第4話 新たな依頼と金の亡者
依頼したい…確かにこの異様な男はそう言った、聞き間違いではない。
「マスターこのミスター空洞にビールを」
「受けるのか?」
「話を聞くだけさ、其だけでも大丈夫か?」
「バレンシア…マキナに選ばれし者、貴女は必ずこの依頼を受ける」
「そう言う事らしい」
肩をすくめ笑えば、マスターも仕方なくこのよく分からない依頼人の前にビールを置く。
ビールが置かれた事を確認し、自分の物を一息に飲み干し依頼人に顔を向ける。
「さて……話を聞こうか」
「腐れ者…正式名称 四十四試作不死薬、日本が開発した不死を実現させる薬」
「おい?」
「実際は只の動く死者を意図的に創る薬、不死ではない」
「おい?」
「この不死薬を用いアメリカ、中国、日本は世界に宣戦布告……第三次世界大戦に勃発、不死薬は更に強化され現在在存在する腐れ者になっている」
「おい!」
空の瓶をカウンターに叩きつける、パリンと破砕音が響く、一瞬店全体がシンっと静まるが其れも一瞬だった、直ぐに何時もの様に騒がしくなる。
「てめぇ…良くもまぁベラベラと糞見たいな話を撒き散らすとはな…えぇ?ミスターイカれ野郎?」
直ぐ様この糞野郎の胸ぐらを掴むがイカれ野郎はまるで動じない。
「依頼を受けます?」
「あぁ?受けるとでも思うか糞野郎?」
「マキナに選ばれし者、貴女は依頼を受ける…そして貴女は依頼内容を聞かなければならない、そう自分で言った」
「………オーケーミスターイカれ野郎、聞いてやるよだが…受けるかは金と内容次第だ」
舌打ちをしながら、このイカれ野郎を乱暴に椅子に戻しそう言った。
コイツはアタシが依頼を受けると言っているが、こんなイカれたサイコ野郎の依頼何かサラサラ受けるつもり何かない。
大体この手の輩の依頼は何かと厄介が多い、そして…報酬の少なさと言うのもある、こういう輩にはバックアップが無い…つまりはした金で糞みたいな依頼をやらされる可能性がある。
「依頼は旧連合の基地で我々が行う儀式の護衛、基地内部に居た腐れ者は我々が保有する人型で排除済み」
……前言撤回、こいつにはバックアップがある其れもかなりのだ。
どうやらコイツの組織は人型を保有しているらしい、そもそも人型自体運用コストかなり掛かる、小規模な組織では運用が出来ない。
そんな組織が傭兵を雇う…つまり、金があると言う事に他ならない。
「成る程な……儀式が何かは聞かないが、護衛はアタシだけかい?」
「数名の人型乗りと機動戦車乗りを雇っている……そして此れが依頼を受けた際に貰える前金、マキナに選ばれし者…貴女は依頼を受ける」
此れは中々実りが良さそうな依頼が飛び込んできた、複数の人型乗りを雇える組織はそうそう居ない……そして、今カウンター席に置いたアタッシュケース…当然コイツは中身を見せる。
中身を見たアタシとマスターはつい口笛を吹く、中にはかなりの金額の金が敷き詰められていた、この金ならピカピカの最新の人型用のライフル一丁を買っても釣りが出る。
此れなら達成した時の報酬に期待出来る、他の傭兵が居るなら死ぬ確率もかなり減る。
こいつの言葉通りになるのは尺だが
「オーケーオーケー、ミスター…この依頼を受けるよ金に目が眩んじまった」
「感謝します、マキナに選ばれし者…時刻は後で言う……貴女にマキナの加護を」
そう言い彼は立ち上がりバーから去っていった、結局奴はビールに一口も手をつけなかった。
奴の温くなったビールを飲みながら、マスターに聞く
「……マキナって何だ?」
「さぁな…」