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第三十章 広美と倉田一課長の関係

広美達は人気のない場所に連れて来られて車から降ろされた。

スリ集団の元締めが、「お前達は余計な事を知りすぎた。ここで死んでもらう。」とスリ集団に目で合図して広美達を殺そうとした。

後藤刑事は焦って、「そんな事をすれば、ただでは済まないわよ。」と警棒を構えて焦っていた。

スリ集団は、「無線機や警棒を持っているのは矢張り警察の犬だな。」と全員で後藤刑事に襲いかかった。

後藤刑事は焦って、「わーわー」と叫びながら警棒を振りまわしているだけでした。

広美は後藤刑事のそんな様子を見て、“あれじゃ滋賀県警が彼女を現場に出さないのも当然ね。”とため息をついて、後藤刑事が暴れているスキに、広美は手錠で黒幕を捕まえた。

黒幕は、「何をする!俺は関係ない。こいつらがスリだとは知らなかったんだ。」と自分だけ逃げようとした。

広美は、「先ほど料亭で善からぬ事をしていたと言っていたではないですか。それに、私はスリだとは一言も言っていませんよ。何故スリだと知っているのですか?そのあたりの事情を署でゆっくりと聞かせてもらうわよ。」と黒幕の腕を、手錠で車のハンドルに固定した。

黒幕は、「おい、この女を何とかしろ!」と叫んだ。

元締めは、鶴千代を何度かお座敷に呼んだ事があり、芸者だと知っていた為に、鶴千代には油断して後藤刑事に気を取られていた。

焦って暴れている後藤刑事を片づけようとして、「はい、この女をすぐに片づけてそちらに行きます。」と拳銃を後藤刑事に向かって構えた。

後藤刑事の動きが止まり、腰を抜かして焦っていると、広美が拳銃で、元締めの肩を撃ちぬいた。

そこへ緒方係長達が四課の刑事達と共に警官隊を引き連れて到着してスリ集団を一斉検挙した。

広美は後藤刑事の肩に触れて、「震えているわよ。大丈夫?」と心配していた。

後藤刑事は、「鶴千代さん、落ち着いていましたが、怖くなかったのですか?それに何故拳銃を持っているのですか?捜査四課の刑事さんですか?」と拳銃を所持していたので警察関係者だと直感した。

緒方係長が、「後藤君、声で気付きませんか?高木主任ですよ。」と鶴千代の正体を教えた。

広美は、「そういう係長も最初は全く気付いていませんでしたよね?」と笑っていた。

緒方係長は、「それを言われると根も葉もないが・・・」と苦笑いしていた。

後藤刑事は、「えっ?主任?」と驚くと共に、何故、主任が昔の事を知っていたのか納得した。

広美は、「刑事の仕事は危険です。特に捜査一課は殺人事件を担当します。凶悪犯も少なくなく、このようになる事はたまにあります。冷静に行動できなければ渡辺君のように車いす生活になったり命を落としたりする可能性もあります。滋賀県警があなたを現場に出さなかったのは女性だからではなく、現場は無理だと判断されたのではないですか?今のあなたは刑事ではなく不良少女のままよ。」と忠告した。

事件は解決して、広美たちは帰宅した。

後藤刑事は広美からの指摘が気になり、就寝後も布団の中で色々と考えていた。

    **********

翌日広美は後藤刑事に、「巡回の時でも、昨晩のような事に巻き込まれる可能性があるわよ。大丈夫?」と確認した。

後藤刑事は、「はい、頑張ります。」と広美の期待に答えようとしていた。

広美は、「それでは、今日は前田刑事と組んで下さい。前田刑事は十年前、私の指示であなたを見逃したもう一人の刑事です。前田刑事は、まだ気付いていないようです。十年前の事を告げるかどうかはあなたに任せます。それと、セクハラ発言については私から厳重注意しておきました。」と指示した。

後藤刑事は午前中、前田刑事と巡回にでて、昼食時にファミレスに入った。

支払は、後藤刑事がまとめて支払った為に、前田刑事が後藤刑事に、自分の支払い分を渡そうとした。

後藤刑事は、「いいです。感謝の気持ちです。」と断った。

前田刑事は、「えっ?私は、何か君に感謝される事をしましたか?」と不思議そうでした。

後藤刑事は、「ええ、私は、昔不良少女だった事があり、十年前滋賀県で、主任と前田さんに見逃して頂きましたので、一度も検挙されずに警察に就職できました。」と昔の事を説明した。

前田刑事は、「えっ?あの時の不良少女は後藤君だったのですか?しかし変われば変わるものですね。全然気付きませんでした。」と予想外の後藤刑事の昔の事を知り驚いていた。

後藤刑事は、「主任刑事相手だと、喋る内容も考えてから喋りますが、芸者相手だと、ついポロッと昔の事を喋ってしまいました。まさか鶴千代さんが主任だったとは知りませんでした。」と主任が昔の事を知っている理由を説明した。

