第5話 ゴールデン・ドーン
「誰だ!!アタシの機体を悪趣味な色に変えた糞野郎は!!」
依頼を受けた次の日、機体を預けているガレージでアタシが見たのは、最高にクールだった色を消され悪趣味な金色にされた愛機だった。
其を見た途端腰に差してある、50口径ハンドライフル『デストラクション』を引き抜きそう言った。
ガレージにハスキーな声が響く。
「出てこい糞野郎!!汚ねぇその面即席のトマトケチャップにしてやる!!」
周りにいる傭兵達は笑いながらその様子を見ているだけ、此処ではこんな事は日常茶飯事で止める奴は居ない、誰も金にならない事を率先してやる程出来た人間じゃない。
そんな中アタシの目の前に三人の人間が現れた、その三人は異様な格好をしていた、まるで何処かの王の様な派手なローブに身を包んでいた。
アタシの記憶の中にこんなふざけた格好をする団体が一つヒットしたと同時にその組織がアタシに依頼を頼んできたと分かった。
「まさか……かの有名なゴールデン・ドーンがしがない傭兵風情に何か用か?」
ゴールデン・ドーン
黄金の夜明けと呼ばれるこの組織はマキナと呼ばれる神を信仰する宗教組織でその実態は良くわかっておらず、分かっている数少ない情報は規模がかなり大きく人型も何機も保有し、黄金の三騎士と呼ばれる優秀な人型乗りがいるという事。
アタシがそう言うと真ん中に居る年老いた男が頭を下げ言った。
「此れはマキナに選ばれし者……機体の色に御不満でしょうか?失敬私達はゴールデン・ドーン 黄金の三騎士」
彼が自信の所属を言った瞬間周りがざわめいた、其れもそうだこんな油と男の匂いが充満するガレージに正体不明の宗教組織その幹部が現れたのだ………現にアタシも驚いている。
それと同時に
「てめぇか!!あんな悪趣味な色にしたのは!!」
ハンドライフルを奴等に向ける、その瞬間糞野郎の左右に居た護衛が庇う……だが対物ライフルを切り詰めた意味不明なふざけた銃の前には幾ら人間がいようとも関係ない…!
「撃てますかな?私を」
瞬間糞野郎の足元に大きな穴が空いた、地面に50口径の薬莢が軽い音を立て転がり、より一層ざわめくガレージ。
「……良いか死にたくなかったら良く聞けクソッタレ、アタシの機体の色を元に戻せ!」
そう言いながらライフルに次弾を装填する。
「………貴女ならマキナに選ばれし者である貴女なら気に入ると思いましたが…此も又マキナのご意志………分かりました、機体の色を元に戻します、無論費用は私達が」
「当たり前だ…」
そう吐き捨てながら奴等の前を通り過ぎる、通り過ぎる前に奴の足元に唾を吐く。
「どちらにお出掛けですかな?」
奴はそんな事を気にもせずそう聞いてきた、それに対して振り向かずに答えた。
「酒だ」