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33 早朝ランニング

うみにいってきました。

濡れて少ししょんぼりしてました。


潮の香りを感じながら執筆しました。


 皆が寝ている中、早く起きてエントランスへと降りて行った。

 朝早くということもあって誰もいない。入口は開いているようだが、受付の人も泊っている人の姿も見えない。

 そんな中、僕は何をしようと思っているかというと。


「やっぱり、入り口に見えたのは新聞か。じゃあ、情報収集といきますか」


 宿に訪れた時に視界の端っこで映った休憩スペース。そこはソファが向かい合わせになっているのだが、その上に新聞が簡単にまとめられているように見えたのだ。

 基本的に新聞で情報を得ているということなのかな。ここまで技術が進歩しているなら映像技術とかもありそうだけど、ないのかな。車とかがある時点で、ファンタジー極振りな世界ではないようだし。

 それにしても見覚えがあるのが沢山あるのは、僕ら転生者のアイデアがこの世界に影響をしているからなのか。


「だったら、もっと転生者の情報はあると思うんだけどな……」


 思いの外、ふかふかだったソファに癒されながら新聞をゆっくりと読んでいると様々な記事が目に止まった。


「『下位(かい)ダンジョンの最速記録(レコード)更新』……何それ」


 冒険者六人組のパーティーがこの度、過去の最速記録のを破り新たな記録を作りました、か。へぇ~。

 ほかの記事は『闘技場の連勝記録更新』……って、また記録更新? 


 そんなことを思いながら新聞をめくっていっていると、ある記事で目が止まった。


 ――『ユシル村が魔物群襲撃(モンスターレイド)によって壊滅しました』


 僕の出身地候補のユシル村が新聞記事になってる。でもだいぶ前の話だぞ? 新聞の記事にするには少し時間が経っているような気がするが。


「……いや違うな。ロベル王国の兵が到着した時には既に――ってことか」


 ムロさん達は死体の確認をしなかったと言っていたし、事実確認が取れずに実際に見に行ってしっかりとした記事になって出された……って感じかな?

 文字とその場の写真が載せられているが、過度にグロテスクな写真は使われていないような気がした。ムロさんやエルシアさんが説明していた時の深刻そうな顔を見れば、この写真よりもっとひどい状況だったのだと想像できる。

 他にも色々記事があったけど、冒険者のランクアップや死亡した冒険者の名前が載っていたくらいだった。

 

「そういえば、久々にこうやって新聞見たな。ほかの新聞も見てみるか」


 今持っていた新聞を元の場所において、他の所が出している新聞を手に取ろうと前屈みになっていると足音が聞こえてきた。


「んぉ、坊主。早いな」


「あれ? こんな朝早くどうしたんですか」


 二階から降りてきたのは、動きやすそうな服に着替えているムロさんだった。


「それはこっちのセリフだっての。……新聞見てたのか? ジイさんみたいだな」


「やることがなくて。ムロさんはこれからなにかするんですか?」


「おう、体動かしたかったからな少し走ってくるつもりだ。一緒に来るか?」


「行ってみたいですけど、僕がムロさんの速度についていける気がしないんですが」


「ははっ、そこら辺は気にすんな。来たいなら一緒に走るか。お前に話しておきたいこともあるしな」


 動きにくい服ではないから着替えに部屋に戻ることもせず、外に出た。太陽も登っていないので薄暗い。

 ムロさんが足を伸ばしたりぴょんぴょん飛んでいるのを見て真似をして一通り準備運動は終えた。

 

 走るのとか久しぶりだけど、走れるかな。


「よし行くぞ。とりあえず5キロくらいか」


「はいっ……えっ!?」


 当然のように言った距離に何も考えず反応してしまった。

 この体で何が出来るのかしらないままだというのに、高校の部活以来まともに運動してなかった僕が5キロなんて走れるわけ……。


「はいスタート~」


「あ、ちょっ……!」


 僕の気持ちを他所に走ったムロさんに僕はなんとかついて行こうとした。

 子どもと大人だ、歩幅が違うし、ムロさんは10m程の距離を一瞬で詰めることが出来る人だ。そんな人と久々の運動、それにこの世界に来てまともに走ったことがなかった僕の走る速度が違うのは誰が見ても明らかだ。

 なのに、僕の走る速度より少し早いくらいの速度で先行している。


「お~着いてこれるか。無理だったら途中でやめてもいいからな?」


 後ろを振り返り、余裕そうで意地が悪い顔をしてきた。……要するに煽ってきたのだ。


「頑張りますよ……!」


「おう頑張れ頑張れ~」


 わざと付いていけるかいけないかくらいのペースで走っている。

 自分が誘っておいて身長が2分の1くらいのこどもを煽るなんて酷い大人だ。それにのったのは僕なんだけどさ……。


「あぁ、そうか……僕は負けず嫌いだったな」


 少し息が上がってきたというのに僕は煽られて火がついたのか、何としてでも5キロこの人について行くと心に決めた。

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