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第二十五章 広美、マンション住民を助ける

結婚した広美は実家である置屋をでて、隆と北区の閑静なマンションで新婚生活を送っていた。

近所付き合いも問題なく、非番の日は近所の奥さん達と井戸端会議をしていた。

「広美さんは結婚されてもお仕事されているのですね。夕方から外出する事もあるようですが、夜のお仕事もされているのですか?何のお仕事をされているのか知りませんが、主婦業と両立させるのは大変でしょう?」と簡単な仕事だったら紹介して貰って小遣い稼ぎをしたいと考えていた。

広美は、「公務員です。夕方から外出しているのは、実家の母の手伝いをしています。しかし子育ても大変でしょう?私にはまだ子供はいませんが、小さい時は小さいなりに手がかかり、大きくなれば、それなりに手がかかりませんか?」と仕事の内容は具体的に説明せずに話題を変えた。

マンション住民の、ショートカットで少し大柄な石井千里が、「そうですね。小さい時はやんちゃ坊主で、高校生になった今でも、顔にアザを作って帰ってくることもあります。聞いても、ころんだとか適当に返事するだけなのよ。老人じゃあるまいし、高校生がそう度々転ばないわよ。どうせ喧嘩でもしてきたのだと諦めています。」と悩みを打ち明けた。

広美は、「喧嘩は被害者なら不良グループなどに絡まれている場合もあります。加害者なら、相手の怪我の程度により厄介な事になる事もあるわよ。数回ころんだのが本当なら、何かの病気である可能性もあるわよ。」と子どもの喧嘩ではないので甘く見ないように忠告した。

千里は、「ちょっと、怖いこと言わないでよ。気になるじゃないの。」などと、近所の奥さん連中と雑談していた。

そこへ自治会長の奥さんで、やせ型でひょろ長く、ロングヘアーの大西由香が来て、「私には京都府警に知り合いの刑事がいるから私に相談しなさいと言ったでしょう!」と不機嫌そうに井戸端会議に割り込んできた。

千里は、「いえ、別に相談するほどの事でもないと思ったので・・」とその場を離れて、井戸端会議はしらけて解散した。

    **********

翌日気になった千里は、学校から帰宅した子どもが外出したので、病気でもなさそうだし心配になり尾行して様子を窺っていた。

そのような千里に広美が気付いて、何をしているのか気になり様子を窺っていた。

人が少ないマンションの裏庭で不良グループに絡まれていたので千里は思わず飛び出した。

不良グループは、「このババア、ひっこんでいろ!」と突き飛ばすと千里は悲鳴と共に倒れた。

不良グループが再び子どもを殴ろうとして振り上げた握りこぶしを、千里の様子を窺っていてたまたま近くにいた広美が千里の悲鳴で駆け付けて、「辞めなさい!」と掴んで止めた。

不良グループは、「このガキ!何しやがる!」と広美に殴りかかったが、広美に柔道で簡単に倒された。

不良グループは、「覚えていろよ!」と捨て台詞を残して逃げた。

千里は、「広美さん、お強いのですね。格闘技の経験でもあるの?」と感謝していた。

広美は、「中学生の頃から柔道をしています。」と警察官である事には触れませんでした。

そこへ由香がきて、「何かあれば私に相談しなさいって言ったでしょう?」と上から目線で忠告した。

広美は、「由香さんも悲鳴で駆け付けたようですが、先ほどから何もせずに見ているだけでしたね。警察を呼ぶでもなく、肝心な時には何もせずに言う事だけは一人前ね。知り合いの京都府警の刑事さんはどうしたのですか?」と呆れていた。

由香は、「それは・・・」と気まずそうに、その場から立ち去った。

千里は、「広美さん、ありがとうございました。あの人は、いつも口先だけで何もしないのよ。京都府警の刑事か何か知りませんが、その知り合いだというのも怪しいわよ。でも話を合わせないと五月蠅いのよ。今、広美さんが忠告してくれたのでスッとしました。」と感謝していた。

広美は、「何か事件が起これば、その刑事さんを紹介して貰いましょう。」と、その刑事が誰なのか気になっている様子でした。

    **********

数日後千里が、「広美さん!私の息子が友達と下校していると、先日の不良グループがやくざみたいな人を連れてきて絡まれていると他の友達から聞きました。怖いので一緒に来てくれない?」と格闘技の経験がある広美に助けを求めた。

