第14話〜逃走劇
研究所地下一階、通路にて
「ハァ、ハァ…」
¨ボーン¨は満身創痍の¨ツチノコ¨を抱えたまま、ここに来るまでに通った道を引き返していた。
「(やはりきつかったか…)」
全身からその名の通り¨骨¨を棘のように変化させて発射し、隙をついて逃走。
そこから出口に向かってひたすら走っている。
「(骨を使い過ぎたな…。再生が間に合わない)」
「…¨ボーン¨か」
「!…気が付いたか」
地下一階に上がってすぐに¨ツチノコ¨が目を覚ました。
「…どうなってる。俺は囲まれて…」
「とりあえず撒けたはずだ。さすがに無傷では済まなかったが」
「¨ボーン¨!お前、腕が…」
「気にするな。本部に戻れば¨ドクター¨が治療してくれる。それに大した損傷じゃない」
¨ツチノコ¨は¨ボーン¨の肩の付け根からちぎられ、¨骨¨の義手となった左腕を見て驚いている。
「臓器が破損しなければ問題ない。お前は自身の再生に集中しろ」
そう言って走る速度を上げた。
通路の突き当たりに、上がり階段が見える。
¨ツチノコ¨は抱えられているため確認できなかったが、¨ボーン¨の体は左腕だけでなく右足首から下もなくなっている。
靴の代わりに¨骨¨がバネを作り出し補助しており、左脚に関しては膝から下が完全に¨骨¨の義足と化している。
そして胴体の至る所に深い傷があり、そこを¨骨¨が覆い塞いでいる。
それでも¨骨¨の補強が足りないのか、所々血が流れている。
階段にたどり着いた所で¨ボーン¨は躓いて転んでしまう。
「大丈夫か、¨ボーン¨!」
「…ッ!すまん、お前こそ体は無事か?歩けるなら先に行ってくれ。俺は少し休んでからいく。なに、すぐに追いつくさ」
「しかし…」
「もう少しで爆弾が爆発する。互いにかばったままでは巻き込まれる。だから急げ、俺は大丈夫だ」
「そうはいくかよ」
突然背後から声が聞こえる。
驚いて二人が振り向くと、そこには白い毛並みを所々血で赤く染めた¨ビッグフット¨が立っていた。
「爆弾より今は自分たちの心配をするんだな。いくらお前たちでも、そんな満身創痍の状態で勝ち目はねぇだろ」
「クソッ!もう追い付いてきたか…。」
¨ボーン¨は素早く立ち上がると重心を落として構える。
¨ツチノコ¨もなんとか立ち上がり、体を変化させる。
「¨ツチノコ¨は逃げろ。ここは俺がなんとかする」
¨ボーン¨の言葉を聞いて¨ツチノコ¨は憤慨する。
「ふざけるな、お前戦闘は専門外だろう!」
「ふざけているのはお前だ、¨ツチノコ¨!そんな体でこいつを倒すなんて無理だ。俺が足止めしているうちにデータを持ち帰れ。お前が残ったところで無駄死にだ。俺だけじゃここから脱出できない。それにこの体じゃどのみち保たない」
そう言って白衣をはだけてみせる¨ボーン¨。
傷だらけの体を見て¨ツチノコ¨は驚いた顔をする。
「行け、¨ツチノコ¨。俺の死を無駄にしないでくれ」
「どっちも逃がすかよ!お前らは二人ともここで半殺しにさせてもらうぜ」
そう言って突っ込んでくる¨ビッグフット¨。
それを見て¨ボーン¨は¨ツチノコ¨を階段へ押し出す。
「ここは通さん!」
「覚悟だけは認めてやるよ。だがさっきとは違って奇襲はくらわねぇ!」
二人の激しい戦闘の音を聞きながら、¨ツチノコ¨は出口へ向かって爬虫類の姿で這っていく。
そして外の穴に飛び込んで少しすると、爆発による地震が地中に響いてきた。
第十二支部近くの喫茶店にて




