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ガチ勢乙。ネトゲは遊びじゃねえんだよ  作者: にしだ、やと。
Ep2. あの日見たガチ勢の名を僕達はまだ知らない
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2-13. 新しい力を手に入れたときって凄いワクワクします

 [属性魔法研究者]『ほう、あの論文に賛同してくれたのか。なかなか分かってくれる奴がいなかったところだから嬉しい限りだよ。何? もっと詳しい内容を聞きたいって? 仕方ないな、ではまず……』


 司書さんの勧めに従ってアカデミーに向かい、あの論文の著者だというNPCに声を掛けるとこんな会話が始まりました。

 セリフから考えるに、論文を読み終えることがフラグになっているのは間違いなさそうです。


 そして、そこからの彼の話はとても難しくとても長々しいものでした。

 真面目に聞いてくれる相手がずっといなくて、よほど嬉しかったということなのでしょう。

 正直なところマシンガンのように垂れ流される彼の講釈にうんざりして途中何度もこの場を去りたくなりましたが、しかし強くなるためと我慢して必死にその場に残り続けます。

 幸いこれはゲームの話なので、私がどんな態度を取っていようと彼はおかまいなし。その口を止めること無く、私に理解度を聞いてくるようなこともせず、満足するまで一人で語り続けてくれました。




 そして待つこと10分。

 時間にしてみればそれほど長くはない話でしたが、しかし体感では1時間以上話を聞いていたような気がします。

 あるいは何かしら脳に作用してそのように認識させていたのかもしれませんね。

 忍耐力のないプレイヤーなら途中で投げ出してこの場から去ってしまっていてもおかしくないでしょう。


[属性魔法研究者]『私に出来るのは理論を研究することだけだが……もしも君が熱や冷の性質を理解できたのなら、それは魔術師として新たな一歩を踏み出すきっかけになるかもしれないな』


 そう言って彼は長話を締めました。

 なんだか少し疲れましたが、これで間違いなく彼の言う通り、魔術師として新たな一歩を踏み出すことができそうです。

 しかし念の為もう一度話しかけておきましょうか。


[属性魔法研究者]『そういえば発掘作業を進めているチームが何か奇妙な壁画が描かれた部屋を見つけたとか言っていたな……ん? 気になるのか? なら手土産を持っていくといいぞ。あそこの室長はバーランの地酒が大好物だったはずだ』


 なるほど、ここでクエストが途切れないようにちゃんと出来ているんですね。

 言われたとおり、一度バーランに行って商店でお酒を買ってからその室長とやらに会いに行きましょうか。

 どこで売ってるのかは把握してませんが、wikiになら載ってるでしょう。





[遺跡発掘室室長]『おぉ、こいつはバーランの地酒じゃないか! 最近飲んでなかったから嬉しいねえ。ん? ワシに用があるのか? 何? 壁画の部屋を見てみたい? そんなことなら好きにするがいい。悪いがワシはたったいま大事な用事ができたからな、案内はそこで暇そうにしてるメガネに頼むといい』


