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第二十六章 千里、暴漢に襲われる

事件は解決して、広美はいつもの生活に戻っていた。

広美が千里と井戸端会議をしていると由香が、「あなた、何か事件に巻き込まれたそうじゃないの。なぜ私に相談しなかったのよ。」と割り込んできた。

千里は、「ご心配なく、京都府警の鬼軍曹を紹介して頂いて犯人を逮捕して頂きました。」と相手にしなかった。

由香は鬼軍曹と聞いて、「そうなの?」と小さくなった。

千里が、「今日有志でマンション共有部分の掃除をしますが、皆さんどうされますか?」と確認した。

由香は、「掃除の事は知っていますが、今日は主人と一緒に料亭で、あの有名な芸者の鶴千代さんを呼んで食事会をしますので、ごめんなさいね。」と有名を強調しながら自慢そうに上から目線で断った。

広美も、「私も今日は実家の母から仕事を手伝ってほしいと頼まれているのでごめんなさいね。」と断り、まさか今日のお客様が由香だとは知らなかったので驚いている様子でした。

由香は、「広美さん、何を驚いているの?私はタレントなみに人気のある鶴千代さんと食事会できる実力があるのよ。」と自慢していた。

由香が去ったあと千里が、「奥さんも主人も何を考えているのかしら、家族団欒の場所に芸者を呼ぶだなんて子供もいるのよ。」と呆れていた。

    **********

広美がお座敷にでると由香が、会社役員の主人と子供と一家で食事をしていた。

奥さんも子供もいるのに私は何をすればいいの?といつもと勝手が違うので、さすがの広美も困っていた。

由香が、「鶴千代さんは踊りが上手だと聞きました。私達に見せて頂けませんか?」とリクエストした。

広美の踊りを見て由香は、「女性の私が見ても色っぽくてうっとりするわ。男達が虜になるのも無理ないわね。」と感心していた。

広美が踊っている様子や、家族と広美が過ごしている様子を由香が写真に収めていた。

この写真をマンションの住民に見せて自慢するつもりだわ。だから、家族団欒の場所に私を呼んだのかと、由香の考えている事が広美には理解できた。

数日後、広美達が井戸端会議をしていると由香が、「あなた達、有名な鶴千代さんに会った事ある?」と広美の予想したとおり、自慢そうに鶴千代と撮影した写真を見せていた。

「タレントなみに人気があり、ようやく予約できたのよ。」と偉そうに自慢していたので広美もプッツンして、「ええ、私の同級生だからよく知っているわよ。由香さんは知っているようなので千里さん、紹介してあげましょうか?機会があれば鶴千代が所属している置屋に行きましょう。」と広美が非番の日に千里を実家の置屋に連れていく事にした。

由香が、「予約も簡単にとれない人気芸者よ。急に行くと鶴千代さんも迷惑よ。」と自分が招待されなかったので不満で止めた。

広美は、「大丈夫よ。鶴千代と私とはそんな仲じゃないから。私達は一心同体よ。千里さん、遠慮する事ないから行きましょう。」と由香を横目でチラッと見た。

千里は、「えっ?本当にいいの?あの有名な鶴千代さんに会えるだなんて夢みたいだわ。」と喜んでいた。

    **********

数日後、千里が広美と置屋に行くと初美が、「広美の友達なの?いつも広美がお世話になっています。広美の母の初美です。」と挨拶した。

千里は、「広美さんのお母様ですか?私こそ、不良ややくざに絡まれた時などいつも広美さんにはお世話になっています。」と挨拶を返した。

初美は、「千里さんは美人だから、男性達も絡みたくなるのよ。」と冗談で笑っていた。

千里は、「美人だなんて、そんな事ないですよ。美人といえば鶴千代さんはどこですか?」と鶴千代を一目見たくて捜していた。

初美の話声で誰かきたのかと様子を見に来た小菊が、「鶴千代姉さんでしたらそこにいるじゃないの。」とどこを捜しているのかと思っていた。

千里が、「えっ?どこどこ、」とキョロキョロしていた。

広美が千里の肩を叩いて、「どこを捜しているの?ここは私の実家で、私も学生の頃からお座敷に鶴千代の源氏名で出ていました。」と説明した。

千里が、「えっ?広美さんが鶴千代さんだったのですか?確かに一心同体だわね。私も一度芸者になってみたかったのよ。」と芸者に興味がある様子でした。

広美が、「芸者に興味があるのでしたら、気さくなお客様のお座敷に私の助手としてでる?」と誘った。

千里は、「えっ?経験のない私がお座敷にでてもいいの?」とここで芸者姿になるだけだと思っていたので驚いていた。

隆は大きな取材が終わると、いつも料亭に鶴千代を呼んで、「俺とお前の仲じゃないか。安くしてくれよ。」と広美相手に飲み食いしていた。

初美も、「広美のご主人さまですから、特別価格の半額にさせて頂きます。」と対応していた。

そんな隆から、鶴千代指名で予約が入っていた。

広美は事情を説明して、経験のない女性を芸者として連れて行ってもいいか確認した。

隆は、マンションの住民だと聞いて、井戸端会議で広美とどんな話をしているのか聞きたくて了承した。

    **********

翌日千里が他のマンションの住民と井戸端会議をしていると由香が来て、鶴千代と一緒に写っている写真を見せながら自慢していた。

千里が、「私も鶴千代さんの事は広美さんに紹介して頂いてよく知っています。先日鶴千代さんと一緒にお座敷に出さして頂き、芸者の体験をさせて頂きました。」と鶴千代が千里の着付けをしている様子を撮影した写真や、お座敷で鶴千代と芸者姿で写っている写真をスマホで見せた。

