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ガチ勢乙。ネトゲは遊びじゃねえんだよ  作者: にしだ、やと。
Ep1. 乙に舞い降りたガチ勢
17/50

1-14. それぞれの決め方

『次に行くIDなんだが』


 休憩明けに集まった俺達はすぐに次の周回に移るのではなく、一度今後の方針について話し合いをすることにした。

 スタートダッシュで練っておいた計画は基本的にはここまでだったからだ。

 ここから先は実際にプレイしてみた結果出てくるであろう本人の希望を聞いてからじゃないと考えられないからな。


『キャラレベルが12になったときに行けるようになる遺跡は二箇所。当然それぞれ別のクラスオーブの獲得条件になっている』

『あー、そっか。順番どうするかって話だね』

『ん? ラフっちA4っちどゆこと? どうせ両方行くんだよねー?』

『いや、それはそうなんだが、問題になるのは経験値溢れだ』

『……なるほど。そういうことですか』

『うん、どっちの遺跡から行ったとしても、一回目でクラスレベルがカンストしちゃうんだよ』

『そういうことだ。だからどっちを先に行くかが重要になってくる』


 そう、片方の遺跡をクリアした時点でクラスレベルがカンストするなら、その時点でクラスチェンジをしてしまわないと一周分のクラス経験値が無駄になる。

 だからそれを防ぐために、次のクラスを決めないといけないんだが、まだ全員の予定が決まっていない。

 ここでしっかり相談して、無駄が生まれないように調整する必要があるのだ。


『んーっと、オレっちはイーリアス遺跡でゲットしたホプライト一択だよん』

『まあそうだろうな。タンクやるならホプライト以外ありえん』


 ホプライトは重装歩兵のクラスで、体力が高く、また標準で盾装備のアビリティを所持しているからタンクなら迷わずこのクラスだろう。

 習得できるスキルもタンクには必要不可欠なスキルが多い。


『ボクはプリーストかウァテスなんだけど、どうせ両方とるから取り敢えずプリーストってことで。ウァテスのオーブ先に取ることになったらウァテスにしようかな』


 プリーストは直接的な回復に特化したクラスだ。

 聖職者だし、まあどのゲームでも似たような役割だからイメージしやすいだろう。

 一方ウァテスは自然の力を利用して支援するタイプのヒーラーで、即時回復手段は持たない代わりに継続回復とか脈動回復なんて呼ばれるスキルが取れる。

 さらにウァテスはPT全体のSP回復を回復するスキルも持っているため、序盤はかなり重宝するクラスだ。


 SP回復剤が安定供給されないうちは、ウァテスの需要はとても高いだろうな。

 俺としても出来ればウァテスにしてほしい。


『私はそうですね、やはり大火力を出していきたいのでそうなるとパイロマンサーかエアロマンサーになるでしょうか。事前情報ではパイロマンサーが範囲寄り、エアロマンサーが単体寄りと聞いているので甲乙つけがたいです』

『moniはその二択か。ちょっと難しいところだな』

『んー、でも名前的に単一属性の魔法しか使えないんっしょ? なら次にメインで狩るエリアの属性から考えればいいんじゃないの〜?』


 確かにカズーの言うとおりだな。

 序盤のマップは火属性も水属性も少ないからパイロのほうが優勢か?

 しかし20IDは属性わからんからな……。

 cbtじゃ時間が足りなくて20にはぎりぎり届かなかったんだよな。


『序盤のマップはやはり地属性が多いからパイロのほうが使えるだろうな。

 ただ20IDの属性がわからん』

『あ、じゃあこういうのはどーかな? 途中までパイロ上げたらー、一回クラスチェンジしてエアロも覚えちゃう! で、エアロマンサースキルのアビリティ習得したらまたもとに戻す、みたいな?』

『なるほど、確かにそれは悪くないな。せっかくクラスチェンジが自由にできるんだから何もマスターまで固定する必要ないんだよな』

『そしたらCPが2はほしくなるね。moni、足りる?』

『今BPが3ポイント貯まっていますので、取り敢えずCP1は確保できますね。次レベル上がればそれでもう一個CPに変えられるかと』

『ならそれで行くか。CPはどのみち必要になるしな』


 ◆ ◆ ◆


 ん? CPってなんだよって?

 ああ、そういえばCPについての話をしていなかったな。

 今まで特にきにする必要がなかったからすっかり説明を忘れていたよ。


 CPってのはキャパシティポイントの略称だ。

 これは何に使うかって言うと、アビリティをセットするのに使う。

 クラスにはアビリティってのがあるのは知ってるよな?

