第一話 糞たれなこの世界
おっほ
「たく……どうなってる?」
全身をファイヤーパターンで塗装し、二丁の火炎放射機を持った重量逆間接人型兵器『人型』ニックネーム『スピリタス』の中で悪態を付く。
情報屋が言うにはこの基地にいる『腐れ者』は殆どが小型よくて中型と言っていた筈………だが実際は大型の腐れ者が10体も現れた。
予期せぬ大型の出現により軽量人型兵器が一機撃破された、それ事態は構わない、此で報酬の取り分が増えるからだ。
だが生き残らなければ、その報酬も手に入らなくなる。
「FarCry!情報屋のくそったれ共!」
隣に居る中量人型兵器に乗っているパターソンが口汚く罵る…彼はアメリカのやり方が気に食わなくて逃げてきた、元アメリカ軍の兵士だ。
「パターソン、他の腐れは?」
「おいおい…其れはジェリスの役割だろ」
「ジェリスはさっき大型にコックピットを握り潰されてくたばったのを知らないのか?」
「たく…分かったよレディ」
渋々とパターソンは言いレーダーで索敵を開始する。
「………クリアだ、糞共は一体も…いや待て!此れは」
暫く立ちパターソンがそう言い終わる前に彼の下の地面が盛り上がり、驚異的な速さでアサルトライフルを持った腕がパターソンが乗る中量人型兵器を下から貫く。
「パターソン!!」
「あ……ぁぁ!レディ…!バレンシア!!」
パターソンがアタシの名前を叫ぶ…その直後アサルトライフルの引き金が引かれ機体が内側からズタズタにされた、パターソンは……機体からの脱出が確認できていない、其よりもあの状況では死んだだろう。
腕は破壊した中量人型兵器から腕を引き抜きその残骸を吹き飛ばし、地面を引き剥がしながら其れは現れた。
全身の皮が剥がされ所々巨大な蛆虫が沸いているグロテスクな6m強の巨人 人類が産み出した最低の兵器 腐れ者その大型だ、そいつはゆっくりと此方を向いた。
「この…っ!!薄汚い肉塊め!」
口汚く罵りながら大型に向け二丁の火炎放射機を向けトリガーを引いた。
ゴゥ!!と音と共に放たれた非常に高温の死者を葬る正義の炎は瞬く間に大型の腐った身体を舐め焼き付くす。
「GOOOOOAAAAAAAAA!?」
身体の殆どが灰になりながら大型は冒涜的な叫び声を上げ、無駄な足掻きかパターソンを殺した際に使い物にならなくなったアサルトライフルを向けようとする。
だがその努力は大型の身体を構成する組織のほぼ全てが焼かれた為に実行に移すことは出来なかった。
大型の活動停止を見届け、アタシは安堵の溜め息を吐く。
今回も辛うじて生き残る事が出来た…代償として長年の相棒が死んでしまったが、今は未だ終わっていないこの過酷な任務、その佳境を乗り越える事が出来た自分を誉めることにした。
「……たくっ其にしても相変わらず糞たれな空だ、何が人類滅亡後の世界の光景だ、まだアタシ達生きてるってのに」
そう何時もの愚痴を言いながら、通信を今回の依頼人に繋げる。
おっほ