前田刑事は、「聞き込みも警察手帳を提示すれば、証言内容を考えながら喋りますが、芸者相手だと、本音がポロッとでてしまうようですね。主任の情報収集力はズバ抜けています。それで事件解決していると言っても過言ではありません。主任の実家は置屋で、学生時代から芸者としてお座敷にでていましたので、その経験から芸者として潜入捜査する事があります。後藤君も昔の経験から、不良少女として潜入捜査すればどうですか?」と提案した。

後藤刑事は、「先日、スリ集団壊滅作戦の時に潜入しましたが、私のミスから刑事だとばれて焦ってしまいました。それでも主任は冷静に行動していました。主任から、潜入捜査でなくても同じ事になる場合があり、滋賀県警が私を現場に出さなかったのは、女性だからではなく、私には現場は無理だと指摘されました。もっと経験を重ねてからにします。」と自信喪失していた。

前田刑事は、「主任から、君はまだ現場は無理なので面倒を見てやってくれと頼まれましたが、そういう事だったのですか。」と納得していた。

    **********

署に戻った後藤刑事は緒方係長から、「前田君から君が自信喪失していると聞きました。最初は誰でも現場は無理ですよ。高木主任も最初は無理でした。無理なのに一人で飛び出して暴走するからフォローする私も大変でした。現場に出られないと犯人を逮捕できない為に刑事ではありません。遠慮なく現場に出て下さい。前田君や他の同僚達がフォローしてくれます。」と前田刑事を横目でチラッと見た。

前田刑事は、「係長、彼女を唆さないで下さい。彼女にもしもの事があればどうするのですか!女性刑事が配属されて同性の彼女を妹のように可愛がっている主任に恨まれますよ。」と後藤刑事の事を心配していた。

緒方係長は、「それは初耳だな。高木君は彼女だけではなく、ここの刑事は全員可愛がっていますよ。それだけの事ではないですか?現に、渡辺君が負傷して一生車いす生活になった時は、一晩中泣いていたと、仕事で何かあったのかと心配して、高木君の母親から連絡がありました。」と後藤刑事は特別扱いされてない事を強調した。

前田刑事は、「しかし、冷静沈着な主任が昔暴走していたとは信じられませんね。本当ですか?」と信じられなくて確認した。

緒方係長は、「主任の実家の芸者が誘拐された時に、私が止めても応援を待たずに、犯人が数人いる人質監禁場所に一人で乗り込んで行ったでしょう?主任の知り合いの芸者が誘拐されて、昔の悪い癖がでました。昔は毎日あの状態でした。」と説明した。

西田副主任が広美の話題になったので、「主任には、ご主人以外に憧れている人がいると聞いた事があります。夢中になるのはそれと関係あるのですか?」と広美が一課長室に行っていて三係に不在の為、広美の秘密を係長なら知っているかと思って聞き出そうとした。

須藤刑事が、「えっ?嘘でしょう?不倫ですか?」と信じられない様子でした。

緒方係長は、「変な噂を流されると困りますので喋りますが、決して不倫ではありません。主任が中学生の頃に暴漢に襲われ、助けて頂いた刑事に憧れて刑事になり、その人物の役の立とうとして頑張っているのですよ。主任が検挙率No.1の刑事になった理由もそのあたりにありそうですね。憧れているだけで、個人的な付き合いは一切ありません。」と説明した。

前田刑事が、「主任を助けた刑事は、今は何をしているのですか?」とその後の事を知りたい様子でした。

緒方係長は、「その刑事は、現在京都府警捜査一課長をしています。ですから、主任は何があっても一課長の味方です。先日前田君が一課長の悪口を言っていましたが、主任を通じて一課長の耳に入っていますよ。」と笑っていた。

前田刑事は、「係長!笑いごとではありません。そのような事は早く教えて下さいよ。」と焦っていた。

須藤刑事が、「前田、焦っても手後れだ。お前の出世の道は閉ざされたな。一課長の悪口を言って主任を怒らせるからだ。主任が捜査一課に配属になったのは、一課長が主任を呼んだのですか?」と広美が捜査一課に配属になった理由を納得していた。

緒方係長は、「最初主任は気付いていなかったようですが、一課長は最初から知っていたようでしたので、その可能性はありますね。以前事件解決の打ち上げを一課長室で行った時に、一課長がセーラー服の少女と写っている写真が飾られていた事に気付きませんでしたか?」と確認した。

須藤刑事は、「ええ、気付きましたが、一課長が娘さんと撮った写真でしょう?」と何故、ここで家族の話が出るのか不思議そうでした。

緒方係長は、「一課長に娘はいませんよ。あのセーラー服の少女は主任ですよ。」と教えた。

刑事達は、「えっ?あの少女は一課長の娘さんだと思い気にしていませんでした。一課長の部屋に行く機会があれば確認してみます。」と雑談していた。


次回投稿予定日は、9月25日を予定しています。

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