教えられたもの
ーーバシュュュュン!!!
大翔は最初から全力の鬼目になった。
ものすごい衝撃が周囲を吹き飛ばしたが、しょうじ師匠はその場から動かず微笑みながらで突っ立っていた。
5mを超える大岩がしょうじ師匠に襲いかかった。
超スピードだったその大石が宙に浮きながらしょうじ師匠の前に止まった。
大石だけではない、辺りに吹き飛んでいた細かい石達も動きを止めた。
宙に大量の石が浮きながら静止している。異常な光景だ。
「(これがしょうじ師匠の使い手なのか?)」
大翔がしょうじ師匠を鋭い目つきで睨みながら思った。
そう思ったとき、浮いている石全てに亀裂が入った。
亀裂が入ってから五秒後に音を立てて粉々になった。
その瞬間、大翔はすごいスピードで吹き飛んだ。
後方にあった自然がない荒れた茶色い山に突っ込んで止まった。
その山は大翔が突っ込んだ衝撃で崩れ落ちた。
「うっ……何だったんだ今のは……」
大翔は苦しそうに横たわりながら呟いた。
その声が聞こえたのかしょうじ師匠はこう言った。
「ほほほ。私は【反撃の使い手】。相手の攻撃を無効化し、それをそのまま返すという能力です」
「そうか……骨が何本か折れちまった。でもこんなもの!!はぁぁぁ!!!」
大翔は鬼目の治癒能力を引き出すことに集中し、超再生で全回復した。
鬼目の超再生が自然に起こったことはあるが、自力で引き出したのは初めてだった。
大翔は鬼目の超再生を自分のものにした。
その姿を見た鬼目を使えるシロノは少し悔しそうな表情をした。
シロノはまた大翔に追い越されてしまった。
「鬼目とは便利な技ですね。でも便利だからといって強いとは限りませんよ!」
しょうじ師匠がそう言い、瞬速移動。一瞬で大翔の目の前に姿を現した。
大翔はそれに対応し、超パワーのパンチを繰り出した。
いつもならそのパンチで衝撃波が起こるのだが、今回は起きなかった。
その瞬間、大翔は悟った。これは反撃の力だと。
また、大翔は吹き飛ばされた。
吹き飛ばされながらも考えた。どうすれば厄介な反撃の使い手を封じれるのかを。
だが、何も思いつかない。
大翔は焦り、闇雲に相手に向かっていった。
しかし、当然のごとく吹き飛ばされた。守護を使っても同じ事だった。それを何回も繰り返した。
その様子を見てしょうじ師匠はこう言った。
「大翔さん。あなたは多くの格上と闘ってきたでしょう。長年の経験で分かります。そのたびに成長をした。それで、あなたは修羅場を越えてきたことで自分の力を過信するようになった。自分では意識してないようですが、私にはそれが伝わってきます。でも、あなたは才能に恵まれているだけで決して強くはない。行き当たりばったりなやり方ではさらに上へいくことは出来ませんよ」
「うるさい!俺はお前を倒してみせる!!」
大翔が激しい口調で叫んだ。
「(大翔のやつ、自分の力が通用せず血迷ってしまっている……)」
大翔を見て、刹那は思った。
そんな大翔を見ても引かず、しょうじ師匠は落ち着いた口調で話した。
「相手に遠く及ばなかった場合はまずどうすればいいか考える。なにも思いつかないからといってただ相手に向かっていく行為は実力差が近ければそれでもなんとかなるが、離れていればそれは無駄な行動となる。だから、どうやれば相手を倒せるのか考えが浮かぶまでは距離をとって時間を稼ぐことが大切となる。感覚も大切だが、考えるということはそれと同じくらい大切なことだ。それで自分と味方の生存率、相手に勝利する確率も上がるから」
この言葉を聞き、圧倒的な実力差を体感して冷静じゃなかった大翔は落ち着きを取り戻してこう言った。
「ありがとう、しょうじ師匠。自分を見失いかけたよ。確かに今まではしょうじ師匠の言うとおり俺は感覚で生きてきた。感覚の極限で新たな力が目覚めた時もあった。ただ、俺に足りなかったのは考えるということ……それに気付けた俺はこれからどんな困難がこようとも平気な気がする!!」
そして、大翔は鬼目を解きこう言った。
「しょうじ師匠、お前を倒す!!」
初めて本作品を見ていただいた方に軽く物語のまあまあ重要な設定を。
鬼目は鬼という怪物から人間に与えられた力。変身形態。鬼に認められた人間しか使えない、とっても希少な技。
鬼目変身時:髪の色が変わり(人によって色は違う。大翔は赤)、目の輝きが消え黒い瞳になる。
簡単に変身したり解いたり出来る。変身したら超絶パワーアップする。治癒力が異常、ケガしてもすぐ治る。
鬼目を極めれば新たな姿になれるという。
使い手は超能力。個人個人で違う。炎を出せる者がいれば(火炎の使い手)、水を出せる者もいる(泉水の使い手)。十人十色。基本的に漢字で二文字。
発現方法は鬼目より簡単。条件を満たせば誰でも使える。
心身を極限まで鍛えた状態で生命の危機に陥ったときに発現する。
どんな使い手になれるかはその人の体格、思想、運動能力などすべてを含めて、自分に最適なものを体が判断してくれる。
己の使い手を極めればさらなる進化があるかも……
鬼目と使い手どちらも強力な超パワーだ。
二つを同時に身体に宿すことは出来ない。のだが、大翔は鬼目と守護の使い手、両方持っている。