千里は、「白粉で解りにくいかも知れませんが、これ私よ。この写真はプロの雑誌記者が撮影して私のスマホに転送して頂きました。」と写真を見せながら説明した。

由香は、「広美さんが鶴千代さんと仲がいいのは本当だったの?こんな事まで頼める仲だったの?」と小さくなりその場を離れた。

マンションの他の住民が、「千里さん、凄いじゃないの。雑誌記者が撮影したって雑誌に載るの?」と驚いていた。

千里は、「違うわよ。撮影したのは広美さんのご主人よ。ご主人は雑誌記者よ。この時のお客様だったので写真を撮ってくれたのよ。」と説明した。

    **********

数日後、広美が前田刑事と覆面パトカーでパトロールしていると、広美が住んでいるマンションの近くで千里の息子が広美に気付いて、「助けて!」と駆け寄って来た。

広美は、「どうしたの?血が付いているわよ。」と何があったのか確認した。

「たった今、母が暴漢に、“馬鹿にしやがって!”と刺されて、暴漢はバイクで逃げました。あの黄色いバイクです。」と指差した。

広美は、「救急車を呼んでお母さんを病院に運んで!前田君、追跡!」と高校生なので千里の事は任せて犯人を追跡した。

広美は赤色回転灯を点灯させてサイレンを鳴らし、「こちらは京都府警です。前のバイク!止まりなさい!」とスピーカーで呼びかけたが止まる様子がありませんでした。

広美は緒方係長に傷害事件が発生して、現在バイクで逃走している犯人を追跡中である事を伝え、白バイの応援要請をした。

広美は、「白バイの応援要請をしたので、それまで見失わないで。」と指示した。

やがて二台の白バイが応援に来て、広美は無線で、「あの黄色いバイクを捕まえて!」と指示した。

白バイ隊員は、捜査一課から指示された。手柄をあげるチャンスだと追跡した。

犯人はジャンプなどアクロバット走行で逃げたので、さすがの白バイ隊員もたじたじでした。

広美は他のパトカーと無線連絡して挟み撃ちにした。

犯人は細い横道に逃げ込んだが、白バイが追跡して、広美は横道の出口に先回りした。

横道の出口で、覆面パトカーに進路を妨害された犯人は、バイクから降りて血が付着しているナイフを振り回して威嚇した。

白バイ隊員は、「うわっ!血が付いている、刺されるぞ!」と仲間の白バイ隊員と一歩引いた。

広美は警棒でナイフを叩き落として、犯人を逮捕した。

ヘルメットを取ると由香でしたので広美も驚いて、「何故あなたが・・・」と由香がこんな事をするとは信じられませんでした。

由香は、「広美!お前刑事だったのか!」と広美の事を知り確認した。

広美は警察手帳を提示し、「京都府警捜査一課の高木です。殺人未遂の現行犯で逮捕します。署で話を聞かせてもらうわよ。」と由香を殺人未遂の現行犯で逮捕して連行した。

    **********

取り調べの結果、由香は元暴走族のリーダーでプライドが高く、ある日、人里離れた人通りの少ない道で、車が故障して携帯も圏外で困っていた主人の横を、たまたまバイクで通りかかり、由香が声を掛けてバイクの後部座席に主人を乗せて送っていき、これが切欠となり二人は知り合い結婚したとの事でした。

元暴走族リーダーの不良少女だった由香は、他の奥さん連中と話が合わず、上から目線で話をしていた。

京都府警の刑事や鶴千代の自慢話を否定され、プライドの高い由香は腹の虫が納まらず、バイクに自信があり逃げ切る自信があった為に犯行に及んだとの事でした。

最後に京都府警の知り合いの刑事の事を確認すると、以前由香を検挙した刑事で、ただ名前を知っているだけで知り合いでも何でもないと判明した。

    **********

広美は千里に由香の事は伝えず、犯人を逮捕した事だけ伝えた。

由香の主人には、「奥さんの犯行だとは千里さんに伝えていません。伝えるかどうかはあなたに任せます。」と伝えた。

由香の主人は入院中の千里を訪ねて、犯人は由香である事を伝え、由香が犯行に及んだ経緯を説明して、治療費は全額負担する事を約束して謝って帰った。

由香の主人から、犯人は由香だと千里に伝えたと聞いた広美も、入院中の千里を見舞い、「私が千里を置屋に連れて行ったり、芸者の体験をさせたりしたから由香さんが犯行に及んだのだから、私にも責任の一端はありそうですね。ごめんなさいね。」と申し訳なさそうでした。

千里は、「私も由香がいつも上から目線で自慢しているから頭にきていたのよ。他の住人も同じだそうよ。ところで、広美さんが鶴千代さんと仲がいいのだったら、鶴千代さんにマンションの共有部分で踊りを披露してもらえるように、広美さんから鶴千代さんに依頼してもらってと他の住人から頼まれたのよ。広美さんも聞いてない?」と確認された。

広美は、「理事長から聞いたわ。それで明日、私の母が営業にくるそうよ。内容や時間や金額など折り合いがつけば、私がマンションで踊りを披露する事になりそうだわ。」と説明した。


次回投稿予定日は、9月10日を予定しています。

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