたないであろう¨ドクター¨は最後に始末するとして、肉体操作の¨怪人¨は動きが素早いことが予想される。)
¨怪人¨の見事な金髪に覆われた頭部に標準を絞っていく。
(ここから俺が一人始末し次第、部隊が押し寄せ残りを始末する。¨侍¨は近接戦闘ではかなわないだろうが、銃器で離れて攻撃すればいい。そこら辺は部隊長が判断することだ。)
あらかじめ聞いていた作戦を思い出す。
(即死でない場合¨ドクター¨が治療してしまう可能性がある。確実に始末するために¨怪人¨の頭部を吹き飛ばす。)
男はそう分析して、標準を¨怪人¨の頭部に定め、タイミングをはかる。この一発が作戦開始の合図だ。
男はトリガーに指をかけると、タイミングを見計らい引き金を引いた。
次の瞬間、スコープ越しに頭部を打ち抜かれて真っ赤に染まる¨怪人¨が見えた。
ミキズの街、とあるアパートにて