 バーランの地酒は100kとNPC売りアイテムにしては妙に高いものでしたが、しかし効果はバツグンだったようです。

 室長さんはすっかり上機嫌になって部屋を見る許可をくれました。

 メガネの研究員さんは室長が好き勝手言ってるのにうんざりしてるようなセリフを言っていましたが、しかしこれが正しい進行ルートのようで件の部屋に案内してくれました。

 ちなみに直接転送してくれたので、多分歩きではたどり着けない場所になっているんだと思います。


 案内された場所は間違いなく遺跡の内部でした。

 今までクラスオーブを手に入れてきた全ての場所と共通した雰囲気を備えた部屋。

 間違いなく、ここに求めているものがありそうです。


 入り口を除いた三方向に壁画が描かれており、その目の前には人が一人乗れるくらいの大きさの台が置かれています。

 一つ目の壁画に書かれているのは火と風を操っている魔術師風の人の姿。

 二つ目の壁画に書かれているのは水と土を操っている魔術師風の人の姿。

 そして正面に見える三つ目の壁画には四つの属性のシンボルマークと、それらに囲まれて堂々と君臨している王様のような人物が描かれています。


 これは……つまりそういうことなのでしょう。

 とりあえず、条件を満たしているはずの壁画の目の前に立つことにしました。

 私の考えが間違っていなければこの台に乗った時、なにかが起こるはずです。


 台を見据えて、少しだけ呼吸を整えます。

 ゲーム内なので呼吸なんてしていないんですが、気持ち的にはこうすることでなんとなく落ち着ける気がするんです。


 よし、と意気込んで右足を持ち上げ、ゆっくりと台に乗ります。

 目の前に見えているのはもちろん、火と風を操っている人の壁画。

 パイロマンサーとエアロマンサーをマスターした私なら、間違いなく条件を満たしているはずです。


 そして台に両足を乗せた時、すうっと視界が暗転し、気がつけば別の部屋に立っていました。

 目の前には台座の上に鎮座している光り輝く球体。

 何度も見てきたものと同じ、クラスオーブです。


 あぁ、ようやくみつけました……。


 クラスオーブに触れ、脳内に流れ込んでくる映像に心を奪われます。

 流れてきた映像の人物はたったの一人。


 炎と風を自在に操り、今までとは比べ物にならないほどの威力の魔法を放つ人。

 地を這う炎を生み出し、真空に敵を閉じ込め切り裂き、火炎の竜巻で全てを燃やし尽くす。

 彼の手から放たれた強烈な光線は熱と雷を伴い全ての敵を葬り、彼が生み出した温かい炎は味方を守る盾となる。

 戦場全てを支配するかのようなその強さに、私は完全に惚れ込んでしまいました。


 これが私に宿る新たな力。

 隠しクラス――マギカリドゥス。

 これなら私もまだまだ皆さんのお役に立てそうです。


 すべての映像が終わった後、私は三つの壁画の部屋に戻っていました。

 システムのクラス欄を確認しても、確かに新たにマギカリドゥスが選択できるようになっています。

 この調子でもう二つの壁画に挑戦したいところですが、おそらく残りの二つは反応しないと思います。


 それを確かめるために、今度は水と土の壁画の前に移動。

 台に乗ってみましたが……やはり転移は起こりません。

 これで予想は確信に変わりました。

 クラスオーブ取得条件は、対応する下位クラス二種のマスター。

 私はパイロマンサーとエアロマンサー、そしてクリオマンサーをマスターしているので火と風を要求するマギカリドゥスは取得できましたが、水と地を要求しているこちらの壁画のクラスは取得できないみたいです。

 あとで皆さんに手伝ってもらってジオマンサーもマスターしておきたいですね。


 気になる最後の壁画ですが……四種類マスターか、ここで手に入る二種類をマスターすることが条件だと思います。

 一応台に乗ってみましたが当然反応は何もありません。

 残念ですが、こちらは後の楽しみということにしておきましょう。


 さて、ソーサラーはまだマスターしていませんがアビリティの【ソーサラースキル】はもう取得できていますし、スキルもなんとなく揃ってきているのでここはマギカリドゥスを優先しましょう。

 性能も気になりますし、早速チェンジです。




 ……これは……凄まじいです。

 ステータスの伸びがソーサラーに比べて良いのはもちろんなんですが、用意されているアビリティとスキルが高性能すぎます。


 まずアビリティですがメイン装備用の【杖修練】は当然として、【魔導書装備】というものを追加でもっています。魔導書というカテゴリの装備は見たことがありませんが……特別感がひしひしと漂っています。

 間違いなくこれは強い装備だと予想します。

 さらに【熱性魔法の支配者】というアビリティ。これはなんと火・風属性の魔法スキル使用時に魔法ダメージを+20%するというもの。単純に強いですね。

 後はスキルアビリティと、【魔力強化】というシンプルなアビリティももっているみたいです。こちらは単純にステータスの魔力が10あがるだけですが、ステータスを伸ばす手段は少ないのでこれもかなり嬉しいです。


 気になるのはアビリティ欄の最後に「マスターアビリティ:???」という表記があることです。

 名前的にはクラスをマスターした時に解放されるタイプのアビリティなのでしょう。

 確かユニークアビリティにも【マスターアビリティ解放】なるものがあった気がしますし……ついにそれが手に入るのかと思うとワクワクが止まりません。


 スキルについても単純に強力な物が多く、説明文をちょっと見ただけでこれは必須だなと思うものしかありません。

 スキルポイント絶対足りませんね……。


 特に気になったのは【熱性基礎理論】というスキル。

 なんとこちらは今までマジシャン・パイロマンサー・エアロマンサーで覚えてきたスキルの性能が向上するというものみたいです。

 残念ながら【ファイアレイン】は対象外みたいですが、それでも使いやすい魔法が増えることになるので嬉しい限りです。


 他にも一度だけ範囲内の火属性魔法のダメージを倍増する【オキシフィラー】なんて魔法も素晴らしいですし、火と風二つの属性をもった【レイ】なんていう攻撃魔法はロマンの固まりすぎます。

 ああ、すべて覚えるのが楽しみすぎてテンションが上ってしまいます。

 早くレベルを上げて、皆さんのお役に立ちたいです。

[委員長メモ]


「水地属性のクラス名はマギフリーグスらしい(後の調査で判明)」

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