第12話〜¨科学者¨
研究所内、地下二階通路にて
¨ボーン¨は突然流れを変えた警備員達の動きに戸惑っていた。
「(流れが逆に…?上から指示でも流れたのか)」
警備員が一人もいなくなるまで待って、警備員が引き返してきた方に向かって走る。
「(どうも嫌な予感がする。無事だといいのだが…。)」
すぐに¨ボーン¨は開け放たれた扉を見つける。
そして彼が見たのは…
シボリン地方、ミキズの街にて
再会を果たした3人は、今後について話し合っていた。
すでに3人は路地裏を離れ、無人の建物の地下に潜伏している。
「この街に留まるのは危険かもね。こっちの素性がバレてたんじゃ、次は専門部隊を送り込んでくるだろうし」
「今回刺客を送り込んできたのは、どうやら第十二支部のスマヤギらしい。ここに来る途中でそこらの兵士に聞いたから間違いない。察するに彼の独断みたいだね」
¨ドクター¨の言葉に¨怪人¨は顔をしかめる。
「研究所で何度か顔を合わせたことがあるわ。あいつ、私たちのことを出世の道具としか見てなかった。今でも思い出すわ、あの見下した目つき」
「博士は僕らを生きたまま捕らえたいはずだ。なのにいきなり狙撃。¨怪人¨でなければ死んでいた。スマヤギは僕らを殺して名を上げたいみたいだね」
「実際死んだんだけどね。ただ私の場合頭を貫いたくらいじゃ完全に死なないだけで。まったく、面倒なのに目をつけられたわね。本部に連絡はした、¨ドクター¨?」
¨怪人¨の問いに¨ドクター¨は頷いた。
そして懐から小さな箱のようなものを取り出すと¨怪人¨に投げてよこした。
「¨科学者¨が新たに開発した無線機だ。今までのより性能がだいぶ上がっているようだよ。傍受の心配もないそうだ」
「これは¨ハヤブサ¨が届けてくれたの?」
「ああ。ここにくる途中、発信機をもとに接触してきた。どうやら本部でも問題があったらしい。今までの無線機では傍受の恐れがあったから直接届けてきたみたいだ。休暇は中止だ。第十二支部の機能を停止させ、早急に本部へ戻る」
「本部で何かあったのかしら。それに機能を停止って…。展開が急すぎて理解が追いつかないわ」
¨怪人¨の言葉に¨ドクター¨も困ったような顔をしている。
「僕もあまり詳しくは聞いてないんだ。¨ハヤブサ¨は無線機を届けてすぐに行ってしまったし。とりあえず無線機で連絡してみよう」
¨怪人¨から無線機を受け取ると本部に連絡をとる¨ドクター¨。
無線はすぐに繋がった。
「こちら¨ドクター¨。応答してくれ。」
『…こちら本部¨電波¨です。どのような要件でしょうか。』
「¨電波¨か、久しぶりだね。僕を含め¨怪人¨と¨侍¨の3人が偵察を兼ねた休暇でシボリン地方に来ているのは聞いているだろう?そこで襲撃を受けた。¨科学者¨に繋いでもらえるかい?」
『…少々お待ち下さい………お待たせしました。』
しばらく待つと返答があり、若い男の声に代わった。
『やぁ¨ドクター¨。どうやら¨ハヤブサ¨はちゃんと任務をこなしたらしいな』
「やぁ。それより問題ってなんだい?こっちはこっちで問題があるってのに」
『ああ、スマヤギが独断で君たちを殺そうとしたんだろ。あちらさんを調査していたやつらから聞いてるよ。スマヤギの行動は所長の耳にも入っている』
「詳しいな。僕たちが攻撃されたのはほんの1時間前だよ?」
『お前たちは結構前からマークされていたらしい。それをスマヤギは第一のほうに報告をしなかったってだけだ』
「最初から狙ってたってことか。それで十二支部の機能を停止させるってのは具体的にどうする?」
第一研究所、所長室にて




