刹那の父、林 刀来の話……
これは10年前の刹那の父、林刀来のお話……
「貴様、刀来か!探したぞ、いざ参る!」
刀来の前に20人ほどの侍が現れ襲いかかってきた。
「ふぅ……アスルドレイン!!!」
刀来の瞳が青い光を発した。
ーーシュゥゥゥゥン……
襲いかかってきた侍の体を青い気が覆った。
その瞬間……
バタ、バタ、バタ……
侍は一人残らず倒れた。
「最近は刀来さんの力を聞きつけ色んな奴らが襲って来ますね。でも、さっすが刀来さん!向かうところ敵なしですね!」
「お父さん、この人達死んでない?」
「この力は相手の力を吸収して自分の力にするんだ。でも大丈夫だ。殺さない程度に力を吸い取って意識を失っただけだ。」
刀来は青月という青い瞳を持っていてその能力は相手の力を吸収する(アスルドレイン)。
刀来には息子の刹那がいて、あと四人の仲間がいて計六人で旅をしている。
「よし今日はこの宿に泊まるか」
刀来が言った。6人で同じ間に泊まる。
「お前達、今日はゆっくり休め。刹那は荷物を置いたらすぐ向かいの林に来い」
「お父さん、今日も修行をするんだね!頑張るぞぉー!」
ーービシバシと刹那を鍛えた。
宿に戻り、まず一番に風呂に入りそれから食事をし寝た。
深夜、刀来は思い出した。宿の近くに酒場があった事に。皆と行きたかったが起こすのは悪い。無性に気になって仕方がなかったので行く事にした。
ゆっくりゆっくりできるだけ音を立てずに外に出ようとした。その時、何かに浴衣を引っ張られた。刹那だ。
「お父さん。どこ行くの?」
「トイレに……」
そうは言ったが「僕も行く」と言って刹那に抱きつかれた。
背中の上で寝てしまったので仕方なく刹那をおぶって酒場に来た。
そこで飲んでいると
「隣いいかな?」
一人の白髪の人が話し掛けてきた。
「いいですよ」
「俺は旅をしているチルカン・ダウメスだ。よろしくな。今は共に旅をしている"レグワン"て奴が居るんだが……いや何でもない。ところでお前さんと背中のかわいい子の名前はなんて言うんだ?」
「俺も旅人だ。名前は林刀来。そんでこいつが俺の息子の林刹那だ」
それから俺はチルカンと長い時間語り合った。
(この時、刀来と刹那に魔の手が忍び寄っていることは知る由もなかった……)
夜が明け、俺達は宿を後にした。今日は土砂降りの大雨だ。
しばらく歩いて人気の少ない山道に出た。そのとき!
一人の仲間が刀来目掛けて刀を振りかざした。
刀来はその様子に気付き間一髪で回避した。
「おいお前!自分が何をしているのかわかっているのか?」
振りかざしたのは一人だったが振り向いたら刹那以外の全員が刀を握っていた。
「今の一撃で仕留めるつもりだったが外したのなら仕方ねえ。なんでお前を襲ったか理由を教えてやるよ!」
今までは刀来に敬語を使っていたが今回は使っていない。
「最初は皆あんたのことを尊敬していた。でも青月の力を見るごとに怖くなった。いつかオレらにも使ってくるんじゃないかってだからそうなる前にずっと前からお前を殺す方法をみんなで考えてた。そしてお前が昨日どこか行った時に今日決行するって決めた。でも、かわされちまったんだ。殺したいならその青月ってやつで好きに殺せよ」
「はは、何だそういうことか。大丈夫だって俺は仲間には絶対に力を使わないから!」
「う、うそだ!絶対使うに決まってる!」
「そうか。お前らがそう言うなら……」
刀来は刹那の方を向いた。
そして刀来は刹那に言った。
「刹那。仲間に力を使うことがどんなに愚かなことか分かるか?その目で良く見ておけ。じゃあな、刹那……」
そう言うと刀来は四人の方へ歩いて行った。
四人は怯えている。そんな四人を見て刀来は言った。
「大丈夫だ。俺はお前らを傷つけたり逃げも隠れもしない」
それを聞いた四人は鬼の形相で斬りかかった。
刀来は言葉通りその場を動かずすべての刀を体で受けた。刀来は一瞬で血まみれになり倒れた。
「お父さん……なんで……」
刹那の体から底なしの力が湧いてきた。
四人は刀来を斬ったあと刹那の方を向いた。刹那のことも殺すつもりだ。
「俺はぁ……お前らをぉ……絶対に許さねぇ!!!」
そういった瞬間、刹那は消え一瞬で四人は地面に叩きつけられた。
刹那が刀来に近寄り、刀来を思い切り抱き寄せた。
「お父さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」
刹那は涙が渇ききってもひたすら泣き叫んだ……
この出来事があり刹那は刹那の使い手になりました。
最初は刀来の通り名を「土下侍」にしようとしましたが無いほうがいいと思ったので付けませんでした。
次回はチルカンの友達で鬼目を使える奴に大翔とシロノが会いに行くというお話を書こうと思っています。
次も絶対見てくれよな!