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第15話〜第十二支部

第十二支部近くの喫茶店にて



¨怪人¨と¨ドクター¨は第十二支部の近くにある喫茶店にいた。


そこからは支部の入り口がかろうじて観察できる。


「確かにバカンスついでに偵察もしていたけど、まさか潰すことになるなんてねぇ」


¨怪人¨の呟きに、向かいの席でコーヒーを飲んでいた¨ドクター¨が返す。


「僕らがこっちに来ている間に、¨ツチノコ¨と¨ボーン¨が第一研究所に向かってたらしいからね。データ採集と爆破による損害を与える任務って聞いたけど、成功したかは聞いてないな。でも他の支部や研究所が動揺してるってことは爆破は成功みたいだね。だからこそ僕らに第十二支部の機能を停止させる指令が下されたわけだし」


¨ドクター¨の言葉に心配そうな顔をする¨怪人¨。


「¨ツチノコ¨に¨ボーン¨…。二人とも無事だといいけど。研究所から逃げるとき、二人にはだいぶ助けられたし。まだ借りを返せてないのよね…」


「今の状況じゃどうしようもないね。とにかく今は目の前のことに集中しよう。と言っても、やるのは¨侍¨だけどね」


薄く笑いながら¨ドクター¨は言うが、¨怪人¨は不安気だ。


「やっぱりついて行った方がよかったんじゃない?いくらこんな端っこの方の支部だって、支部であることには変わりないのよ?」


「彼が一人で行きたいと言ってきたんだからしょうがないさ。あれでいて頑固なんだから、好きなようにさせてあげようよ。ここは彼にとって思い出の地でもあるんだし」


「そうなの?あの子、話してる姿を見たことないから意外ね。もしかして私だけ避けられてるのかしら…。」


「そんなことないよ。彼とは僕も言葉を交わしたことはない。ただ昔、彼の過去を知る機会があっただけさ」


「興味深いわね。別に他人の過去を嗅ぎ廻る趣味があるわけではないけど」


「残念ながら僕もあまり詳しくは知らない。知ってるのはここが彼の生まれ故郷で、彼の親友と一緒に研究所に捕まったこと。彼には親友以上の適性があり第一研究所に引き取られたってことくらいさ」


「へぇ、ここが彼の故郷だったの。とくに¨侍¨は歩き回っていたわけではなかったから分からなかったわ」


「詳しくは彼に聞くといい。といっても、彼はしゃべらないから手紙でね」


「そうね…あ、始めるみたいよ。」


¨怪人¨が指差す方向には、第十二支部の入り口に進む¨侍¨の姿があった。



第十二支部入り口にて



「おい、何だあの男は?こっちに近づいてくるぞ。」


「ん?何だありゃ。変な仮面をつけてるな…。確かあれは東洋の仮面じゃなかったかな」


「どっちにせよ不審者だ。おい、そこのあんた!ここは関係者以外立ち入り禁止だ!道なら交番で聞いてくれ!」


「…ダメだ全然止まらないな。こりゃ連絡しとくか?」


「いや、こっちで対処できるだろ。どうせ酔っ払いかなんかだろ。スーツを着てるから浮浪者じゃないだろうが」


「…おい!あいつ刀差してないか!?危険人物だ!!本部に連絡を!!」


「ああ…、こ、こちら警護!刀を持った不振人物が門に…」


そこまで言って警護達は二人とも意識が途切れる。


最後に見たのは宙を舞う互いの体のパーツだった。



第十二支部近くの喫茶店にて



一瞬で警護をバラバラにした¨侍¨の姿に¨ドクター¨は口笛を吹く。


「ヒュー!やるね。じゃあそろそろ僕らも近くまで行こうか。」


「ここで待機するんじゃなかったの?」


「久々に彼の実力を生で見ようと思ってね。大丈夫、邪魔はしないから」


そう言って店を出て行く¨ドクター¨。


仕方なく¨怪人¨も支払いを済ませて店を出る。


第十二支部内にて

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