レッドペリルの思い
村に戻るとレリルとヴァートが対峙していた。
「ヴァート?!!」
レリルが驚いた声で言った。
「これはこれは"レッドペリル"さん。お久しぶりじゃないですか」
ヴァートが言った。
「ヴァート!久しぶりじゃないか!外に出てごめんな……恐いよな……今、中に戻るよ……」
レリルは嬉しくも悲しい声で呟いた。
ヴァートとレリルは知り合いなのか?
「ハッハッハッ!無様だ!お前は人の言いなりになって自分を持っていない。シリウスとの事件でお前の力が恐ろしくなったが街人を使えばお前を降伏させるなんて簡単だな!ヒャはっはっー!」
街人を使う?そういえばコイツ!人を操る操人の使い手だ!街の人達もコイツに操られているのかもしれない!
「レリル!!そいつは……」
そう言いかけた時シロノが動き出し俺に襲いかかった。
肩に担いでいたので避けれるはずも無く後頭部に一撃を食らった。
(やべぇ……頭がグラグラする……ここで倒れちまったらレリルに事実を伝えられない……シロノも元に戻せない……だから……だから……倒れる訳には……)
いかないんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
ーードゴォォォォォォォン!!!
大翔を中心に爆風が巻き起こるその勢いは半径1km先まで届く程だった。大翔の体も力に溢れ顔と後頭部も全回復した。
その爆風をレリルはすぐに察知し、街人、ヴァート、シロノを一瞬で爆風から守った。
「大翔君!どうしたんだ!」
レリルが焦っている。
「レリル!貴様はヴァートに騙されている!街の人がコイツにいいように使われている!」
「ど、どういう事だ……?」
「ヴァートは操人の使い手。つまり街の人達は全員、操られている!」
「!?……大翔君。それは本当かい?!」
そう言ってレリルはヴァートを睨みつけた。
「おい……街の人達を自由にしろ……」
レリルがヴァートに向かい静かに殺気の溢れる声で言った。
「は、はぁ?お、おれしらねぇし。ぜ、ぜんぶこいつのはったりだから、、、」
ヴァートが焦っている。
「解放しろ!!!」
レリルが怒鳴った。
「は、はいぃぃぃ!!!」
こうして街人とシロノの操りは解け正気を取り戻した。
「こんな所で私達は何をしていたのだろう?」
「さっきまで畑を耕してたはずなのに……」
操りが解けた街人達は口を揃えて戸惑いの言葉を口にした。
「み、みんな。俺の事恐くない……?」
レリルが恐る恐る街人に聞いた。
気の強そうなおばさんが瞬時に反応し、こう言った。
「はぁ?何言ってんのあんたなんて私から見ればまだまだひよっこよ!」
「おばちゃん……嬉しいよぉぉぉぉぉ!!!」
レリルが泣き出し、そのおばさんに勢い良く抱きついた。大の大人が子供見たく泣きじゃくっていた。
(この様子を見るとレリルはポーカーフェイスだったけど心の中ではすごく悲しかったんだろうな……)
「もう、子供じゃないんだから……」
おばさんはそう言いつつも笑顔だった。
心が暖かくなった。それと同時に怒りを覚えた。
ヴァートの方を見ると忍び足でこの場を去ろうとしていた。
「皆聞いてくれ!俺はレリルの友達で、シロノと言う!皆は自分が何をしていたか分からないだろう!それは当たり前だ。なんせ一年も操られていたからな!」
「操られていた?!一年!?どゆこと?」
街人達は驚いていた。
その声に反応を示さずシロノが続けた。
「操られていたとはなんの事かわからないだろうが皆はレリルの鬼目と強さを見たから分かるだろう。超力は存在する!レリルとは別の人物の超力で皆は操られ、レリルを隔離しようとした。その人物とは……ヴァート!お前だ!!」
みんなが一斉にヴァートの方を見て、ヴァートに歩み寄る。
ヴァート「ごめんなさい!ごめんなさい!もう二度としませんから許して!来ないで!ストップ!あっ……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「大翔君、シロノ君。ほんとに君たちのおかげで助かった。ありがとう……感謝してもしきれない……」
レリルがまた泣き始めた。
「レリル、良かったじゃねーか!またみんなと一緒に楽しく暮らせるな!」
「ああ!……唐突だが君達に俺の息子【フパル】を任せたい」
「息子?レリル、子供いんの?」
「いるさ。この街には居ないけどな。フパルは俺が牢獄に入れられる時に操られていた街人に狙われた。そこで俺は逃げろといい、どこかへ逃げた。恐らくいろいろお世話になった【ヘルプタウンのフックスさんの家】にいるだろう。この街はこれから生活できるように復旧作業をすることになるだろう。そうなったらフパルに何もしてあげられなくなる。だから君達の仲間にしてくれ!頼む!」
レリルはそういうと俺らに【電気ショックハンドガン】を差し出した。
(メニカの時はナイフだったから受け取るのを拒否したが、これは電気ショックで非殺傷武器だ。受け取ろう。)
「あったりまえだ!仲間が多い方が心強いし楽しいからな!」
俺達とレリルは硬い握手を交わした。
「後は、頼んだぞ……!」
レリルが俺達に言った。
こうして俺らはこの街を後にして、刹那とチルさんのいる場所へと向かった。