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45 魔導書を手に入れた


 その場で二人とは解散した。

 二人は昼からのお仕事の開始時間が決められているから、余裕そうな感じで昼食をとっていたみたい。

 食事をしながらゆっくりと仕事のスイッチをONにしていった丸さんは、食事後に「やだ! 行きたくない!!」と駄々をこねていたペルシェトさんを連れていった。


 やることがないからどうしようか、訓練もなくなったって言ってたし。

 ギルドの正面出口から出ていく途中にスタッフルームを覗いてみたら、本当にバタバタとしていたから、そそくさとギルドから外に出ていった。

 

 出ていっても特にすることがなく、目的地もないことに気づくのは早かった。

 外の空気をこうやって意識的に吸うのですら久しぶりに感じる。


(いや、ほんとうに外の空気美味しいな……)


 そうか、排気ガスみたいなのが出ないから……。なるほど。

 周りを見てもみんな徒歩で車なんかひとつも見当たらない。だから空気が田舎のように美味しいのかも。


「また、機会があれば散策もいいかもしれない」


 家に引きこもっているわけでもないのに外の世界を新鮮に感じた。

 寮とギルドまでの数分の道を行って、ギルド内で一日を過ごして……帰る。明らかにやばい生活をしている。

 朝の勉強会のやる内容がそろそろ終わるって言ってたから、終わったらその時間を使って足を延ばしてみるのもいいかも。


 ぼんやり考えながら歩いていると自然と寮について、玄関に入っていた。

 足も正直モノだね。この道しか知らないもんね。


 僕が住まわせてもらっている寮は、木造の広い正面玄関(エントランス)がある。

 大きいと感じるのに、これでもこの国の中にもかなりの数建てられている一般的な寮の一つだというのだから驚きだ。

 一階に十程の室数で、二階はそれより多く二十弱の室数。玄関のセキュリティはほとんどないに等しく、誰でも簡単に部屋の前まで行くことができる。


 そんなの危ないじゃないか! と思っていた時期が僕にもある。

 だけど冒険者ギルドの男性スタッフというのは元冒険者が多い。死なずに引退する冒険者の数は少なく、そんな百戦錬磨の人たち住まうこの場所になにかをしようとすると、とんでもないことになるから誰も仕掛けてくることはないと気づいた。


 珍しく早く帰ってこれたことに若干の嬉しさを感じながら、正面玄関エントランスを抜けた。

 この時間は、やっぱり誰もいないのかな?

 人の気配が感じないから、二階に行く階段の近くにある部屋の投函口(とうかんぐち)を横目で確認して、二階にある部屋に行こうとした。


「あれっ」


 気のせいかと思って二段ほど上がっていた階段を下りて、自分の投函口を確認した。


「あ、やっぱりなにか入ってる……?」


 僕の部屋の番号『213』が振られたところを見て、取り出してみると大きな本と一枚の紙が入っていた。

 折りたたまれていた紙を広げると、髪の上に『クラディスへ、レヴィ』と見えた。


「レヴィさんから!?」


 大きな声をだしてしまい、ハッと急いで口を閉じて、急いで本と紙を両手で持って部屋まで走っていった。


「危ない……、怒られちゃう」


 扉をゆっくり閉めて一息つくと、ベッドまで歩いて行って本を置いた。

 その横に座ってたたまれている紙を開いて、書かれていることに目を通した。


 その紙の内容はこうだった。


『クラディスへ、レヴィだ。元気に過ごしているだろうか? まず、私達が勝手に三ヶ月という期間の設定をしたのは申し訳ないと思っている。しかし、クラディスはその期間でも十分強くなれるという話し合いの元での決定だということは言っておきたかった』


 あれは皆がちゃんと話して決めた期間だったんだ。過大評価だと思うけど、なんだか照れるな。

 三ヶ月という期間の話はナグモさんとの話から、全く気にすることが無くなった。それに加え、三人からも強くなれる期間だと書かれているので俄然、自信が出てくる。

 そんなことを考えながらベッドに横になって、手紙を見上げる形で持ち上げた。


「……んぇ?」


 カーテンを閉めていない窓から光が差し込み、文字が透けて見えた。


「裏も何か書いてある?」


 裏返してみるとまだ文章が続いていた。


『――さて、話は変わるが、この用紙と一緒に置いていったのは初級の魔導書だ。日々の訓練や勉強で大変だと思うが、数ページでもいい読んでいて欲しい。応援している』


 裏面短いけど、これで文章は終わり……かな? 

 表面と裏面を何度か見てみるけど、それ以外に書かれていなかったことをしっかりと確認して、ベッドの横にある小さな台に置いた。


 僕は大変なのか。そうか。

 朝から夜までギルドで拘束され、勉強から倒れるまでの訓練の日々。

 通常の人なら逃げ出す環境に置かれているというのは薄々感じてはいた。だけど、勉強は楽しく、スタッフさんはいい人ばかりだし、倒れてしまうのは僕の体力不足だからだ。  

 日々成長しているのが勉強面でも戦闘面でも感じているから、なんだかんだ言っても僕はこの生活が気に入っている。

 本当に囚人みたいな生活してるけど、賢くならないと社会的にも生きていけないし、強くならないと物理的に生きていけない。


「……魔導書……。読んでみるか」

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