非番の広美が千里と駆け付けると、一人が刺されていて、他の絡まれていた高校生も不良グループもやくざもいませんでした。

広美はすぐに救急車を呼び、近くで見ていて呆然と立っていた人に事情を聞くと、たった今、数人の高校生が、数台の車に押し込められて連れ去られたと証言した。

広美は通報したのか確認すると、たった今、連れ去られたとか、誰かが通報しているだろうと思って通報していませんでした。

緒方係長に傷害事件発生を伝え、数人が拉致された可能性がある事も伝えた。

最後に、「被害者は私が住んでいるマンションの住人です。もし三係が担当するのであれば、私情が入らないように現場の指揮は西田君にさせて下さい。」と依頼した。

広美は千里に、「救急車を呼び警察にも通報しておきました。」と安心させた。

現場に到着した西田副主任に広美は、「私がバックアップするから頑張りなさい。」と指示した。

数日後、広美が帰宅しようとすれば緒方係長から、「今、西田君から連絡があり、拉致された高校生は救いだして、事情を聞いた上で帰宅させたらしいですが、不良グループが警察にチクッたとリベンジする可能性があるらしいです。襲われた高校生は数人いて、誰が襲われるか捜査中で不明らしいです。主任の自宅マンションの高校生の護衛を主任に任せたいとの事です。バックにやくざがいる可能性が高い為に、拳銃を自宅に持ち帰って頂きたいとの事です。」と指示があった。

広美は帰宅後隆に、「ちょっと友達の所に遊びに行ってくるわね。」と出て行った。

隆は、広美が拳銃を携帯している事に気付いて、事件絡みだと判断してカメラを持って広美の後を追った。

広美はエレベーターではなく階段を使った。

隆は、「えっ?同じマンションの住民?」と考えていると、上の階の部屋に入った。

隆が階段室から様子を窺っていると、エレベーターからヤクザ風の男が三人降りてきて広美が入った部屋の前で止まった。

隆は、ヤクザ風の男達が部屋番号や表札を確認している間に、慌てて広美の携帯に電話した。

事情を聞いた広美は、「私を尾行したの?そんなにまでしてスクープがほしいの?」と不満そうでした。

隆は、「それは否定しないが二の次だ。広美のほうが大事だ。拳銃を携帯していたので心配だったんだ。」と心配していた。

ヤクザ風の男達が怪しまれずに玄関のドアを開けさせる方法を相談している間に広美がのぞき窓から確認していた。

“私一人だったらどうにでもなるが、千里とその家族を守れないわ。”と感じて緒方係長に応援依頼した。

その直後、玄関のインターホンが鳴ったので千里がでた。

“宅急便です。”と応答があった。

玄関に向かおうとしていた千里を広美が止めた。

時間指定の宅急便を依頼したのか確認すると、してないとの事でした。

インターホンの対応を広美が変わり、「こんな時間に宅急便は来ないわ。あなた誰なの?」と確認した。

宅急便でないとばれたのでドアを強く叩いて、「コラ!開けんかい!」と本性を現した。

怖がっている千里に、「警察には通報済みです。警察が来るまで私が外で対応するから、私がでると、すぐにドアを閉めて施錠して。」と広美が玄関に向かった。

広美が外に出て、「近所迷惑だから大きな声を出さないで!」と忠告した。

やくざ風の男達がナイフで広美を襲ったので、広美は警棒で対抗した。

広美がやくざ風の男達と争っていると、須藤刑事と前田刑事が警官隊を引き連れて応援に来た。

やくざ風の男達を逮捕後、広美は千里に、「警察が来てくれたのでもう大丈夫ですよ。」と安心させた。

千里がドアを開けて外に出ると、「あっ、先日の刑事さん。ありがとうございました。」と御礼した。

前田刑事が、「リベンジの可能性があったので、主任に護衛を依頼しておいて正解でした。」と何事もなく安心していた。

千里は、「主任って?」と首を傾げて、前田刑事の言葉が理解できない様子でした。

広美が警察手帳を提示し、前田刑事が、「私の上司の主任刑事です。」と広美の事を説明した。

千里は、「広美さん、京都府警の刑事さんだったのですか?そういえば、京都府警には鬼軍曹と呼ばれている怖い刑事がいると聞いた事があるのですが本当ですか?」と噂の刑事の事を確認した。

前田刑事が、「本人の前で怖いっていうかな?私の上司の高木主任が、犯罪者から鬼軍曹と呼ばれて怖がられています。」と説明した。

千里は驚いて、「えっ?そうなの?ごめんなさい。」と驚いていた。


次回投稿予定日は、9月4日を予定しています。

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