 例えばソードマンなら【剣装備】【盾装備】【ソードマンスキル】って感じだな。

 これらは言わば今俺ができることを示す、特性みたいなもんでな。

 乙の世界じゃ武器一つ装備するにしても、対応するアビリティがなきゃダメなんだ。

 だから【剣装備】を持っていないラフやmoniは剣を使えないし、逆に俺はラフが今使っている鈍器を装備することができない。


 で、重要なのはここからだ。

 ソードマンでいる限り、ソードマンが保有している全てのアビリティは自動的に適用される。

 しかし一度ソードマンのクラスを解除すると、それらのアビリティは適用外になる。

 当然【ソードマンスキル】のアビリティも適用外になるから、せっかく覚えたソードマンスキルは使えなくなっちまうんだ。


 それじゃソードマンクラスを育てる意味がないって?

 まあ待て待て。話はまだ終わってねえよ。


 さっき言ったよな? CPはアビリティをセットするのに使うって。

 お、お前察しが良いな。

 その通りだ。

 クラスを外しても、アビリティを習得できていればそいつは使えるようにできる。

 例えばそうだな……【ソードマンスキル】ならソードマンのレベルを10まで上げれば、このアビリティを習得したことになり、どのクラスに変えてもセット可能になるんだ。

 そして、アビリティを一つセットするのにCPを1消費する。


 もうわかったよな?

 二種類の別クラスのスキルを使いたきゃCPは2必要だし、逆に今なっているクラスのスキル以外使う必要ないと思うんだったら、CPは一切不要だ。

 cbtのときはキャラレベル10ごとに自動的にCPが1ずつ増えてたんだが、BPを使ってCPを増やしていく今の仕様のほうがビルドに幅が出て面白いだろうな。


 そしてこの仕様の本質的な意味は、努力すればするほど最強に近づくし、ゲーム内の努力を怠るようなクソ野郎はいつまでたってもクソ雑魚ナメクジのままってことだ。

 必要なのはリアルラックでもリアルチートでもない。

 純粋にゲームにどれだけ心血を注いだのか、その一点だけだ。


 ◆ ◆ ◆


『moniがパイロにするならロンメル遺跡優先って話になるけど……A4はどうなの?』

『ん? ああ俺か。俺はそうだな……正直決めかねてる』

『へー、A4っちのことだから最初から決まってるのかと思ってたよ』


 もちろん全く考えていなかったわけじゃない。

 単純に火力を強化するならウォーリアかモンクなのだが、このPTで足りない役割を補えるようにするならランサーがいいと思っていた。

 現状カズーがしっかりタンクとして機能しているが、今後一戦闘当たりで対処するmobの数が増えてくることを考えると、足止めスキルを持っていてCCの役割も果たせるランサーがいたほうが、安定感を増すことができるし無茶な狩りもしやすくなると思う。

 火力はmoniがいればなんとかなる場面多いしな。


『うーん、今でもA4っちは充分サブタンクできてるから大丈夫だと思うけどなあ』


 考えていることをかいつまんで話すと、カズーがそんなことを言ってきた。


『私の火力を当てにしてくれているのは嬉しい限りですが、詠唱などで小回りが効かないのでA4さんには火力を強化してほしいですね。それに魔法が効きにくいmobだっているでしょうし』

『そうだね。元々4人PTで人数足りてないんだし、欲張って役割増やそうとするより今の構成のまま純粋に強化する方向でいいんじゃないかな。厳しくなったら新しい仲間探せばいいんだしね』


 あんまりすぐに新しいメンバーを増やしたいとは思わないが、確かにその通りではあるな。

 必要になったらまた考えるってことにするか。


『よし、なら次はロンメル遺跡にいくとして、そこでとれるウォーリアにしようと思う。モンクは正直嫌な予感しかしないんだ』

『あっ、わかるぅ〜。近接格闘系の職ってどのタイトルでもなんかちょっと変わってるんだよね。モノによっちゃお前だけやってるゲーム違うくね? みたいな』

『ま、カズーほど変わってるやつはいないがな』


[!] TIPS


■ 1次クラス


初期クラス四種を0次といい、以降1次クラス、2次クラス、3次クラスと続いていく。

次数ごとに必要経験値や最大レベル、ステータスボーナスの合計量などが決まっており、単純に高次クラスのほうが強い。


各クラスは、ソードマン系統、アーチャー系統、マジシャン系統、クレリック系統と言った具合に大別できるようになっている。


一次クラスは

ソードマン系統:ホプライト・ウォーリア・モンク・ランサー

アーチャー系統:レンジャー・スナイパー・スカウト・ハンター

マジシャン系統:パイロマンサー・クリオマンサー・エアロマンサー・ジオマンサー

クレリック系統:プリースト・ウァテス・シャーマン


の全15種類ある。

これらからやりたいことを探してチェンジしていくのが、乙の醍醐味と言えるだろう。

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