119 クラディスのお家で寝泊まり
「おー! ここがクラディスの部屋か~」
「ここがクラディスの部屋です!」
「僕一人だったら広かったけど、三人いたらさすがにちょうどいい感じだね」
部屋に放たれたケトスはソファに座ったり、ベッドを叩いてみたり、窓を開けて下を覗いて見たりして大はしゃぎ。イブはもう慣れたのか、ベッドに座り、色んな所を触れ回るケトスを目で追ってるみたいだ。
この部屋で「自由にしていいよ」ってイブに言った時も、ケトスみたいにはしゃいでたのを思い出す。だけどさすがにイブもこの部屋に来てそれなりに経つから、ケトスみたいに燥ぐことはなくなった。
「イブが入ってきた窓ってどれ?」
「ケトスの前にある窓かな」
「うん。そこが開いてた」
「へぁー、凄いね。ここから入って寝てたわけか…………へぇー、高い。凄い」
「そ、そうかな?」
「多分褒めてないよそれ、感嘆より驚愕って感じだと思う」
二人の会話にちょいちょい入りながら料理を作っていった。
たくさん買い物をしたけど、イブの収納袋にまとめて入れてもらってほとんど手ぶらな状態で帰ることができた。いろんなお店を回って商品を買っていくと、今日もたくさんのおまけをもらってしまった。
ちなみにカレーの素はスパイスを売っていたお店で何とか調達することができた。
イブがオーダーしてきた『いつものスープ』は、初日に話を聞くときに出したスープが気に入ったみたいで、あれ以降「毎日作って!」とせがまれ、毎日作らせてもらってる。ムロさん達にも出した卵でとじたスープのことだ。それとオムライス。卵の消費が激しいんだぁ。
ケトスのオーダーは言わずもがな、カレーだ。食事処のカリーっていうメニューの味をできるだけ目指してみようと思うけどちょっと自己流になってしまうかも……まぁそれもまた一つの楽しみかな。
僕が料理をしている間にお風呂に入ってもらったり、泊まるのに必要な用意をしてもらい、ご飯を食べた後にバタバタすることが無いようにしてもらった。
「……おぉ、これが噂のクラディス料理」
「ケトスは食べたことないの? ボクは何回もあるからね! めっちゃ美味しい。やみつきになるよ」
「何かヤバいモノでも入ってるってこと?」
「そんなこと言う人は食べなくていいよ」
「じゃあケトスさんの分もボクが――」
「うそ! 嘘だから! 没収しないでっ!」
料理をするときに結んでいたエプロンを解きながら、三人で机を囲むように座った。
本当にシンプルなカリー、ゴツゴツした具材でお肉は結局牛肉を買ったし、他の具材も特に目新しいモノなどなく、万人受けするように落ち着かせた。何か思い出に残るように尖らせた方が良かったかな……。
「じゃ、どーぞ。食べてください」
「――おいしい!」
「早いな」
「んー! おいひい!」
「口にものが入ったまま喋らないで」
スプーンでカリーを口に運んでいき、一応別のスプーンを用意をしていたのだけど、ケトスはそのままのスプーンでスープを飲みだした。それほど美味しいと感じてくれていたのかと思うと、作ったかいがあるというモノだ。
イブも髪がカリーに浸からないように髪を結い、パクパクと食べてくれている。ゴツゴツした具材が小さな口に入るかと思ったが、スプーンでジャガイモを切ったりして何とか食べていた。もう少し小さめの方が良かったみたいだ。
頬杖を着いて二人が食べている様子を見ていたけど、冷めるといけないから手を合わせて、僕も料理を食べ始めた。
僕より年上の2人がお代わりをしていき、明日の先生との訓練のためにと思って多く作っていたカリーが見る見るうちに減って行き、僕が二回目のお替りをしようと思って覗くと、既に綺麗に無くなった。
ケトスが3杯、イブも3杯……いや4杯か。トホホってこういう感情なんだろうなぁ。
……まぁ、こんなにも満たされる食事なんて久しぶりだからいい、か。




